猫戦が“ラストパーティ”と銘打った活動満了ライブ「Cats & Mellow #5 - Farewell Party -」の東京公演を8月7日に東京・東京キネマ倶楽部にて開催した。
ラストパーティ、華やかに開幕
猫戦は、原田美桜(Vo)と澤井悠人(B)によるバンド。ジャズ、ソウル、ボサノバなどを横断した軽やかかつユニークな楽曲を特徴とし、「蜜・月・紀・行」「ジンジャー・キャット・アプリシエーション」という2枚のアルバムをリリースしてきた。2人は今年5月に“店じまい”という名目で活動を満了することを発表。世界猫の日の前日となる8月7日にラストパーティを行った。
ステージにはウッドチェアに猫のぬいぐるみ、アルバム「ジンジャー・キャット・アプリシエーション」のジャケットにも使用された、猫をかたどった形のランプが置かれている。天井ではミラーボールが優雅に回り、キネマ倶楽部のノスタルジックな空間をムーディに彩っていた。そんな猫戦の音楽にぴったりの空間に、まずはホーン隊を含む演奏陣が登場。やがて澤井が姿を現しタクトを振ると、にぎやかなオープニングが奏でられる。さらにドレープしたカーテンの向こうから原田も飛び出してきて、真っ青なくす玉を割るとそこには「祝 フィナーレ」の文字が。そうして感傷的な空気を一切感じさせないまま、猫戦のラストパーティが華やかに幕を開けた。
一方通行ではない共有を
猫戦は「ざくろ」をゆったりと演奏し、そのまま「キューティー・ハニー・メロマンティック」のパフォーマンスへ。ボサノバ調の軽やかなリズムに原田のエアリーな歌声を乗せて届ける。続く「ヴァーチャル・ヴァカンス」ではフロアに心地よい揺れを生み出し、観客を猫戦の世界へと浸し続けた。「言い過ぎ」で陽気なムードを醸したのち、猫戦は「もちもち」でさらに祝祭的な高揚感を生み出していく。かと思えばメロウナンバー「双子座(gemini)」で会場の空気をクールダウン。独特な哀切さ漂う「3月号」が披露されると、原曲とは異なるエモーショナルなホーンサウンドが会場中に響き渡った。
ここで原田は大学時代の思い出を振り返りつつ、当時からのレパートリーでもある「Pap Love!」を披露。フレッシュさを感じさせるビートや鍵盤、タンバリンの音色が跳ねるように鳴らされる。若かりし頃の面影残る瑞々しい楽曲を演奏し終え、原田はひと言「懐かしいなあ」とこぼした。その後2人は、目前に迫った店じまいへの思いを語る。澤井が「目標があってやってたわけではないけど、最後にこんなにお客さんが集まってくれて、幸せやなって思ってる」とはにかみながら言葉にしたのち、原田は無理することなく猫戦の活動を続けてこられたと述懐。「自分の中で一番自然な部分とか、噛み締めてる部分だけが一致して、ここに集まれてるって感じがします」「これが初めてのバンドだし、最後かもしれないし。名前のない関係だと思うんですけど、一方通行ではない共有をできたこと、すごく思い出です。ありがとうございます」とその思いを実直に語った。
そして猫戦は「キャビア~Black Pearl~」「物語」とバラードナンバーをしっとり披露。芳醇で洗練されたサウンドと原田のシルキーな手触りの歌声がひとつになって金曜の夜に華を添える。ほのかに体を動かしながら聴き入っていたオーディエンスが万雷の拍手を鳴らし、その音を背に猫戦は舞台を去った。
お元気で。また会いましょう。
アンコールに応え、まずは原田と澤井が再登場。原田が「一方的な熱を受け取ってるという感覚がなかったのが、このバンドで楽しかったことです」と改めて語る。「勝手に歌を書いてるだけだし、皆さんがそれを勝手に持ち帰ってくださってることがうれしくて。それはこれからもあることだと思います。これからも皆さんがどこかで思い出すことがあったらいいなって。そしたら歌書いててよかったなと思うので」。そんな思いの丈を伝えたのち、猫戦は楽器隊とともに“お気に入り曲”を演奏。「蜜月」で胸を締めつけるような感傷的な空気が広がっていき、そこまで迫るパーティの終わりを誰もが感じ始める。にぎにぎしいメンバー紹介から猫戦は「CAT IS LOVE」を披露し、ライブ定番のコール&レスポンスで最後に観客とひとつに。そしてメンバー全員で横一列になったのち2人だけで深々としたお辞儀を見せ、ステージから姿を消した。
それでもパーティは終わらない。ダブルアンコールを求める観客の手拍子に応えて、再び猫戦が姿を現す。ラストに披露されたのは初めて猫戦で作った楽曲「鶴」。バンドの歴史と思い出が詰まった楽曲を、原田は時折言葉を詰まらせながら歌い、澤井は凛とした表情を見せて奏でる。そんな光景を目に焼きつけるようにオーディエンスがじっと見つめ、ラストパーティはいよいよ終幕を迎えた。演奏後に原田が「お元気で。また会いましょう」と告げ、2人は紙吹雪を降らせながらカーテンの向こうへと消えていく。誰もいなくなったステージには、猫の形をしたランプだけが温かな光を灯していた。
セットリスト
「Cats & Mellow #5 - Farewell Party -」2026年8月7日 東京キネマ倶楽部
01. Opening
02. ざくろ
03. キューティー・ハニー・メロマンティック
04. ヴァーチャル・ヴァカンス
05. 言い過ぎ
06. もちもち
07. 双子座(gemini)
08. 3月号
09. Pap Love!
10. キャビア~Black Pearl~
11. 物語
<アンコール>
12. 蜜月
13. CAT IS LOVE
<ダブルアンコール>
14. 鶴
Photo by Yuto Odagiri


