hideの没後20年メモリアルライブイベント「hide 20th memorial SUPER LIVE『SPIRITS』」が4月28、29日に東京・お台場野外特設ステージJ地区で開催された。この記事では初日28日公演の模様をレポートする。
初日にはhide with Spread Beaver(ゲスト:PATA)をはじめ、hideと縁のあるMUCC、ZEPPET STORE、OBLIVION DUST、D'ERLANGER、BUCK-TICKという豪華バンドが集結。雲1つない快晴と初夏のような陽気の中、亡きhideへの思いを込めるようにそれぞれが熱演を繰り広げた。
トップバッターを務めたのは、出演者の中でも最若手となるMUCC。逹瑯(Vo)の「快晴だ! 最高だ! 今日はhideさんにライブを見せつけに来ました」という言葉から4人は普段のライブでは終盤に披露する「蘭鋳」を投下。いきなりハードチューンを叩き込み、そのまま「ファズ」「KILLEЯ」といったライブの定番曲をプレイし気合いのほどをアピールしていく。自分たちの曲を披露する一方、中盤では「せっかくこういう機会なので、カバーをやらせていただきます。散々悩んだ結果、この曲になりました」という紹介から、HIDEが作詞作曲を手がけたX JAPAN「SCARS」のカバーを届ける粋なパフォーマンスも。逹瑯が情感たっぷりに歌い上げ、ミヤ(G)、YUKKE(B)、SATOち(Dr)も丁寧に、力強くそれぞれの楽器を奏で自分たちのプレイを大先輩に手向けた。
MUCCのライブ後、MCとして姿を見せたCUTT(SPEED OF LIGHTS)はギター弾き語りでhide「LEMONed I Scream」のカバーを披露し、来場者に1日を満喫できるように諸注意を促した。青い空の下、ZEPPET STOREは木村世治(Vo, G)が天を指差してからhide「GOOD BYE」のカバーを1曲目に披露。hideもお気に入りだったというナンバー「FLAKE」などをプレイし、「晴れてよかったですね! 今日は素敵な先輩、仲間たちとこのステージに立てて光栄です!」と挨拶した。その後、バンドは「PARANOID」で観客のハンドクラップを誘い、豪快なバンドサウンドとポップなメロディが絡み合う「NANCY」、そしてラストに「THE GAME」を届けて颯爽とステージをあとにした。
OBLIVION DUSTは「Sink The God」「Nightcrawler」などアグレッシブなナンバーで構成したセットリストを用意。Yシャツにネクタイというシックな出で立ちのKEN LLOYD(Vo)はときに艶めかしく、ときに猛るような歌声を響かせ、K.A.Z(G)とRIKIJI(B)はステージを縦横無尽に動き回りながらプレイを展開していった。また、KENは「hideにはOBLIVION DUSTスタートからお世話になったので、色鮮やかな皆さんと過ごすことができてうれしいです」とhideと集まった彼のファンに向かって語り、恩人への思いを込めてzilch「ELECTRIC CUCUMBER」をカバー。メンバーはヘビーなバンドサウンドを晴天のもとに轟かせ、オーディエンスを狂乱の渦へと巻き込んでいた。
続いてステージに立ったD'ERLANGERは、まず「Harlem Queen Complex」「Harlem Queen Romance」と最新アルバム「J'aime La Vie」の収録曲を連投。kyo(Vo)は大勢の観客を見渡して「相変わらずヤキモチ焼くくらい(hideは)愛されてるね! せっかくだから今日はヤキモチ焼かせてやろうと思います。高いところまで届けましょう!」と呼びかけ、「SADISTIC EMOTION」を熱唱。さらに「LULLABY」「CRAZY4YOU」と新旧織り交ぜたアッパーチューンを畳みかけ、興奮を誘った。そして「あっという間に終わっちゃうからさ、君たちの声も届けたいと思うんだよね! “限界を破裂”させてさ! “バライロノセカイ”へ!」というkyoの含みを持たせたMCに続いて、彼らはhide with Spread Beaverの「ever free」をカバー。ソリッドかつエモーショナルなアレンジで観客の心をつかんだ。
BUCK-TICKのライブはhide「DOUBT」のカバーで幕を開け、オーディエンスをどよめかせた。続いて「ICONOCLASM」のグラマラスなサウンドが響いたあと、最新アルバム「No.0」の収録曲「GUSTAVE」では櫻井敦司(Vo)の猫の手ポーズを観客が真似する一幕も。その後も彼らは「薔薇色十字団 -Rosen Kreuzer-」「IGNITER」など「No.0」の楽曲を中心としたセットリストを展開し、現在のBUCK-TICKのモードを幅広いオーディエンスに見せつけた。櫻井は「今日このステージに立てるのはhideくんのおかげなので、感謝したいと思います」と語り、琉球音階を取り入れた「Memento mori」で会場の一体感を高める。ラストは「無題」の壮絶なアンサンブルで締めくくった。
日が暮れて夕焼け空が広がる中、hide with Spread Beaverが2016年10月の「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 Powered by Rakuten」から約1年半ぶりに集結。ステージの真上に掲げられていたイベントロゴのボードが上がり、スクリーンが現れると、「A STORY」をBGMに在りし日のhideの写真の数々が映し出された。また舞台の中心にはhideの愛器である通称“イエローハート”モデルのギターが置かれており、そのギターにスポットライトが当たってからオープニングSE「Spread Beaver」が流れ、カラフルな衣装をまとったSpread Beaverのメンバーが次々に登場。彼らは1曲目に「ROCKET DIVE」を投下し、ライブの口火を切った。
「DICE」に続く「SCANNER」はDIEがシンセリード、CHIROLYNがスラップを交えた伴奏、Kiyoshiがエフェクティブなギターサウンドを奏でるなど、よりヘビーかつアグレッシブなアレンジにアップデートして届けられた。スクリーンのhideが「お客さん! やっちゃってくださいな!」と煽り、「ギター石塚智昭!」と“助っ人怪人”のPATA(G / X JAPAN、Ra:IN)を招き入れた。バンドは大歓声に迎え入れられたPATAのリフで始まった「CELEBRATION」、hideの優しい歌声が印象的な「FLAME」のほか、「ピンク スパイダー」「MISERY」と多彩な楽曲群を披露。「OBLAAT」では巨大な風船が観客の頭上を舞い、ステージではDIEが花道を駆け抜け、I.N.A.がカラーボールを投げ、Kiyoshi、CHIROLYNが寝そべって演奏するなど予測不能のパフォーマンスを展開して観客のボルテージを引き上げた。演奏後、Kiyoshiは「hideのために集まってくれてありがとう! “怪人”の紹介をします!」と1人ひとりメンバーを紹介。そして「お台場まだいけるよな! hide、お前もいくぞ!」と叫び、「ever free」へ。軽快なギターサウンドとキャッチーなメロディで会場の一体感を高めた。CHIROLYNが「ようし、今日は初日だ、このへんにしといてやろう! ひっさびさでチョー楽しいぜ! hide! ラストソングいくぜ!」と元気よく話すと、スクリーンに映るhideが「それでは最後の曲です」とタイトルコールをして、「TELL ME」を歌唱。初日公演のラストを華やかに飾った。
※記事初出時、キャプションに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
撮影:緒車寿一、田中和子