K-POPは“アートワーク”をどう捉えている?
「SUMMER SONIC 2023」に出演し、日本の音楽シーンでも大きな関心を集めているNewJeans。彼女たちは、音楽性はもちろん、ミュージックビデオやメンバーのスタイリングを含めたビジュアルメイキング、CDやグッズのデザイン性など、クリエイティブ面でも多くの人々を惹きつけている。デビュー作である1st EP「New Jeans」は、メンバー全員のバージョンと5人のメンバーにそれぞれフォーカスした個人盤をラインナップした「Bluebook Ver.」、グループを象徴するウサギのキャラクターをプリントした「Weverse Albums Ver.」、そして円形のポシェット状のバッグが付属する「Bag Ver.」などが用意され、アーティストの世界観が凝縮された大ボリュームのフォトブックやステッカー、フォトカードなどもたっぷり封入された。初めてK-POPの“CD”に触れた人は、その豪華さに目を丸くしたのではないだろうか。形態数に多少の幅はあれど、日本のCDショップに陳列されるK-POPの輸入盤も例外ではない。BiSHやKing & Prince、ELLEGARDENといったアーティストのクリエイティブを手がけてきたTI_ALTのアートディレクター・Shinya Hanafusa氏はK-POPの“CD”について次のように語る。「アイテムの実物を手にして思うのは、明らかに日本よりも予算が多いということ。ヘタしたら桁が違うレベルです」日本にもクリエイティブに膨大な予算を投じるアーティストもいるが、そう多くはないのが現状だ。なぜ韓国の音楽業界はアートワークに膨大な予算を投じられるのだろうか? そもそも、韓国の音楽シーンでは“クリエイティブ”をどのように捉えているのか。本稿では、1990年代以降のJ-POPのアートワークを参照しつつ、日韓それぞれのクリエイティブ現場で活躍するディレクターへのインタビューを通じてこれを紐解く。
約1年前