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店長たちに聞くライブハウスの魅力 第6回 兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎

6年以上前2019年01月22日 9:02

全国のライブハウスの店長の話を通して、それぞれの店の特徴やライブハウスの魅力を伝えるこの連載。第6回は兵庫・MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎の店長・風次氏に登場してもらった。“音楽動物園”をコンセプトに掲げ、自らを同店の園長と位置付ける風次氏に、店の設立の理由やこだわりを聞いた。

30歳を迎えた2010年の寅年に設立

「当店の店長は僕ですが、設立当時から一緒にがんばってきた松原裕がオーナーで、同時に彼がこの店を運営しているパインフィールズという会社の社長も務めています。彼とはお互いバンド活動をしていたときに、対バン相手として知り合いました。それから神戸のあるライブハウスで一緒に働くようになったのですが、しばらく働くうちに『今まではライブハウスを守っていたけど、今度は自分たちの手でライブハウスを作りたい』という夢を2人で話すようになりました。そしてどちらも30歳を迎えた2010年の寅年にこの夢を実現させたんです」

忘年会で「太陽と虎!」と叫んだ

「店の準備は着々と進んでいったけれど、名前がなかなか決まらなくて。悩んでいるときにスタッフと忘年会を行ったのですが、そこでもスタッフ全員で店の名前について頭を悩ませていました。そのとき僕が突然『太陽と虎!』と叫んだんです。みんなびっくりしつつも、『略してタイトラか、ええやん』とうれしそうに言ってくれたのですが、松原だけは納得してくれなくて。でも店の出資は僕がするわけじゃないし、判断は任せると彼に伝えました。そしたら松原は『じゃあ店の名前は、“神戸MaccA”にする』と宣言して……納得いかなくて家出しました(笑)。そのあと占い師である松原の親が名前占いをしてくれて、太陽と虎は画数がいいという結果が出たおかげで、現在の店名に決まりました。店の名前を叫んだ瞬間、“音楽動物園”というコンセプトまで浮かんでいたので、この名前に決まってよかったなと思います」

工事中のこけら落とし公演

「店のこけら落とし公演は2010年5月8日に行われたPay money To my Painのツアー『“PTP 2010 STAY REAL TOUR” ~幻のOPEN前工事中プレプレイベント~』です。公演タイトルにもありますが、この店は同年6月プレオープン、7月本オープンで、スタッフの手違いで店の工事中にスケジュールを入れてしまった公演なんです。この日のためだけに音響機材などを準備して、砂煙の中で実施したこの公演は思い出に残ってます」

「タイトラには昔世話になったから」という言葉に感じた仕事のやりがい

「踊ってばかりの国、HAPPY、キュウソネコカミ、フレデリック、パノラマパナマタウンなど、地元のバンドには思い入れがあります。彼らががんばっている姿を見るとうれしいですね。あと実は2016年に松原がガンを患っていることがわかったのですが、そこから普段は大きい会場でライブをしているHi-STANDARDやUVERworldなどが『タイトラには昔世話になったから』と言って出演してくれることが多くなりました。そういう言葉を聞くと、一生懸命仕事をしてきてよかったなと思います」

風次ハリケーン、松原インフェルノ、哲平アッパーカット

「オープン当初から携わっているスタッフとしては、僕と松原のほかに(吉川)哲平というスタッフがいて、この3人の名前が入ったオリジナルカクテルがあるんです。僕のカクテルは“風次ハリケーン”、松原のは“松原インフェルノ”、哲平のは“哲平アッパーカット”。アルコール度数が少し高いですが、この3杯をライブ前に全部飲んだら100%ライブを楽しめるんじゃないかと。中身は企業秘密です(笑)。あとはパインフィールズがARCOBALENOという紅はるかを使ったスイーツ店も経営していて、そのつながりで紅はるかソフトクリームが作れる機械も置いてあります」

打ち上げを通してアーティスト同士が絡めるきっかけを作りたい

「僕は打ち上げという、人と人とが出会える場を大切にしています。僕自身がバンドをやっていた当初は、対バン相手を敵だと思っていて、打ち上げのときはほかの出演者と全く喋らなかった。でも松原と出会った日の打ち上げで、“ここって敵とかそういうことを考える場所じゃないねんな”って彼に気付かされたんです。そういう自分の経験もあって、打ち上げを通じてアーティスト同士が絡めるきっかけを作りたいと思っています。その起爆剤代わりというか、僕は基本的に“出オチキャラ”として打ち上げに登場していて。日によって見た目が違って、付け顎を装着してめちゃめちゃ顎が長い日とかあります。笑いを軸に、僕自身もアーティストと信頼関係が築けたらいいなという思いもありますね。そのために日頃から彼らと同じ目線で仕事をするようにも心掛けています」

すべてにおいて真面目にふざける

「僕らの仕事って裏方業やけどクリエイティビティは持っていなければと考えていて、いろんなことをいかに相手に面白く伝えられるかを重視しています。例えば店のWebサイトに記載してある注意事項(参照:ABOUT内タイトラ!初心者マニュアル)も、その点を意識して書きました。ふざけているように見えるかもしれませんが、注意事項なんて真面目に書いてあったって誰も見ないし、根っこにはちゃんと伝えたいって思いがあるんです。大きな告知解禁があるときは、スタッフが集まって“どうやってボケるか会議”をするんですけど、真剣に考えすぎてめっちゃしんどいですよ(笑)。うちの店はすべてに置いて“真面目にふざける”方針なんですが、それが太陽と虎ならではの魅力になっているのかもしれませんね」

店舗情報

住所: 〒651-0094 神戸市中央区琴ノ緒町2-1-253
アクセス:JR三ノ宮駅、阪急三宮駅、阪神三宮駅各線より徒歩5~10分
営業時間:公演により異なる
定休日:なし
ロッカー:なし ※クロークあり
駐車場:なし
再入場:公演により異なる
キャパシティ:250人
ドリンク代:600円
フリーWi-Fi:なし
貸切:可
※情報は1月22日時点のもの。

※記事初出時、一部文章に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。

取材・文 / 酒匂里奈(音楽ナタリー編集部) 撮影 / 秋和杏佳

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