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高野寛のアニバーサリー公演にゲスト続々「これが30周年のmusic」

6年近く前2019年01月18日 10:05

2018年にデビュー30周年を迎えた高野寛が、1月14日に東京・日本橋三井ホールでアニバーサリー記念ライブ「Spectra Special」を開催した。

昨年10月には自ら選曲した3枚組のベスト盤「Spectra ~30th All Time & Collaboration Best~」をリリースし、それからデビュー30周年記念ツアー「Spectra~season 1.」を全国で開催してきた高野。この日の公演には彼の30年の音楽活動を彩ってきたゲストたちが参加することが事前にアナウンスされており、ファンの間で話題を集めていた。

30周年記念ライブは「(それは)music」からスタート。高野はブラジルで録音された2014年のアルバム「TRIO」からのナンバーを「これが30周年のmusic」とさらりと歌いつつ、鈴木正人(B)、坂田学(Dr)、斉藤哲也(Key)、田中拡邦(G, Cho)という気心の知れたバンドメンバーとリラックスした雰囲気で届けて満員の会場を温めていく。「待ちに待ったこの日がやって来ました。何しろ30年分なんで、ギュッと凝縮してやってみます。音楽のタイムトリップを味わってください」というMCを挟み、2ndアルバム「RING」収録の人気曲「Is That Love?」、11枚目のアルバム「Rainbow Magic」からメランコリックな「Each other」を披露。ポップなソングライティングや歌心といった自身の魅力を表現していった。「最近のライフワーク」と呼ぶアコースティックギターの弾き語りコーナーでは、1988年のデビューから歌い続けている、詩情あふれる「夜の海を走って月を見た」と、リアルな日常をつづった1995年の「相変わらずさ」を演奏。「相変わらずさ」では「僕はギターを持って日本橋へ」「一夜限りのお祭りの歌さ」と歌詞を変えて歌っていた。

「ここで1人目のゲストを」と呼び込まれたのは原田郁子。高野は20年前に高野のファンであるクラムボンのミト(B)からカセットテープを手渡された際、「一聴してすぐに電話をした」というエピソードを話す。以降、親交を温めてきた2人は、竹中直人監督の映画「サヨナラCOLOR」のサウンドトラックに収録されたハナレグミ&クラムボン&ナタリーワイズ名義の「サヨナラ オハヨウ」を2人だけの演奏と歌で披露した。それから2人がユニゾンでしっとり歌う「Change」に続けて、クラムボンのナンバー「id」のカバーにも挑戦。バンドは坂田の力強いドラムを中心に一丸となり、2人の歌をエモーショナルに熱く盛り上げた。

続いて登場したのは浜崎貴司。浜崎はFLYING KIDSもデビュー30周年を迎えたことを高野に伝え、2人は互いにエールを交換し合う。それからFLYING KIDSの「僕が言えることのすべて」、高野のアルバムにFLYING KIDSがコーラスで参加した「All over Starting over~その笑顔のために~」を同世代同士でソウルフルに歌い上げた。忌野清志郎との思い出を飄々とした浜崎とユーモアたっぷりに語ったあとには、清志郎が日本語カバーしたThe Monkeesの「デイ・ドリーム・ビリーバー」を歌い、「ここでもう1人、古い友達が急遽駆け付けてくれました」と、ゲストに告知されていなかった宮沢和史をステージに招き入れる。高野はソロプロジェクトやGANGA ZUMBAで共に活動した宮沢について、「一番海外で一緒に演奏した仲間であり、曲もたくさん作ってきた特別な友達」と紹介。浜崎も含めて公私に渡り親交が厚い同期デビューの3人による「中央線」と、高野がプロデュースを手がけたTHE BOOMの「24時間の旅」が演奏されると、観客は思いがけないサプライズに喜んでいた様子だった。

次のゲストは、ゴールドのチャイナドレスに身を包んだ野宮真貴。1曲目は高野と初めてレコーディングで共演したTOWA TEIのアルバム「Future Listening!」の収録曲「甘い生活(La Douce Vie)」。大人のボッサなラブソングでムードを変えて、異国情緒漂う「上海的旋律」へと続けた。ピチカート・ファイヴ解散後初の野宮のソロアルバム「LadyMissWarp」で高野がプロデュースと作曲を手がけ、高野自身も昨年のアルバム「A-UN」でセルフカバーしているこの曲を2人で演奏していく。さらに1992年に高野寛&田島貴男名義でリリースした「Winter's Tale ~冬物語~」をデュエットしていった。

