シンガー土岐麻子が中心となり、毎回さまざまな角度からK-POPの魅力を掘り下げている本連載。8回目となる今回は、ゲストとしてPUFFYの大貫亜美、韓流好き女子りょう子ちゃんが登場し、東京・新大久保エリアの楽しみ方について語っている。りょう子ちゃんが推しのV LIVEという急用ができてしまい急遽スクールゾーン橋本にバトンタッチした前編に続く後編では、スーパーや食材についての話題に花が咲いた。また土岐が実際に2人のオススメ店舗を訪れた様子も紹介する。
取材 / 土岐麻子 文 / 岸野恵加 撮影 / 曽我美芽(P1)、音楽ナタリー編集部(P2)
エンタメスポット編
大貫亜美(PUFFY) 土岐さんがコースに入れてるCafe ONっていうのは普通のカフェ?
土岐麻子 カフェなんだけど、大きなスクリーンがあって、リクエストしたミュージックビデオとかを流してくれるの。
橋本稜(スクールゾーン) へえー! 行ったことがないです。家でも観れるけど、大きな画面だとテンションが上がりますよね。不思議と。
土岐 ほかのお客さんのリクエスト曲を見るのも楽しいし、自分の推しグルの映像をほかの人がリクエストしたら、「仲間だ!」ってうれしくなっちゃう。
大貫 なるほどね。今度一緒に行こ! あと、エンタメスポットで言うとカラオケトマトには私もよく行くけど、楽しいよね。本場のカラオケって感じの雰囲気で。
土岐 カラオケのシステムが韓国のものだよね。マイクにカバーがついてるのも、韓国気分を味わえて。歌詞の表示がハングルだから、韓国語の勉強にもなる。
大貫 うちの娘も大好きで、「行こう行こう」っていつも言うから、「またトマト?」みたいな感じ(笑)。
土岐 早くみんなでワイワイ、大人数でも安心してカラオケに行けるような状況が戻ってきてほしいよね。
スーパー・韓国食材編
土岐 最後はスーパーや食材について。まず、私のオススメのお店はチョンガーネです。食品のコーナーは小さめだけど、セレクトがよくて、いいものがたくさんある。そこで売ってるこのソウル商事の「チゲの素」は本当においしいです! 販売員のおばちゃんがオススメのレシピをたくさん教えてくれるんだけど、試食したら本当においしかったから、それ以来ハマってます。ダシ系の調味料って、牛肉風味が強すぎて個人的には苦手なものもあるんですけど、これはそんなことなくて。チゲはもちろん、ヤンニョムチキンとかトッポギのソースも作れるし、おばちゃん曰くあさりのパスタにも応用できるとか。
橋本 パスタはちょっと想像つかないけど、試してみたいですね。
土岐 あとは、「辛ラーメン」が好きなんだけど付いてるスープが自分には辛すぎるので、半分このチゲの素を入れて作ったりします。
橋本 なるほど。チョンガーネに行けばひと通りそろいますよね。入り口付近と2階はコスメ売り場になっていて。
土岐 私、何気に2階へは上がったことないや。今度行ってみなくちゃ!
橋本 スーパーで言えば、大貫さんも挙げていたソウル市場はみんなが行く有名店ですよね。
土岐 ソウル市場……ああ、あのパチンコ屋さんの前の。行ったことあります。亜美ちゃんオススメのこの「辛ラーメン」とお鍋のセットは、いくらくらいなの?
大貫 この1人前サイズで600円くらい。めちゃくちゃ安いよね(笑)。いつもお土産で買って帰るの。最近韓国ドラマにハマり始めた人とかにプレゼントすると、「こ、この鍋は!」ってすっごい喜ばれる(笑)。みんなの憧れの鍋です。
土岐 直接火にかけられるの?
大貫 そう。で、そのまま食卓に置ける。
橋本 一気に本場の雰囲気が出ますよね。これがお店の入り口に山積みにされていて。あと店の奥のほうには銀の箸とかお茶碗、石焼ビビンバの器とかも売ってるので、そのあたりもそろえるとより本格的になると思います。
大貫 そうそう! マッコリを入れるやかんみたいなやつとかね。マッコリも大好きなんですよね。トウモロコシとかおこげとか定番の味は日本のスーパーにもあるけど、梨のやつは新大久保で調達する。
土岐 梨のマッコリ! おいしそう。甘いの?
