8月14日から15日にかけて、千葉・ZOZOマリンスタジアム&幕張メッセと大阪・万博記念公園で音楽フェスティバル「SUMMER SONIC 2026」が開催された。音楽ナタリーでは幕張公演の3日間について、ヘッドライナーおよびサブヘッドライナーのステージを3本の記事に分けてレポート。この記事では2日目のヘッドライナーであるAdoのライブを中心に伝える。
Fujii Kazeのサプライズ出演にフロアは騒然
2日目公演は、メインステージであるZOZOマリンスタジアムのMARINE STAGEには、デスティン・コンラッド、mgk、アレックス・ウォーレンといった海外の新世代がそろい、一方で幕張メッセのMOUNTAIN STAGEにはジョン・スペンサー、Suede、デヴィッド・バーンといったレジェンドたちが登場。
日本のアーティストは、MARINE STAGEにHANAとBE:FIRSTが出演したほか、幕張メッセでは羊文学、サカナクション、Cornelius、電気グルーヴ、中島健人、GENERATIONS、MAZZELなどがライブを繰り広げた。
また幕張メッセ内のSONIC STAGEで15:50にスタートしたエルミーンのライブでは、サプライズでFujii Kazeが登場。エルミーンに呼び込まれ、キーボードを持ち込んでFujiiがステージに現れると、フロアは騒然となった。そして2人は、6月にリリースしたコラボシングル「Comets + Gold」を歌唱。この曲だけバックバンドは演奏に参加せずに、Fujiiのピアノだけのシンプルなサウンドで披露され、2人が美しい声を響かせると、ざわついていた会場が一瞬で静まり返った。なお、ほかにもサプライズゲストとして、電気グルーヴのステージに日出郎が参加している。
Adoがヘッドライナーとしての格を見せたMetallicaカバー
ヘッドライナーとしてMARINE STAGEのトリを務めたのはAdo。開演時刻を迎え、ステージ上のスクリーンに映し出されたのは、Adoが本フェスのヘッドライナーに抜擢された際にネット上に書き込まれた、洋楽フェスのトリを彼女が務めることに対する批判や中傷の言葉の数々だった。そして、自らに問いかけるような「覚悟はあるのか?」という文字が大写しになり、1曲目がスタート。その曲とは、サマソニで過去に2度ヘッドライナーを務めているMetallicaの「Enter Sandman」のカバーだった。思わぬ選曲でスタジアム中の観客が呆気にとられる中、バンドメンバーが鳴らすヘビーなサウンドに乗せ、Adoはざらついた低い声でうめくように、そしてがなり立てるように歌い上げる。
フルサイズで「Enter Sandman」を歌い終えたAdoは、ここから始まるライブに対して「正しさとは 愚かさとは それが何か見せつけてやる」と宣言するかのように高らかに声を響かせて、休むことなく「うっせぇわ」へ突入。ブラストビートのような激しいリズムにアレンジされたバンドサウンドに乗せて絶叫し、広いスタジアムの空気を一気に掌握した。この衝撃的なオープニングで、サマソニのヘッドライナーとしての格をしっかりと見せつけたAdoは、その後もロックフェスへのリスペクトを感じさせる攻撃的なセットリストでライブを進行。初の全編英語詞の新曲「ASTEROID」も初披露され、会場は大いに沸いた。
それまで箱の中に入った状態で歌っていたAdoだが、中盤からは箱の外に出てパフォーマンスを展開。これまでもワンマンライブでは箱の外に出ることがあったが、フェスで箱から出るのは初の試みとなった。以降、箱に囲まれたシルエットとは違う生身のAdoがステージ上で伸び伸びと歌い踊る姿に、観客の熱狂はさらに加速していく。ライブ後半には、昨年のワールドツアーでも披露されたシーアのカバー「Chandelier」を圧倒的な声量と表現力で熱唱。客席の洋楽ファンを驚嘆させ、誰の曲でも歌いこなす"歌い手"としての矜持を見せつけた。また「ロックスター」では、会場中から巻き起こるハンドクラップの中で歌う「今夜アタシはロックスター」というフレーズが、いつも以上に説得力を持ってスタジアムに響き渡った。
「日本人としてここに立てて本当にうれしい」
熱いステージを繰り広げたAdoは、MCで観客に向けて「世界のスペシャルなアーティストたちが立ってきたステージで、日本人の私がヘッドライナーを務めるということで、きっといろいろと思った方もいたかもしれません。でも、今日の私の歌を聴いて、私がふさわしかったかどうかはもうわかりましたよね?」と、自身に満ちた口調で問いかける。これに大歓声が沸き起こる中、Adoはさらに言葉を続ける。
「なんならこの『SUMMER SONIC』で尽き果ててもいい、この声を枯らしてもいい。それくらいの覚悟で、皆さんに魂を捧げたいと思っていました。日本人としてここに立てて本当にうれしいですし、この時間は私の一生の宝物として生涯刻まれることになるでしょう。『SUMMER SONIC』の25年の歴史を紡いできたすべてのアーティストと、これまで『SUMMER SONIC』に来てくれたすべての人に、日本人として感謝いたします」
そしてキラーチューン「唱」と「踊」を立て続けに投下し、ライブ本編は終了。熱い拍手と歓声に呼び戻されたAdoがアンコールとして歌ったのは、なんとこの日の1曲目に披露したMetallica「Enter Sandman」だった。まさかの展開に会場は熱狂の渦に。冒頭では呆気にとられていたオーディエンスも多かったが、今度はたくさんの人々が拳を突き上げて一緒に歌っていた。