高野が「プロデューサーと言えば親も同然」と煽ったあとに高橋幸宏が登場すると、会場は大きな拍手で包まれた。高野の才能を見出し、デビューアルバムのプロデュースも務めた高橋に「高野くん、万年青年すぎ。爽やかすぎ」と突っ込まれながらも、高野は「幸宏さんのソロデビューとYMOが40周年で、僕が30周年って何か不思議な気がして……」と感慨深く語る。ここでは高橋のソロ曲「DISPOSABLE LOVE」、高野のトリビュートアルバムでもカバーされた「やがてふる」が幸宏節で届けられた。そして高橋はデビュー当時を振り返り、「高野くんは歌詞がピュアで惹かれました。でも、僕のあとにトッド(・ラングレン)がプロデュースしたらすぐ売れましたね」と観客を笑せる。そして高野にとっては“もう1人の恩人”であるトッド・ラングレンの「I Saw The Light」を2人で歌い、30年来の師弟共演を締めくくった。

バンドメンバー紹介のあとは、高野とバンドだけで後半戦に突入。静かで力強い歌を届けた「確かな光」、サイケデリックでドリーミーなサウンドが際立つ「エーテルダンス」、2009年に亀田誠治プロデュースで制作された「Black & White」を立て続けに聴かせると、大勢の観客が席から立ち上がる。「もっと高いところへ、遠いところへ」という言葉を放ち歌い始めた大ヒットナンバー「虹の都へ」では会場が虹色の照明に染まり、オーディエンスからは歓声が湧き起こった。そして本編のラストは、「20代の頃のようなラブソングを意識した」という2017年発表の「Portrait」、1989年に小林武史と共同プロデュースした「Blue Period」、1991年にヒットした「ベステンダンク」というポップかつロックなメドレーに。高野は「虹の都へは遠すぎるようだ」と歌っていた「ベステンダンク」の歌詞を「手が届きそうだ」と歌い変え、「ベステンダンク、ありがとう」という言葉で本編を終了させた。

アンコールで1人ステージに現れた高野は、まずはGREEN DA・KA・RAのテレビCMでおなじみの「グリーンダカラちゃんのうた」を物販の販促ソングにアレンジして歌ってみせる。そしてバンドが再び登場すると、「みんなの声を聞かせてください」と、自ら「ララララ」と歌い始め、坂本龍一プロデュースの「夢の中で会えるでしょう」を観客と共に歌い上げた。そしてこの日のゲスト全員を呼び込み記念撮影をしたあと、晴れやかな笑顔で「30年続けてこられた幸せを噛みしめています」と挨拶した。「今日が第二のデビューという気持ちを込めて」と前置きしたのちに最後にデビューシングル「See You Again」を歌い、3時間を超えるデビュー30周年記念ライブは終了。ソロアーティストとして、またプロデューサー、ソングライター、ギタリストとしても活躍してきた高野の幅広い音楽性と、多岐におよぶこれまでのコラボレーションが結実した夜となった。

高野は今後、5月12日に同会場で自身がプロデュースする30周年記念コラボレーションライブ「Spectra Harmony」を開催する。こちらには高野のほか宮川剛と鈴木正人がバンドメンバーとして登場。さらにゲストとして畠山美由紀、ハナレグミ、おおはた雄一、坂本美雨が出演する。現在チケットぴあでは、1月24日23:59までこの公演のチケット先行予約を受け付けている。

高野寛「Spectra Special」セットリスト

01. (それは)music
02. Dog Year, Good Year
03. Is That Love?
04. Each other
05. 夜の海を走って月を見た
06. 相変わらずさ
07. サヨナラ オハヨウ(高野寛×原田郁子)
08. Change(高野寛×原田郁子)
09. id(高野寛×原田郁子)
10. 僕が言えることのすべて(高野寛×浜崎貴司)
11. All over Starting over ~その笑顔のために~(高野寛×浜崎貴司)
12. デイ・ドリーム・ビリーバー(高野寛×浜崎貴司)
13. 中央線(高野寛×宮沢和史×浜崎貴司)
14. 24時間の旅(高野寛×宮沢和史)
15. 甘い生活(高野寛×野宮真貴)
16. 上海的旋律(高野寛×野宮真貴)
17. Winter's Tale ~冬物語~(高野寛×野宮真貴)
18. DISPOSABLE LOVE(高野寛×高橋幸宏)
19. やがてふる(高野寛×高橋幸宏)
20. I Saw The Light(高野寛×高橋幸宏)
21. 確かな光
22. エーテルダンス
23. Black & White
24. 虹の都へ
25. Portrait~Blue Period~ベステンダンク
<アンコール>
26. 夢の中で会えるでしょう
27. See You Again

高野寛「デビュー30周年記念 コラボレーションライブ『Spectra Harmony』」

2019年5月12日(日)東京都 日本橋三井ホール
<出演者>
高野寛 / 畠山美由紀 / ハナレグミ / おおはた雄一 / 坂本美雨 / and more

文:佐野郷子 / 撮影:三浦憲治

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