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日本語ラップ最前線・BATICAで6月にカマしたラッパーは

There is a bus stop across the street,
6分前2026年07月15日 12:03

今、最もホットなラッパーが集まる東京の現場と言えば、東京・恵比寿に2011年にオープンし、今年15周年を迎えたEBISU BATICA。シーンのトップを走るラッパーたちが出演してきた日本語ラップの最前線であり、毎月さまざまなパーティが開催されています。この連載では、そんなBATICAのブッキングを担当している店長の一瀬公佑さんが特に印象に残ったパーティやラッパーを毎月紹介。今回は6月のパーティに出演したラッパーたちを振り返っていただきました。

取材・文 / 三浦良純

自由になった本田Q、ひさびさのライブ

6月9日にライターの二木信さん、slowcurvこと仙人掌さん、原島“ど真ん中”宙芳さんが不定期でやってるDJイベント「THREE MEN GO SHIP」がありました。基本的にはこの3人がDJを担当していて、それだけで楽しいんですけど、実はこの日、宙芳さんが呼んでくれた本田Qさんのライブもあったんです。

本田Qさんはわりとキャリアの長いラッパーで、13年ぶりのアルバム「ことほぎ」を去年リリースしたんですけど、裁判が結審して保釈期間が終わったタイミングだったそうで。やっとお酒を飲んだり、遊んだりできるようになって出てくれたのがこの日のライブだったらしいです。すごく哲学的な人で、それがラップから伝わってくるし、単純に「ラップがうますぎやろ」って思いました。しかも、これがひさびさのライブだと思ったら、それもすごいなと。フリースタイルもキレキレでしたね。これからの活動が楽しみだなと思います。

4つのクルーのメンバーがそれぞれソロ出演

「PIVOT」は、昔からBATICAに出演しているアーティストと最近出会ったアーティストが交わるような場所を作りたいと思って5月に初開催したイベントです。6月9日の第2回は普段クルーで活動している4人にソロで出演してもらいました。

一番手はKUROJIの杏電子くん。ソロでライブを観るのはこれが初めてだったんですけど、クルーとは違う世界観で、めちゃくちゃスピットしていました。ソロライブの経験が少ないのもあって、歌詞が飛ぶこともあったんですけど、客演で出てきた同じくKUROJIのTaishiくんが「宇多田ヒカルってMCとかはラフなんだけど、ライブめっちゃカッコいいんだよ」みたいな話をしていて。それに対して杏電子くんが「俺それだ」と言ってました。クルーのメンバーと一緒にいると輝く部分があるのも確かで、この日バックDJを務めていたHIZAGUTYAくんも合わせて3人で1曲だけKUROJIの曲をやってたんですけど、そこでの杏電子くんのカマシがハンパなかったです。

続くContrail ClubのGinpariくんは、スキンヘッドにサングラスのめちゃめちゃイカつい風貌から、低い声でお経みたいなフロウのラップをする人で。もう見ただけでこれは変態というか(笑)、唯一無二感があります。ルーツを聞いてみたら、般若とかを聴いていたそうで腑に落ちましたね。杏電子くんとのコントラストもあって面白かったし、とにかく個性がズバ抜けてました。

TiGht PlumpのNE Da Murakamiくんは、すごくキレイなメロディを歌うアーティストです。音楽性的には個人的に一番好きで、ジャンルを超えた活躍が期待できそうなラッパーだと思っています。ソロライブは2、3年ぶりだそうで、僕は知らない曲が多かったけど、いい曲をたくさん持ってるんですよ。ライブは「好きに踊ってください」というノリで、ラフに観られる雰囲気でした。

Flat Line ClassicsのBIG FAFくんは、今回の出演者の中でもソロライブの機会が多いし、キャリアも長いので、やっぱりライブ力はダントツでしたね。100kgオーバーの見た目通りにラップが安定している。芸人さんもそうだと思いますけど、自分の持ってるものを100%出すというよりは、その場の雰囲気に合わせるのが最善の場合もありますよね。BIG FAFくんは現場にしっかりハマるライブをカマしてくれて。最終的には1階にいた人もみんな2階に集まって、BIG FAFくんがフロアの中に飛び込んだりして盛り上がりました。

LynxXxCERO:A、tiea creator、There is a bus stop across the street,ら新世代が集結「nullpo」

「nullpo」は僕が広島にいた頃に主催していたイベントです。共同で主催していたオーガナイザーがロンドンに行くということで、名前だけもらって、今回BATICAで開催しました。全員は紹介し切れないんですが、出演者はエレクトロ寄りのアーティストが多いですね。

LynxXxCERO:A(リンクスセロエー)は、この日出演していたsafmusicとかVOLTAと交流があるアーティストです。ネットカルチャーを背景に感じる人で、ライブに重きを置くタイプではなさそうですけど、現場で観たほうがいいと思うような熱量とバイブスがありました。シンプルに音楽が好きなんだなというのが伝わるライブで、オートチューンを使わずに安定したメロディを歌っていましたね。

tiea creatorはElleやSieroと交流があるラッパーで、以前からBATICAに出てくれているんですけど、最近ちょっとだけ楽曲の雰囲気が変わっていて。アングラヒップホップから、オルタナティブというかエレクトロ寄りの柔和なサウンドになっています。楽曲を聴けばわかる通り、彼はやっぱり声がすごく魅力的で、ボーカルに感情が乗ってるんです。それが特にライブだと伝わってきます。

