藤井フミヤがキャリア2度目となる47都道府県ツアー「47都道府県コンサートツアー 2025-2026 FUTATABI」の最終公演を、7月12日に東京・東京国際フォーラム ホールAにて開催した。
デビュー40周年を迎えた2023年から翌2024年にかけて、初の47都道府県ツアーを行ったフミヤ。前回のツアーでは9カ月にわたって60公演を実施したが、今回は約1年半をかけて67公演を行い、タイトルの通り“FUTATABI(再び)”全国津々浦々のファンのもとを訪れた。体調不良から延期を余儀なくされた公演もあったものの、振替公演も無事完遂。最終公演は東京の地で、累計14万5000人を動員したロングツアーにピリオドを打った。この記事ではツアーファイナルのレポートとともに、公演終了後に行われた囲み取材の様子を紹介する。
3つの時代を行き来する極上セットリスト
観客が総立ちになる中、大島賢治(Dr)、山田“Anthony”サトシ(B)、沢頭たかし(G)、櫻田泰啓(Key)、藤井尚之(Sax, G)がスタンバイするステージへと現れたフミヤ。ステージの真ん中にスポットライトが落ちた刹那、ボーラーハットをかぶり、白いボウタイシャツに黒いスーツをまとった姿が浮かび上がり、オープニングナンバーの「女神(エロス)」へ。藤井フミヤの真骨頂でもある、粘度の高い官能的な歌がオーディエンスの心をとろかし、恍惚とさせる。続いてフミヤはチェッカーズ時代の哀歌「Room」、血を分けた兄弟である尚之とのユニットF-BLOODの楽曲である「孤独のブラックダイヤモンド」を披露。「FUTATABI」がチェッカーズ、ソロ、F-BLOODの3つの時代を行き来する構成であることを示唆した。
客席のあちこちから沸く、今も昔も変わらぬ黄色い歓声と、前日の誕生日を祝う「おめでとう!」の祝福を浴びながらフミヤは、「長かったツアーもようやく今日終わります。うれしいというより、寂しい気持ちが大きいんですが、このへんで終わらないと俺の体が持たない(笑)。そろそろ車検に入れないといけない時期で」と自虐混じりに語り、実弟・尚之を含め“ほぼ親戚”という間柄のバンドを紹介する。そして「今日もチェッカーズ、F-BLOOD、そして私、藤井フミヤのソロ、3つミックスでお送りいたします」と改めて宣言すると、昭和から平成にかけて発表された「Jim & Janeの伝説」「Friends and Dream」「Long Road」といったチェッカーズ時代の名曲を立て続けにパフォーマンス。「Long Road」でフミヤは恭しく客席に向かって両手を広げたのち、胸に手を当て「This moment, I know you are my everything」と自分を支えてきたファンに向けての愛を素直に歌い上げた。
64歳の推しに、そんなに使って本当に大丈夫?
ここで14万5000人を動員した「FUTATABI」を振り返るトークへ。フミヤは「これがアリーナとかだったら、何回かやれば終わるんですけど、全都道府県、全部ホール会場だったんで。でも、うちのファンは、すごくあったかい、ありがたいファンがいっぱいで。だいぶ(動員数が)ダブってると思います」と複数公演に足を運んだファンのアンケートを取り始める。10公演以上の参加者も大勢いたことが判明すると、推される立場である当のフミヤは「アゴアシマクラ(食費・交通費・宿泊費)全部必要ですからね。本当に大丈夫? 64歳の推しに、そんなに使って(笑)」とファンの家庭やお財布事情を慮りながらも、笑顔で感謝の思いを伝えた。
なお、ツアーファイナルの開放感ゆえか、この日のフミヤは普段以上に饒舌。「非常にエロい歌から始まりましたけど、次はピュアなラブソングをお届けします。だんだん下半身の歌が歌えなくなってきました。上半身の歌ばかり歌っております」とコンプライアンスに配慮しつつユーモアを交え言い放ったのち、「Little Sky」を皮切りに、「白い雲のように」「TRUE LOVE」とみずみずしく純粋な感情をエバーグリーンなメロディに乗せた楽曲群を届けた。尚之の伸びやかなソプラノサックスの音色が響く「素直にI'm Sorry」、続いてポップシンガー藤井フミヤの魅力を煮詰めた「SEVEN WONDERS」「なんかいいこと」が、ホールに晴れやかな空気をもたらし、ピュアなラブソングのブロックは一区切り。
ライブのちょうど折り返し、フミヤは「俺、いつまで歌い続けるのかなと思うんです。『ずっと』とか言われても、そのずっとがどこまでだかわからない。『ステージの上で死にたい!』なんてことを言いますけど、実際今ここで死んでみ? 大変なことになるからね」とあっけらかんと言い放つ。64歳という自身の年齢を引き合いに観客の笑いを誘いつつも、その歌声はエネルギーに満ちあふれ、ステージでの存在感は若手アーティストに引けを取らない輝きを放つ。中でも“バラードの名手”としての真価を発揮する「わらの犬」「Another Orion」の2曲は、その情感豊かなボーカルがオーディエンスの心を激しく揺さぶり、しばらくの間しみじみとした余韻をホールに残した。
