降幡愛が4月29日に東京・Zepp DiverCity(TOKYO)で1stライブツアー「降幡 愛1st Live Tour APOLLO」のファイナル公演を開催した。
4月18日より神奈川・KT Zepp Yokohama、愛知・Zepp Nagoya、大阪・Zepp Osaka Baysideで行われてきたこのツアー。ファイナル公演は緊急事態宣言の発出により、無観客生配信という形で実施された。ライブのテーマは“月旅行”。彼女は80年代シティポップを軸とした音楽性と、宇宙を彷彿とさせる演出を見事に融合させ、ファンタジックな世界観を築き上げた。
オープニング映像にはツアーのために制作された「AXIOM」のミュージックビデオに登場している宇宙人たちが登場。「やあ! 地球人のみんな、いよいよ月旅行が始まるらしいね。僕たち、君たちが生まれた宇宙はいろんな可能性に満ちている。今日という日に僕らでビックバンを起こそう!」と彼らは視聴者に呼びかけ、「それじゃあみんな、そろそろ月面に着陸だ!」とアナウンスした。画面はステージへと切り替わり、紗幕に浮かび上がったのは、アポロ11号のアームストロング船長のごとく大きな旗を掲げた降幡のシルエット。次の瞬間には紗幕が勢いよく落ち、まるで月のようなきらびやかなミラーボールの光をバックに降幡とバンドメンバーのnishi-ken(Key)、たにお(Dr)、タケウチカズヒロ(B / フラチナリズム)、木島靖夫(G)、会原実希(Cho, Sax)が姿を現した。この日、降幡は「AXIOM」のMusic Videoと同じく宇宙人をイメージした佇まいで登場。ピンク色のウィッグとスパンコールがちりばめられた衣装を身にまとい、「AXIOM」で勢いよくライブの幕を開けた。きらめくようなサウンドに乗せて手でアルファベットを形作るキャッチーなダンスを繰り広げ、降幡は「ツアーファイナル、最後まで楽しんでいきましょう!」とハイテンションで挨拶。星々が輝く宇宙をバックに「プールサイドカクテル」を伸びやかに歌い上げたあと、楽しげにタオルを振りながら「ラブソングをかけて」で弾むような歌声を響かせた。
MCではTwitter上に流れるファンのコメントをリアルタイムで拾い、「ありがとうございます! 見てますよー!」と顔をほころばせる降幡。「パープルアイシャドウ」でパフォーマンスを再開すると、彼女は楽曲の主人公を憑依させたかのように凛とした佇まいで女性の思いを艶やかに歌い上げる。この曲の男性目線のアンサーソング「RUMIKO」では降幡がネオングリーンのギターを携え、モジュレーションがかかったギターソロをクールに披露した。チャイナ風ナンバー「桃源郷白書」ではこの曲のレコーディングにも参加したバイオリニストのNAOTOが二胡を携えて登場。流麗な二胡の生演奏を交えて豊かなアンサンブルが紡がれた。ここからはNAOTOのバイオリンを加えてライブが進行。「ルバートには気をつけて!」では別れを切り出された女性の悲痛な思いがドラマティックに歌われた。ダンサブルなナンバー「シンデレラタイム」ではバイオリンの旋律がバンドサウンドに華やかに色を添える。降幡は心地よさそうに体を揺らしながらステージ上を行き来し、ハンドマイクで軽やかに歌を届けた。
ライブも後半に差しかかり、降幡は「本来であれば皆さん会場に足を運んで同じ空間を共有できるはずだったんですが、こういった形でお送りすることになりました。でも私はこのステージ上から皆さん1人ひとりに届けているつもりです。場所がどうであれ、私はやっぱり応援してくださっている皆さん1人ひとりに愛を届けるために精一杯歌いたいなと思っています」と自身の思いを言葉にし、「こうしてツアーを走って参りましたが、本当に皆さんと直接お会いする機会があるのが本当にありがたいことなんだなと痛感しました」とまっすぐに語った。そして彼女が「いつも支えてくださっている皆さんのためにこの楽曲を届けたいと思います」と告げて披露したのはバラードナンバー「OUT OF BLUE」。美しいミラーボールの光に照らされながら、降幡は1つひとつの言葉に思いを込めるようにじっくりとこの曲を歌い上げた。