There is a bus stop across the street,は、今年4月に活動を開始して、6月にアルバムを出したばかりの音楽ユニットです。このイベントのブッキングの直前にミュージックビデオが公開されて、それがすごくさわやかで疾走感があってカッコよかったんです。Peterparker69があまりにも完璧なものを作っているからなのか、エレクトロサウンドにボーカルを乗せたアーティストってほかにはあんまりいなかったけど、先月紹介したP'ortable room™とかsysmoとか、最近そういう人が増えている気がして。There is a bus stop across the street,はそうした流れにあるスタイルのユニットで、ライブはまだ2回目だったと思うんですけど、これからがすごく楽しみな3人組です。

あと3月にも紹介したksr:3さんは、この日もすごく踊れるライブをしていて最高でした。ksr:3さんはリリイベも大盛り上がりでしたけど、こういうエレクトロを軸にしたアーティストがいろんなタイプのラッパーと絡んでるのはシーン的にすごく面白いなと思ってます。

Lilhana、OKBOYら競演「洄游」

「洄游」はBATICAのスタッフの桐部によるイベントで、今回が第3回目の開催でした。企画のコンセプトとしては、界隈やジャンルに囚われず、さまざまなものが混ざり合いながらも、どこか1つの場所に帰属する。そういった意味を込めたイベントになっているそうです。今回、僕はライブを観られなかったので、桐部に紹介してもらいます。

桐部 DJもライブアクトも全員紹介したいくらい素晴らしい方ばかりなのですが、あえてピックアップするなら、LilhanaさんとOKBOYさんのライブが本当に印象的でした。岐阜を拠点に活動するLilhanaさんは、今回の「洄游」が東京で初めてのブッキングだったそうです。簡単に言い表してしまうと、「女の子が憧れる女性」という印象でした。自由に動き回りながら心から楽しんでいる姿がとても魅力的で、観ているお客さんまでワクワクさせる魅力がありました。東京でも以前から気になっていた方が多いアーティストだったのですが、その期待を上回るパフォーマンスを見せていただけたと感じています。

桐部 ラストを飾ったライブアクトのOKBOYさんは、「TOKIO SHAMAN」時代からBATICAにご出演いただき、これまで何度も楽しい時間を作り上げてくれたアーティストです。今回のライブの合間には、ぬるっとハーモニカを演奏していたりと、とにかく自由な空気感なのですが、曲が始まると、あの頃観ていたOKBOYさんがそのままそこにいて、圧巻のパフォーマンスを披露してくれました。自分としても、その姿を見ることができてとてもうれしかったです。

福岡の注目ラッパーColte

6月20日の「FTH」は紆余曲折を経て、福岡のDNEさんを中心とするイベントになったんですけど、その中で紹介したいのがColte。こないだ03- Performanceに出ていましたよね。あれもBATICAに出演したときに撮ったのかな?

もともと僕の友人がすごく好きな福岡のラッパーで、所属していたクルーもずっと知ってたんですけど、これまで東京でソロのライブをしたことはほぼなくて、僕もライブを観るのはこれが初めてでした。やっぱり曲がいいし、洗練されてるし、ラッパーが憧れるようなラッパーだと感じましたね。福岡のローカルなパーティのノリが出ていたのも面白い。「上がれんのか?」というよりは「朝まで飲めんのか?」と煽ってくるような価値観なんですよ。

DNEさんは言わずもがなの盛り上がりで。僕が東京で観るのは2回目なんですけど「本物や」と思っちゃいます。もっと東京に来る機会が増えたら面白いですし、BATICAとしてできることがあればがんばりたいですね。

7月の注目イベント

MISCHIEEEF‼︎

7月17日の「MISCHIEEEF‼︎」はBATICAのもう1人のスタッフが企画したイベントで、コンセプトを説明するのは難しいんですけど、ジャンルに縛られず、個性の強い人たちを集めています。DOG FOOD PARTYはお笑い芸人とラッパーの二足のわらじで活動しているコンビですね。

crux

7月26日に日本語ラップを軸とした「crux」を開催予定です。今回は、jellyy、Tim Pepperoni、otuyyuto、Andersen、FiliX王、Nust B、ISAKITOKIA、ramtboy、Natchan Montanaという熱いラインナップが集まりました。

店舗情報

EBISU BATICA

クラブとライブハウスの両方のよさを引き出し、違った感性と人を紡ぐ新しいコミュニティ作りの場として、多種多様なシーンに対応するイベントスペース。1Fは40名前後、2Fは80名前後のキャパシティで、ドラムセット、アンプ、プロジェクターなども備えている。DJやライブイベント、展示からウエディングパーティに加え、飲み会、結婚式二次会、試聴会、プレス向け発表会、展示会、各種撮影など、さまざまな形態での利用が可能となっている。

EBISU BATICA | Tokyo

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