美空ひばりの未発表曲「二人きりで」の配信が6月24日にスタート。あわせて、ミュージックビデオがYouTubeで公開された。
この音源は、日本コロムビアが保管する約11万本のマスターテープのアーカイブ化を進める中で発見されたもの。過去に使用された実績のない美空の音源だったことから、発売データなどと照合しながら精査を行った結果、未発表音源であることが確認され、今年5月の発表時には大きな話題を呼んだ。
美空のオリジナル楽曲が没後に発掘されるのは、2009年以来17年ぶり。録音台帳には「二人きりで」というタイトルのほか、作詞を「悲しき口笛」「東京キッド」も手がけた藤浦洸、作曲を「お祭りマンボ」の原六朗、編曲を松尾健司が担当したことが記載されており、1956年2月10日に録音が行われたことも確認された。当時18歳だった美空の若々しい歌声で、揺れる少女の恋心が歌われている。
MVは映像クリエイターの青木俊樹を中心に、AIクリエイターのnerukoとInt.Labが制作を担当。昭和と令和の横浜を舞台に、美空の歌声の魅力を描いた映像作品に仕上がっている。なお「二人きりで」は、本日リリースされた美空の芸能生活80周年記念4枚組CDアルバム「うたの宝石箱」のボーナストラックとして収録されている。
青木俊樹(日本コロムビアグループCCO / ミュージックビデオ制作プロデューサー)コメント
「二人きりで」という楽曲には、テーブルを挟んで向き合うふたりだけの、小さく閉じた世界があるように感じました。
ひばりさんの歌声には、その空間をそっと包み込み、時代を超えて届く光のようなものがあります。
本作の映像の軸になっているのは、裏庭で踊る一人の女性です。昭和の記憶と現在の情景の間で揺れながら、ひばりさんの歌声と出会うことで、胸元の黒いリボンがほどけ、淡い水色へと変わっていく。これは「歌の力」を人物の内側に起こる変化として描く試みです。
「もう一歩が踏み出せない」という感覚は、昭和も令和も変わらない。横浜の街を舞台に、時代の異なる恋の断片を重ねたのは、ひばりさんの歌声が特定の時代に属するものではなく、いつの時代の誰かの背中をそっと押してきた歌であることを伝えたかったからです。
この歌声に携わる機会をいただけたことを、心より光栄に思います。
neruko コメント
「二人きりで」のミュージックビデオ制作ではキャラクターデザインを担当しました。日本の音楽史に残る偉大なアーティストの貴重な未発表曲に携わることができ、心より光栄に思います。AI技術を用いて美空ひばりさんの楽曲を描き出すにあたり、往年のファンの方々が持つ大切なイメージを尊重しつつ、初めて彼女の音楽に触れる世代にも親しみを持っていただけるデザインを意識しました。陽の当たる庭で伸びやかに踊る姿を通して、時代を超えて語り継がれる歌声の魅力と、新しい表現の形を感じていただければ幸いです。
Int.Lab コメント
美空ひばりさんの未公開楽曲のミュージックビデオ制作を担当させていただくことになり、驚きとともに、大変光栄な機会となりました。「二人きりで」には、テーブルで向かい合う二人だけの、小さな閉じた世界を感じました。一方で、ひばりさんの歌声にいつも感じるのは、人々の営みの逞しさとけなげさ、そして、私たちが生きる日々のまばゆさです。そんなふたつの感覚が重なる場所として、今回の映像では、あえて日差しの差す裏庭に彼らの世界を描きました。表現の形が新しいものへと移り変わっていっても、時代をこえて変わらない情景を、ひばりさんに見守っていて欲しい。そんな願いを込めて制作しました。