君たちがいるから歌えてる
バラードの世界にどっぷりと浸るファンを前に「戻ってきてください」と呼びかけたフミヤは、「このパフォーマンスも、いつまでできるかわからない。これが30代とか40代だったら全然平気なんだけど。俺なんて君たちがいなかったら普通におじいちゃん、いや小さなおじさんだよ? 君たちがいるから俺、今がんばって立って歌えてるんだよ」とステージに立つモチベーションが目の前のファンであることを強調。さらに自身の歌を支える盟友たちを1人ひとり愛情たっぷりに紹介し、彼らが得意とする8ビートのロックンロールナンバーで固めたブロックになだれ込んだ。
「ギザギザハートの子守唄」「ジュリアに傷心」「危険なラブ・モーション」という初期のチェッカーズナンバーの連投が、ホール内にすさまじい熱狂をもたらす。そんな熱気に満ち満ちた客席のボルテージを引き上げるように、フミヤとバンドメンバーは「WE ARE ミーハー」「Stay with me.」というアップリフティングで爆発力のあるポップチューンをエネルギッシュにプレイ。きらびやかな金銀のテープがいくつもの放物線を描く中、ライブはクライマックスを迎えた。
アンコールではツアー完走を祝って、バンドメンバーと観客と乾杯をする演出も。おいしそうに缶ビールを傾けたフミヤは「みんなが生きているうちは、ほぼほぼ歌っているので。何度でも会いにきてください」と再会を約束。「同じ時代を生きている俺たちのために……」と語り「今ここから駆け上がろう」と歌う「未完成タワー」を感情を込めてパフォーマンスする。最後に「360度の空に 両手を広げるために」と伸びやかに歌い上げ、秋に控えるアリーナ公演「藤井フミヤ ARENA LIVE 2026 360°」への布石を打った。
47都道府県ツアー完走の秘訣
公演終了直後の取材でフミヤは「1年以上かけて全都道府県を回ったんですが、長かったですね。でも手応えはすごく感じた」と2度目の47都道府県ツアーを終えた感慨を吐露。そして全公演を完走した秘訣について「やっぱり真面目に生きるしかない。前は、次の日がライブでもちょっと飲んだりもしましたけど」と笑いながら説明した。
国内各地を巡った感想を記者に聞かれると「インバウンドの外国人の気持ちがわかるというか。きれいですよね、日本って」「本当にゴミ落ちてないし、新幹線は速いし、食べ物はおいしいし、人間もすごい優しくて」と日本の魅力を再発見したことを明かした。話題は現役感たっぷりのパフォーマンスにも及び、フミヤは「ステージに立って歌っているのが、アンチエイジングになってる気はしますね。やっぱりステージで歌うって健康でいなきゃいけないんですよ。常に健康体でいないとステージ上で気持ちよく歌えない」と明言。とはいえ、約1年半にわたるツアーは負担が大きかったようで、「本当にもう今クタクタになってて(笑)。『3回目も行くよ』っていう感じにはまだなってないんですけど……」と少し弱気になりつつも、「でもいずれは行きたいですね。こちらが行くと(お客さんが)来てくれるという手応えはすごくあるので」と3度目の47都道府県ツアーの開催にも意欲を見せた。
最後に「1年以上にわたる長いツアーだったんですけど、ファンの人たちには本当にお世話になって。同じ時代に生きてきたんで、いろいろな思い出を歌い続けたいと思ってます。これからもよろしくお願いいたします。ぜひ私の歌を聴きに来てください」とファンにメッセージを送り、3カ月後の「藤井フミヤ ARENA LIVE 2026 360°」に思いを馳せた。
セットリスト
01. 女神(エロス)
02. Room
03. 孤独のブラックダイヤモンド
04. Jim & Janeの伝説
05. Friends and Dream
06. Long Road
07. Little Sky
08. 白い雲のように
09. TRUE LOVE
10. 素直にI'm Sorry
11. SEVEN WONDERS
12. なんかいいこと
13. わらの犬
14. 水色と空色
15. Another Orion
16. ギザギザハートの子守唄
17. ジュリアに傷心
18. 危険なラブ・モーション
19. WE ARE ミーハー
20. Stay with me.
<アンコール>
21. Song for U.S.A.
22. SHOOTING STAR
23. ココロ
24. 未完成タワー
公演情報
藤井フミヤ ARENA LIVE 2026 360°
2026年10月10日(土)大阪府 大阪城ホール
2026年10月17日(土)東京都 日本武道館
2026年10月18日(日)東京都 日本武道館


