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日本語ラップ最前線・BATICAで7月にカマしたラッパーは

Tim Pepperoni
12分前2026年08月06日 3:04

今、最もホットなラッパーが集まる東京の現場と言えば、東京・恵比寿に2011年にオープンし、今年15周年を迎えたEBISU BATICA。シーンのトップを走るラッパーたちが出演してきた日本語ラップの最前線であり、毎月さまざまなパーティが開催されています。この連載では、そんなBATICAのブッキングを担当している店長の一瀬公佑さんが特に印象に残ったパーティやラッパーを毎月紹介。今回は7月のパーティに出演したラッパーたちを振り返っていただきました。

取材・文 / 三浦良純

18easyの曲は意識しなくても覚えてしまう

7月2日の「junction」は僕じゃなくて、もう1人のスタッフである桐部の企画ですが、この連載で過去に紹介しているLillieさん、ksr:3さんをはじめ、今話題でカッコいいラッパーが集まりましたね。DJのHabeさんもBATICA常連で、UKっぽいダンスミュージックから日本語ラップまでなんでも対応できる人で。

18easyさんはSad Kid Yazさんのアルバム「SUMMER」に参加したことも話題の、海とか夏っぽいニュアンスがある藤沢出身のラッパーですね。いろいろなサブジャンルが流行っている中で、こういう心地いいビートで表現してるのは渋い。単純に声がいいし、彼はフックがキャッチーで覚えやすいんですよ。特に覚えようと意識して聴いてるわけじゃないのに、僕も5、6曲くらい歌えますから。才能だと思います。新曲の「ロミオ」もオススメです。

AT Stylesさんは、桐部がもともと面識があったラッパーなんですが、僕もちょいちょい聴いていた曲がカッコよかった覚えがあって。ビートはセルフプロデュースなんですけど、最近のジャンルで言い表せないようなサウンドで、フレッシュなんですよ。

Dr.B Recordsはしっかりラップを聴かせる激渋クルー

Dr.B Recordsというクルーの2nd EP「A Touch Of Vintage」のリリースパーティが7月3日にありました。Dr.B Recordsは東京出身のOWENさん、神奈川出身のYoung Pack Boyさん、沖縄出身のChoshinさんという全員が2001年生まれの3人組なんですが、おしゃれでチャラついてなくて激渋なんですよ。ラップに関しては、空白の使い方がほかの人と違うなと思いますね。しっかりと聴かせにくる。リリパには仙人掌ことDJ Slowcurvさんも出演していましたが、そういう流れの中にいるアーティストだと思います。

このパーティでは、Seiha Nagasawaさんもマジでカッコよかったし、渋かったです。まずタッパがあるのでステージ映えするし、ラップもバイブスにあふれていて。以前は東北で活動していて、その頃につながりがあった人に紹介してもらったんですが、キャリアがある人で、ブーンバップっぽい曲もあるんですよ。最新アルバム「SURGE2K3K」の中では「いつまでやってるの?」という曲が特に好きです。こういうサンプリングビートに乗せて、加工してない声でカッコよくラップするのって本当に難しいと思うんですけどね。

土偶センパイから伝わる音楽愛

7月17日の「MISCHIEEEF!!」は濃いメンツで誰を紹介していいか迷うんですが、土偶センパイは紹介したことないですよね? もともとEevee(瀧澤彩夏)さんと一緒に活動していた女性のアーティストで、BATICAには2、3回出てもらっています。ダンスミュージックにラップと歌を乗せるスタイルで、歌いながら踊るだけでなく、「ここは電車の中です」と言いながら吊り革を持ってパフォーマンスしたりもするんですよ。そういう突飛な行動もありつつ、何より好きなのは音がめちゃくちゃいいところで。ビートもセルフプロデュースなんですけど、これを自分で作ってるってことは相当音楽好きなんだなと。

DOG FOOD PARTYは、吉本に所属して芸人コンビもやっているラッパーなんですが、変な被り物で登場しながらも、楽曲の完成度が高くて面白かったです。これから音楽の軸でも評価されていくんじゃないかと。

あとラッパーのhedoとyounyamahashiがB2BでDJとして出演していて、すごくうまかったです。「イベントに呼んでください」と言ってましたけど、本当にいろんな現場で活躍できそうだなと思いました。

フロアでカマしてくれた兵庫のラッパーuglyboooi

7月18日の「SPEC」は、ステージを封鎖してソファー側にブースを置くことで、お客さんと演者の距離を近付けるような作りにしたイベントです。ダンスミュージックをベースにしたDJをブッキングしつつ、ラッパーにはDJブース前のフロアでパフォーマンスしてもらって。ラッパーとお客さんの目線の高さが同じだから、いつもより熱量も高かったですし、僕的には継続していきたいイベントです。

これまでに紹介しているhyunis1000さんやICHIROさんには期待以上のパフォーマンスをしていただきましたし、uglyboooiさんという兵庫のラッパーが一番手でめちゃくちゃカマしてくれたんです。uglyboooiさんはJUMADIBAさんやziproomのパーティにも出て話題になっていたんですが、フロアを見て盛り上げるのがうまくて、さすが関西出身だなと思いました。リリックが聞き取りやすくて、粋で面白い歌詞がスッと入ってきますし、またすぐBATICAに出てもらいたいなと思ってます。

