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忘れらんねえよ「なんもねえ」に宿る仏教の救い / 星野源の「好き」を聴いて今の自分を好きになる

再生数急上昇ソング定点観測
5分前2026年08月28日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで8月14日から8月20日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、12位にiLiFE!の「アイドルライフメガパック」が登場した。ライブでのコールや振りコピを楽しめる“アイドルライフシリーズ”の第4弾となる今作は、8月16日のMV公開から1週間で320万再生を突破。8月26日にはソニー・ミュージックレーベルズからメジャーデビューすることも発表され、iLiFE!は今、破竹の勢いを見せている。

19位にはEBiDAN(恵比寿学園男子部)「Yes! 東京」MVの「おのおののネームver.」がランクインした。「Yes! 東京」はEBiDANの15周年記念シングルとして制作された、祝祭感あふれるポップソング。今回ランキング入りした「おのおののネームver.」は、7月に公開された「Yes! 東京」オリジナル版MVに出演している60名全員に名前のテロップを追加した映像で、メンバー“各々の名前”が何度も登場し、観ていると思わず笑ってしまう。

25位に登場したのはKO1KEYZ「KO1KEYZ」だ。KO1KEYZは日本最大級のサバイバルオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN 新世界」から誕生した12人組グローバルボーイズグループ。彼らのデビュー曲「KO1KEYZ」は、90年代を彷彿とさせるサウンドをベースにしつつ、初恋のときめきを詰め込んだ、かわいさとフレッシュさが感じられる楽曲だ。

アイドル&ボーイズグループの新曲が目立った今週は、下記の3曲をピックアップする。

忘れらんねえよ「なんもねえ」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場1位

忘れらんねえよの新曲「なんもねえ」が初登場1位に輝いた。今作はテレビアニメ「ヤニねこ」のオープニング主題歌として書き下ろされた楽曲だ。印象的なのは、曲中に何度も登場する「なんもねえ なんもねえ」というフレーズ。曲の前半を聴いていると、何も持っていない自分たちのことを堂々と歌い上げる姿にロックな生き様を感じた。

しかし聴き進めるうちに、「目に見える形あるものは、すべて実体がない」という仏教の考え方「色即是空」を表しているようにも思えてきた。学歴、お金、地位や名誉など、世の中で価値があるとされているものも、突き詰めれば人間が作った価値観にすぎない。そう考えれば、そんなものに振り回される必要はない。「なんもねえ」という境地に立てば、既存の価値観から自由になり、この困難な時代を乗り越えていける──そんな救いの歌にも聞こえてくる。

MVには忘れらんねえよの柴田隆浩に加え、ヤニねこ役の夏吉ゆうこ、大家役の稲田徹、アニメ「ヤニねこ」監督の木村拓、マンガ原作者のにゃんにゃんファクトリー、そして「AnimeJapan 2026」でヤニねこのコスプレを披露した赤猫座ちこも出演。個性豊かな面々が見覚えのある「地下収容施設」に集結する、カオスな映像に仕上がっている。

星野源「好き」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場11位

星野源の「好き」はドラマ「君の好きは無敵」の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。筆者はこの曲を聴いて、幼い頃に初めて知った「好き」という感情を、成長して変わり続ける自分自身にも向けられるようになるまでの物語なのではと感じた。

冒頭では、幼い日に芽生えた「好き」に戸惑いながらも、その感情を言葉にする必要はないと歌う。やがて、鏡に映る自分を「嫌い」と思う瞬間にも、その中にある「好き」を見つけていく。「ありのままでいい」というきれいごとではなく、変化し続ける自分だからこそ、その時々の自分を好きでいたい。そんな自己肯定の形が描かれているのだろう。

MVは星野自らが監督、撮影、プロデュースを担当した。過去のMVもすべて星野自身がプロデュースしており、監督や編集を担当した作品も発表されているが、自らこの3役を務めるのは今作が初。MVでは星野が、親交の深い藤井隆、飯尾和樹(ずん)とともに三人旅を繰り広げている。終始、笑顔で楽しそうに過ごす3人が映っていて、その幸福感に包まれるムードからは、LoveもLikeも超越した“Suki!”が伝わってくる。

BIGBANG「BiiiG」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場36位

BIGBANGの「BiiiG」は、デビュー20周年という節目に制作されたエネルギッシュなヒップホップチューン。楽曲全体を貫く中毒性の高いフックを軸に、G-DRAGONの鋭くラディカルなラップ、TAEYANGのグルーヴィなボーカル、DAESUNGのパワフルかつソウルフルな歌声が有機的につながり、3人それぞれの個性を存分に引き出している。

歌詞にはサルバドール・ダリやモハメド・アリといったアイコニックな人物を想起させる比喩表現が登場。また2008年に発表された楽曲「Sunset Glow」を思わせる熱く叙情的な雰囲気も印象的で、かつての彼らを知るリスナーには懐かしさを感じさせつつも、アップデートした3人のラップとボーカルによって、今のBIGBANGの魅力をそのまま提示している。20年のキャリアを重ねてもなお、BIGBANGが自分たちらしい音楽で突き進む姿を感じさせる1曲だ。

フェスティバルのような空間を舞台に、ウィットに富んだ楽曲の世界観や3人の存在感を映像化したこのMV。遊び心に満ちた演出も相まって、彼らならではの自由奔放さが伝わる映像になっている。

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