JOYSOUND 音楽ニュース
powered by ナタリー
「JOYSOUND X1」公式サイトJOYSOUND公式キャラクター「ジョイオンプー」

「ラップスタア誕生」ついに決着!圧倒的スキル見せた優勝者や審査員が結果を語る

「ラップスタア誕生」ファイナルステージ進出者。左からItaq、week dudus、ralph、麻凛亜女、noma。
5年近く前2020年10月29日 14:04

次世代ラッパーを発掘するオーディション番組「ラップスタア誕生」の最終回が本日10月29日に配信され、優勝者がralphに決定。音楽ナタリーではファイナルステージ終了後、オーガナイザーのRYUZO、審査員のKダブシャイン、ANARCHY、SEEDA、HUNGER、伊藤雄介、そして優勝者のralphに取材を行った。

2017年にスタートし、WILYWNKA(変態紳士クラブ)、Tohji、Leon Fanourakis、¥ellow Bucksといったシーンの最前線で活躍するラッパーを過去3シーズンで輩出してきた「ラップスタア誕生」。「ヒップホップの本当に大切な部分を教えたい」という思いから番組を立ち上げたというRYUZOは、今シーズンについて「やっと火が付いてきた感じがする。これまでのシーズンの出演者がすごく売れてることもあって、視聴者の反応も全然違った」と語る。審査員も同感の様子で、伊藤は「シーズンを重ねるごとに番組の注目度が上がってきているし、応募者数の増加に比例して明らかにレベルも上がってきている。番組がちゃんと審査していることがラッパーたちに知れわたって応募しやすくなってると思うんですよね。蒔いてきた種が大きなうねりになってるのを今シーズンで感じました」と述べた。今シーズンには過去最多となる1416名のラッパーが応募し、5名のみがファイナルステージに進出したが、ファイナリスト以外にも将来有望なラッパーが数多くいたとのこと。惜しくも敗退した出場者の中で特に印象に残ったラッパーを審査員に聞くと、TOFUやG:ntの名前が多く挙がった。

noma、麻凛亜女、week dudus、ralph、Itaqが無観客の東京・WWW Xでライブパフォーマンスを繰り広げたファイナルステージでは、ralphが2位のweek dudusに大きなポイント差を付けて優勝したが、結果について伊藤は「正直もっと僅差になると思ってたんですよ。僕はパフォーマンス部門ではdudusを1位にしました」と語り、SEEDAは「楽曲ではdudusを選びました。dudusの2曲目が1日の中で一番食らった」と評価。HUNGERも「ヒップホップの世界的なトレンドにビシッとハマってる人という意味でdudusくんを日本代表として選抜したい気持ちもありました」と迷いがあったことを明かした。

そうしたせめぎ合いもありつつ、優勝を掴み取ったralphについて、Kダブシャインは「自分もアングラから始めてるから、ストリートをダイレクトに感じるような存在はいいなって思うし、それでラップがよければ文句ないよって感じですね」と称賛しつつ、今後について「持ち味を保ちながら、より幅広いオーディエンスにどうアプローチしていくかがポイントかなと思う」とコメント。優勝決定前の審査中からralphを高く評価し、レコーディングに誘っていたANARCHYも「ストリートの代弁者として、いろんな人の気持ちを歌って、みんなを引っ張っていけるようなラップスタアになってくれたらと思います」とralphがよりポピュラーな存在になることへの期待を語った。

一方、伊藤はralphについて「今のシーンの構造からするとアウトサイダーなので、メインストリームで馬鹿売れするラッパーかっていうとわからないです」と率直に語りつつ、「リリックにしても、孤高の一匹狼みたいなスタンスにしても、アングラのカリスマになったTHA BLUE HERBに近い匂いを感じていて。彼もアングラからメジャーを脅かす存在になるんじゃないか」と予想する。HUNGERは「地に足が付いて安定している分、どう幅を作っていくか」をralphの課題として挙げつつも「やりたいことをどんな局面でもやるっていうのもスタイルだし、原点を忘れずにやり続ければ、何も心配はいらないアーティストだと思います」とralphに太鼓判を押し、SEEDAはralphの今後について「人の意見を聞かないでがんばってほしいですね」と一言だけコメントした。

グライム、UKドリルを昇華したダークな世界観や個性的な声質を武器として、番組出演前から高い支持を集めていたralph。今回出場した動機を改めて聞いてみると、彼は「単純にヤベえ奴いんのかなみたいに思って出てみたら……って感じですね」と笑い、「いつも通りライブやって、曲作って、それでギャラ300万って、そういう仕事があったらウケるじゃないですか。そういう感覚です」と答えた。ファイナルステージでも緊張した様子を一切見せなかったralphは、仲間から「勝って当たり前だからな」とプレッシャーをかけられていたことを明かしつつ、審査について「いくらあがこうが決めるのは審査員なので、俺らは100%出すだけって感じだった」と振り返る。出演者同士がバチバチと対立するような雰囲気ではなかったとのことで、イチゴが大好きなralphはイチゴ農家の長男であるweek dudusに“リアルな苺“を教えてもらう予定だという。最後にラッパーとしての目標について聞くと、ralphは「“これからのシーンを担う“とかすでに言われてるし、優勝したことでまた言われると思うけど、そういうつもりはない」と断言。「『Selfish』って曲も出してる通り、勝手にやっていきます。それに付いてくるのは自由」と言い放った。

なおRYUZOは「ラップスタア誕生」のネクストシーズンに向けて、すでに動き出しているとのこと。詳細は追って発表されるそうなので楽しみにしておこう。

関連記事

ECD。「さんピンCAMP」より。 ©cutting edge

「さんピンCAMP」がヒップホップシーンに与えた影響

14日
STUTS(撮影:renzo)

STUTSという港で交差する色とりどりの人生、出会いと別れを繰り返し航海は続いていく

15日
石井“EC“志津男「Tail of Riddim レゲエとストリート・カルチャーの話1979-2020」書影

日本のレゲエ / ストリートカルチャーを牽引してきた石井“EC“志津男が自らの足跡語る、聞き手はILL-BOSSTINOら5組

20日
BUDDHA BRAND。
「さんピンCAMP」より。

「さんピンCAMP」とその時代|土砂降りの野音で何が起きていたのか?

21日
SEEDA「親子星」ジャケット

「俺達のビーフには最後対話がある」あのSEEDAとVERBALが並んで笑い合う

22日
キングギドラ「空からの力:30周年記念エディション」アナログ盤 帯イメージ

キングギドラ「空からの力」リマスタリング盤アナログ&カセットでリリース

27日
「RAPSTAR 2025」ビジュアル ©︎AbemaTV,Inc.

ラップスタア審査員のkZm、R-指定、OMSB、SEEDA、Benjazzyによるサイファー公開

約1か月
「RAPSTAR 2025」ビジュアル ©︎AbemaTV,Inc.

「RAPSTAR 2025」審査員はSEEDA、R-指定、Benjazzy、kZm、OMSB、ZOT

約1か月
THA BLUE HERB

THA BLUE HERB、デビュー曲「SHOCK-SHINEの乱」についてアイヌ民族に謝罪

約2か月
dj honda×ill-bosstino「KINGS CROSS」ジャケット

dj honda × ill-bosstino「'CAUSE I'M BLACK」配信停止、差別や文化盗用の指摘受けて

約2か月