大貫 トウモロコシほどは甘くないかな。前に韓国でシャリシャリに凍った梨のマッコリを飲んだことがあって、「もう一生これ飲めるな」ってくらいおいしかった。
土岐 へえー。いいなあ。
大貫 あと、韓国で食べた黒豆を煮たおかずがすごくおいしくて、それを作りたくてスーパーを練り歩いたけど、なかなかその味を再現できなくて。レシピサイトを見たら「水あめ」って書いてあって、それがいわゆる自分の想像してた水あめと違ったんですよ。それでソウル市場でお姉さんに「水あめありますか?」って聞いたら、ペットボトルに入った大きなやつを指して「韓国料理で水あめって言ったらこれだよ」って言われたの。
土岐 ああ、韓国料理のレシピ見てると「水あめ」って出てくる出てくる!(笑)
大貫 でしょ。あっさりしてておいしかったよ。
土岐 あと粉唐辛子とかもあんまり売ってないから、まず材料をそろえるハードルがあるなと思ってたけど、まとめて調達しておうちでいろいろ作ってみたいなあ。家で楽しむということだと、このホットクミックスもお気に入り。
土岐 いつもドン・キホーテで買ってるんですが、簡単に作れます。中に入れるシナモン風味の粉末シロップも付いてて。
橋本 めっちゃ熱いやつですね。舌火傷しそうになるやつ。
土岐 バイトの前におじさんにもらったときも熱かった?(笑)
橋本 めちゃくちゃ熱かったです(笑)。
土岐 (笑)。ホットケーキミックスみたいなんだけど、混ぜて手でおまんじゅうみたいに成形して、それを丸い状態でフライパンに置いて、ジューって潰します。本場で使うヘラみたいなのは家にないから、フライ返しでやってる(笑)。
大貫 あの潰すやつ、欲しいよね(笑)。
土岐 欲しい(笑)。このホットクミックスは家に必ずストックしてますね。モチモチの仕上がりになります。アレンジしてスライスチーズを入れてもおいしいんですよ。ちょっと時間があるときや、「歌詞が浮かばない」「歌が覚えられない」とかそういうときに、音源聴きながらジュージュー焼いてる。
大貫 かわいい。私、自分で焼くのが面倒くさくて、冷凍のホットク買っちゃう(笑)。
土岐 (笑)。あれもおいしいよね。
「カニ食べに来てくれてありがとうございます」
土岐 ひと通りお話してきて、まだまだ新大久保の知らないお店がいっぱいあるんだなとワクワクしました。
大貫 うん、またいろいろ巡るのが楽しみになった。
土岐 このご時世で行きづらい面もあるけど、1人で行っても楽しめる街なので、サクッと1人で食べて買い物して帰るのもいいですよね。
橋本 僕もけっこう1人で行きます。友達がいないので……(笑)。韓国料理といえば赤坂もたくさんいいお店があるし、K-POPアイドルが来日したときによく行くお店もあるので、そっちもオススメです。
大貫 私、赤坂のプロカンジャンケジャンってカニ料理のお店が大好きで。前に(PUFFYの相方の吉村)由美ちゃんと行ったら、帰り際に店員さんに「カニ食べに来てくれてありがとうございます」って言われた(笑)。
土岐 あはは! リアル「渚にまつわるエトセトラ」だと(笑)。
大貫 やっぱり食べるんだね、って。前に中国料理のお店でも同じことがあった(笑)。
土岐 いいなあ。コロナ禍が落ち着いたらみんなで新大久保も赤坂も、なんなら韓国も行けるといいな。その日を夢見つつ。今日は本当にありがとうございました!
土岐麻子、新大久保を歩く
3人でのトークを楽しんだ数日後、新大久保に降り立った土岐さん。亜美さんとりょう子ちゃんのオススメ店を、実際に巡ってみました。
夏は終わったと言えど、まだまだ暑さの残る9月のある日。平日にもかかわらず、新大久保の街中は若い女性を中心ににぎわいを見せています。
最初に土岐さんが向かったのは、りょう子ちゃんがプッシュしていた2D Cafe。お店に到着すると、白と黒で統一された店内にパッと目を引かれます。
実際に席に着いてみると、まるで絵の中に入り込んだよう。
広い店内は満席。若い女性たちが次々に訪れ、はしゃぎながら写真撮影を楽しんでいました。その姿を眺めて「かわいいなあ……」と目尻を下げる土岐さん。
カフェではフルーツがたっぷり乗ったパッピンス(かき氷)やケーキ、タピオカドリンクなど、見た目もかわいいカフェメニューが豊富に用意されています。
土岐さんにメニューのセレクトを任せていただいたナタリースタッフは、人気メニューだというビスコフフラッペを注文してみました。
キャラメル味のドリンクに、たっぷりの生クリームとビスケットがライドオン。土岐さん、さっそく実食。
「うん、おいしい! ドリンク部分もこの上に乗ってるビスケットと同じ味がする」「疲れたときに飲んだら、甘さたっぷりですごく元気が出そう」
半分ほど飲み進めたあたりで、「……でもやっぱりちょっと甘さがつらくなってきたかも(笑)」と土岐さん。お口直しにブラックコーヒーを追加注文していました。イマドキ女子のりょう子ちゃんおすすめのカフェでも、やはりどこまでも“大人”の沼なのでした。