Tim Pepperoniはセンスと積み重ねがある

「crux」は、以前に紹介したFiliX王さんとかNust Bさんも含め、これから大きくなりそうなラッパーを集めたイベントで、全員カマしてましたね。FiliX王さんが「SHOよりもI LIKE SUSHI」とビーフを仕掛けた新曲も面白かったですし、全員紹介したいんですが、なるべく音楽ナタリーで取り上げてないアーティストに絞ると、まずISAKITOKIAさん。

彼はMIKADOとかの後輩にあたる和歌山のラッパーで、今回が東京初ライブだったんですけど、やっぱり歌詞の切り口がほかのラッパーとは違うなと思いました。「トマト嫌いやねんけど、トマトはペーストにしたらピザに乗せて食えるし、ケチャップにしたら食える。そういう曲」という独特な曲振りもあったりして。イケイケというよりは落ち着いた雰囲気の硬派なラッパーです。

Natchan Montanaさんは、6月にリリースしたEP「NATCHAN MOUSE」の楽曲の面白さで今話題になってますよね。今回がBATICA初ライブではあるものの、もともとお客さんとして来てくれていたようなラップファンで、ヒップホップのマナーがしっかりわかっている感じ。言葉選びだけじゃなく、ビート選びもセンスがあって。ライブはあんまり手を使って表現したり、クルクル回ったりとかしないんですけど、あの曲調で動かずにその場でじっと歌ってるのもそれはそれで面白かったです。しっかり歌詞を聴こうってなりますよね。これからライブ重ねたら、さらに魅力が増していくんじゃないかと思います。

ramtboyさんは、僕がBATICAに入る前から付き合いがあって、天才だと思ってるラッパーなんですけど、なかなかリリースしないんですよ。ずっと制作期間みたいな感じで。でもここ最近、she's roughのYouTubeチャンネルでミュージックビデオを公開したり、she's roughのコンピに参加したりで、ようやく注目されてきていますね。ラップ歴が長いから当然うまいし、ビートも自分で作っていて、若い子とは立ち位置が違う歌詞の面白さもポイントかなと。

石川のRUPRECXNTA改めAndersenさんは、今年出たアルバム「Sen」がとてもよくて。個人的には今年一番くらいに好きなアルバムです。「NBA」という曲の「バックボーンが有るか無いかきっしょい話 無いやつなんていない 全ては見えない」とか歌詞も話題で、とがってる部分もあるんですが、彼の等身大の生活を歌っていて共感できる。さらにラップがうまいだけじゃなくて、ビート選びのセンスもあって、エモーショナルで、総合点が高いラッパーだと思います。

そして後半に出演したjellyyさんやotuyyutoさんもクソカッコよかったんですが、まだ音楽ナタリーで取り上げられていない人だと、Tim Pepperoniさんがヤバかったです。今回のメンツの中ではキャリアが一番長いだけあって、文句の言いようがないパフォーマンスでした。僕もヘッズの気持ちで観てしまいましたね。セトリもすごくよくて、自分名義の曲だけじゃなくて、客演で参加してるNytureさんの「MOLLY FLOW」とかYTGさんの「BET!!」とかを披露して、自分のヴァース以外も歌ってくれました。スキルも高いし、ファッションもアートワークも全部センスがあるけど、過小評価されてると思うんですよね。「9ji 5ji」という曲では「朝9時から5時 働くよ親父 弱音と愚痴無し 踏み込むこの先」という、20代後半で妻子を持つ彼だからこそのラップをしていたり、そういう部分もカッコいいんです。

8月の注目イベント

・Fosho

8月9日の「Fosho」には、「YOUNG PRO」にも出演するT-boboさんに加えて、YouGetOohShiYoさん、TAYTAY POSSEさん、CNG Squadのwood pure luvheartさん、TwoBSさん、SAFUJIさんと今話題の面白いメンツが勢ぞろいします。日本語ラップの新譜情報を発信してるkfp_harlandさんがXで初めて反応してくれてありがたかったです(笑)。

・PROLOGUE 1st EVENT

8月16日に話題の心姫奈さんの初イベントがあります。いきなり本人から連絡が来てBATICAで開催することになったんですけど、めちゃくちゃうれしかったです(笑)。新しく公開されたMVは、バチバチにカマしててみんな驚いてますよね。ちなみに事前に予約した人しか入れない感じになりそうなので、しっかり予約してもらえると。

・LocalAlien Caravan in TOKYO

8月29日に石川のラッパー・Yamiboi To$さんのリリースパーティがあります。Andersenさん、YÖSYさんと石川勢がそろうし、それ以外にもYoung Rich Kokiさんとか熱いラッパーが集まるので注目です。

店舗情報

EBISU BATICA

クラブとライブハウスの両方のよさを引き出し、違った感性と人を紡ぐ新しいコミュニティ作りの場として、多種多様なシーンに対応するイベントスペース。1Fは40名前後、2Fは80名前後のキャパシティで、ドラムセット、アンプ、プロジェクターなども備えている。DJやライブイベント、展示からウエディングパーティに加え、飲み会、結婚式二次会、試聴会、プレス向け発表会、展示会、各種撮影など、さまざまな形態での利用が可能となっている。

EBISU BATICA | Tokyo

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