そして静寂の中、降幡はアカペラで「SIDE B」を歌い始める。切迫感のある声を響かせ、彼女が宙に手を伸ばしたところで勢いよくバンド演奏がスタート。バイオリンアレンジを取り入れたエモーショナルなサウンドをバックに降幡は激しく拳を突き上げた。狂気を滲ませて歌う降幡の姿をカメラがさまざまなアングルから追っていき、臨場感のある映像が映し出される。降幡は感情を爆発させるようにドスの効いた声やシャウトを響かせ、気迫に満ちたステージングで視聴者を圧倒した。さらに降幡は「みんなまだまだ出しきれてないでしょ? みんなともっと楽しみたい音楽があるんですけど、いいですか?」とファンを煽り、セクシーなサックスソロが印象的なスカチューン「Yの悲劇」をパフォーマンス。“Y”の文字を体で作る“YADA・YADAポーズ”で画面越しでも確かに視聴者と心を1つにした。その勢いを保ったまま、降幡はデビュー曲「CITY」を勢いよく投下。凛々しい眼差しでパワフルな歌声を響かせ、終盤では「この気持ちは……みんな、愛してます!」と歌詞を変えてファンへの愛を叫んだ。
最後の1曲を残し、降幡は「もう今日がファイナルだと思うと、本当に時間が経つのはあっという間だなと思います」としみじみと語り、「回を重ねて、自分の中でも1曲1曲と向き合って、そして今こうして私たちを観てくださっている皆さんとも向き合って、とっても濃密な時間を過ごさせていただきました。また皆さんに直接お会いできるのを楽しみにがんばりたいなと思います」と充実した表情を浮かべた。ラストナンバーは春をイメージしたセンチメンタルなナンバー「うしろ髪引かれて」。切なげな表情で「Bye bye・・・」と手を振り、降幡はステージを去っていった。
アンコールではウエディングベルが鳴り響く中、ブーケを持った降幡とタキシードを着た宇宙人が扉から登場した。新郎の宇宙人に送り出され、降幡はフラワーシャワーを浴びながらウエディングロードを歩き、ロマンティックなムードが漂う新曲「シークレット・シュガー」を歌唱。MCでは自身が所属するレーベル・Purple One Starのスタッフが結婚すると聞いて作ったウエディングソングだということを明かした。ウインターソング「真冬のシアーマインド」では画面上に雪が舞うという配信ならではのグラフィック演出も取り入れられる。幻想的な光景の中、降幡はステージ上で飛び跳ねたりクラップしたりと朗らかに歌を届けた。そして降幡は「本当に最後の曲となります」とギターを手に取り、「AXIOM」をもう一度パフォーマンス。バイオリンの音色を交えたライブアレンジバージョンで最後まで視聴者を楽しませ、「一緒に月旅行に行ってくれてありがとう! また絶対会おうね!」とファンに再会を誓って月旅行を終えた。
降幡愛「1st Live Tour APOLLO」2021年4月29日 Zepp DiverCity(TOKYO) セットリスト
01. AXIOM
02. プールサイドカクテル
03. ラブソングをかけて
04. パープルアイシャドウ
05. RUMIKO
06. 桃源郷白書
07. ルバートには気をつけて!
08. シンデレラタイム
09. OUT OF BLUE
10. SIDE B
11. Yの悲劇
12. CITY
13. うしろ髪引かれて
<アンコール>
14. シークレット・シュガー
15. 真冬のシアーマインド
16. AXIOM