蓮沼執太の音楽活動20周年を記念したコンサート「活動20周年記念コンサート 蓮沼執太Wフィル | Shuta Hasunuma Double Philharmonic Orchestra」が8月6日に東京・サントリーホール 大ホールで開催された。
2006年10月にアメリカのインディーズレーベルからアルバム「Shuta Hasunuma」をリリースし、音楽活動をスタートさせた蓮沼。今年活動20周年を迎えることを機に、さらなる新しいことに挑戦しようと企画された本公演では、蓮沼がコンダクトするオーケストラ・蓮沼執太フィルの15人に、新たに編成した25人の弦楽オーケストラとパーカッションを加えた総勢41人による2つのオーケストラ、“蓮沼執太Wフィル”のライブが行われた。
正装の影ナレ
開演に先駆けて蓮沼の盟友であるU-zhaanが場内アナウンスを担当。蓮沼から「正装でアナウンスしてほしい」とリクエストされたというU-zhaanは影ナレにもかかわらず、インドのフォーマルな民族衣装・クルタ姿でアナウンスに臨み、「誰にも見えないのになぜこの衣装を着ているのか疑問があります」とぼやきつつ、「活動20周年おめでとうございます。僕もタブラを初めて今年でちょうど30周年になるのですが何のイベントも予定されていません。こんなに盛大なコンサートを開催できる蓮沼執太をうらやましく思います」と祝辞を述べた。なお、サントリーホール公演に向けてYouTubeで公開された動画にて、サントリーホールの音響設計を担当した永田音響設計の豊田泰久氏は、この会場のスピーカーについて「アナウンスやスピーチといった人の声が、あらゆるコンサートホールの中で一番聞きやすい」と評している。
2人だけで始まったサントリーホール公演
ステージ上には41人分の椅子、譜面台、楽器がひしめくようにずらりと並んでいる。その間に計20個の古時計が置かれており、蓮沼の20年という歳月をさりげなく表していた。客電が落ち、いよいよ41人が華々しく登場するのかと思いきや、ステージに現れたのは蓮沼と、ストリングス隊のディレクションを務めるチェリスト・徳澤青弦の2人だけ。意表を突かれたオーディエンスが期待を込めて見守る中、蓮沼はささやくような小さな声で蓮沼執太フィルの代表的な1曲「ONEMAN」を歌い始めた。大舞台で鳴らすシンプルかつ極小の音量という一見ミスマッチな組み合わせだが、すぐそこで演奏している“生の音”を感じる自然な距離感のサウンドに観客は没入していった。
チームからフィルへ
最初の1曲を終えると徳澤がステージを降り、入れ替わりで蓮沼執太チームのメンバーである石塚周太(G)、斉藤亮輔(G)、itoken(Dr)、尾嶋優(Dr)が登場。「Gakona」でストレートなバンドサウンドを響かせる。3曲目でそろいのスーツに身を包んだ蓮沼執太フィルのメンバーが加わり、「Meeting Place」を息の合ったアンサンブルで届けた。「ZERO CONCERTO」には宮坂遼太郎(Perc)も参加。尾嶋が刻むミュートしたハイハットの規則的なリズムが時計の秒針を思わせる場面もあり、人数と時間の変遷を感じさせる演奏となった。
ついに41人の“デュアル”
蓮沼と徳澤の2人で始まり、蓮沼執太チームの5人、蓮沼執太フィルと宮坂の16人と出演者が少しずつ増えてきた本公演は、5曲目で満を持して24人編成の弦楽オーケストラが登場。ここから徳澤がストリングス隊の、蓮沼がフィルの指揮を執り、2種類の異なる音色を同時に重ねて鳴らす“デュアル”をテーマに走り出す。ゆったりとした曲調の「Triooo - VOL」やポップなボーカル曲「A U R A」に弦の華やかなサウンドが重なり、会場いっぱいに広がっていく。蓮沼のソロ曲「Pierrepont」では、冒頭で個々の音が予測不能なリズムで絡み合い、後半になると1つの静かな流れに収束していくというドラマチックなアレンジが展開された。ライブ定番曲「wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya」ではフィルとストリングス隊の音色が融合し、壮大な1つのまとまりとなって大きな盛り上がりを見せた。蓮沼は「皆さんの演奏が素晴らしくてMCをするのをすっかり忘れていました」と口を開き、集まった観客に向けて感謝の気持ちを伝える。「次の曲が最後になります。僕たちも名残惜しいのですが、とても長い組曲なので最後まで楽しんでいってください」と呼びかけて「centers」#0から#3までをWフィルとして熱演した。
20年やってきてよかった
アンコールでは万雷の拍手に応えたWフィルが再びステージに登場。蓮沼は「僕は活動20周年になるんですけど、最初は自宅の部屋で1人で曲を作るところから始まりました。それからいろんな人々と出会い、こんなに素晴らしいミュージシャンの方々と一緒に音楽ができるようになってとてもうれしく思います。20年やってきてよかったなと喜びを噛み締めております。本当にありがとうございます!」と改めて感謝の気持ちを述べた。最後に本公演で演奏するために作ったという最新曲「Streetlighter」を届け、万雷の拍手の中、ライブを締めくくった。
セットリスト
「活動20周年記念コンサート 蓮沼執太Wフィル | Shuta Hasunuma Double Philharmonic Orchestra」2026年8月6日 サントリーホール 大ホール
01. ONEMAN / 蓮沼執太+徳澤青弦
02. Gakona / 蓮沼執太チーム
03. Meeting Place / 蓮沼執太フィル
04. ZERO CONCERTO / 蓮沼執太フィル
05. Triooo - VOL / 蓮沼執太Wフィル
06. AURA / 蓮沼執太Wフィル
07. Pierrepont / 蓮沼執太Wフィル
08. wannapunch! - Discover Tokyo - Sunny Day in Saginomiya / 蓮沼執太Wフィル
09. centers #0/#1/#2/#3 / 蓮沼執太Wフィル
<アンコール>
10. Streetlighter / 蓮沼執太Wフィル
出演者
蓮沼執太フィル
蓮沼執太 / 石塚周太(G)/ itoken(Dr)/ 大谷能生(Sax)/ 音無史哉(笙)/ 尾嶋優(Dr)/ 葛西敏彦(FOH)/ K-Ta(Marimba)/ 小林うてな(Steelpan)/ ゴンドウトモヒコ(Euphonium)/ 斉藤亮輔(G)/ 千葉広樹(B, Violin)/ 手島絵里子(Viola)/ 宮地夏海(Flute)/ 三浦千明(Flugelhorn)
宮坂遼太郎(Perc)
String Ensemble
Director:徳澤青弦(Cello Soloist, Conductor)
Concertmaster:金子昌憲
■1st Violins
村田晃歌 / 浅倉美羽佳 / 新井桃子 / 大久保良明 / 門倉茜 / 佐藤瞳子 / 奈須田弦
■2nd Violins
町田匡 / 藤岡瑞季 / 伊藤梢 / 廣田碧 / 盧佳那 / 若杉知怜
■Violas
世川すみれ / 宮川清一郎 / 武市華奈 / 難波洸
■Cellos
日下部杏奈 / 築地杏里 / 秋津瑞貴 / 岡本梨紗子
■Contrabasses
谷口拓史 / 廣永瞬
U-zhaan(Opening Remarks)