続いて、お店の人気商品だというマヌルパンをいただきました。
「マヌル」とは韓国語でニンニクの意。マヌルパンはニンニクとクリームチーズが丸いパンに挟まれたもので、韓国の屋台グルメ発祥の人気メニューです。
店長さん曰く、日本でこのパンを提供し始めたのはこちらの2D Cafeが最初だったそう。
かわいらしいマリメッコのプレートにちょこんと乗せられて提供。いちごとブルーベリーも添えられています。
マヌルパンを食べるのは初めてだと言う土岐さん、さっそく実食。
「カリッとしたパンの食感がいいですね。そこに挟まれたクリームチーズとニンニク……甘くもしょっぱくもあって、不思議な感じです。マヨネーズも入ってるかな? おいしいです!」
クリームチーズも自家製とのこと。
大満足でお店を出てからも、列に並ぶお客さんがひっきりなしに増えていき、人気の高さがうかがい知れました。
続いて向かったのは、韓国食材がたくさんそろうスーパーのソウル市場。
到着してすぐに、入り口近くで亜美さんおすすめの「辛ラーメン」とお鍋のセットが土岐さんをお出迎え! こんもりと積み上げられていました。
1人前と2人前サイズがあり、鍋の大きさが少し異なります。土岐さんは「迷うけど、家に買って帰るなら1人前を2つかな。1人1つずつ自分のお鍋で食べるのが、本格的な感じがするし」と1人前をセレクトしていました。
そして店内へ。食材から調味料、レトルト食品、調理道具、お惣菜まで、さまざまなアイテムが所狭しと並んでいて、眺めているだけでワクワクしてきます。
亜美さんおすすめの梨マッコリも発見!
橋本さんが紹介していた、器やカトラリーも充実。ずっしりと重い、チヂミ用鉄板セットもありました。
お惣菜コーナーにも韓国らしいメニューがいっぱい。「これおいしいから、ぜひ買って帰ってください」と土岐さんが紹介してくれたのは、「さきいかとヤンニョム和え」と「岩海苔醤油和え」。
店内にはスタッフさんが焼いてくれる、焼き立てのホットク屋台も。「たくさん並んでてかわいい!」と、すかさずパシャリとする土岐さん。
その横にはなんと、先日土岐さんが欲していたホットクを潰す道具が並んでいました。「これは買わないと!」
選びきれないほどたくさんの商品に魅せられたあとは、少し新大久保の街をブラブラ。歩きながら、「こっちの道に行くと、通ってた予備校があるんですよ。懐かしいなあ」など、街にまつわる思い出も教えてくれました。
「2人にオススメしてもらったお店、どちらもとっても素敵でした。ほかのお店も『あ、ここにあるんだ』って、見つけながら歩くのが楽しかったです。次はみんなでワイワイ一緒に来たいですね!」
※掲載している店舗や商品の情報は、情勢の変化などにより実際と異なる場合があります。
土岐麻子
1976年東京都生まれ。1997年にCymbalsのリードボーカルとして、インディーズから2枚のミニアルバムを発表する。1999年にはメジャーデビューを果たし、数々の名作を生み出すも、2004年1月のライブをもってバンドは惜しまれつつ解散。同年2月には実父にして日本屈指のサックス奏者・土岐英史との共同プロデュースで初のソロアルバム「STANDARDS ~土岐麻子ジャズを歌う~」をリリースし、ソロ活動をスタートさせた。2019年10月にソロ通算10作目となるオリジナルフルアルバム「PASSION BLUE」、2021年2月にはカバーアルバム「HOME TOWN ~Cover Songs~」を発表。2021年11月24日には約2年ぶりとなるオリジナルアルバム(タイトル未定)をリリースする。
・TOKI ASAKO OFFICIAL WEBSITE
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大貫亜美
1973年東京都生まれ。1996年、奥田民生プロデュースの「アジアの純真」で女性デュオ・PUFFYとして吉村由美とともにデビューし、「これが私の生きる道」「サーキットの娘」「渚にまつわるエトセトラ」など次々にヒットを連発。2021年にデビュー25周年を迎え、幅広いアーティストとコラボしたオリジナルアルバム「THE PUFFY」を9月にリリースした。個人としては5月に初のエッセイ本「たぬきが見ていた」を上梓。小学生時代に韓国で暮らした経験があり、2018年度のNHK Eテレ「テレビでハングル講座」にレギュラー出演していた。
・PUFFY公式サイト
・PUFFY 大貫亜美 (@ami_onuki)・Instagram写真と動画
橋本稜
1992年1月10日生まれ、埼玉県出身。俵山峻とともにお笑いコンビ・スクールゾーンとして活動。K-POPや韓流ドラマなど韓流コンテンツに明るく、SNSにアップする“韓国あるある”ネタが話題に。中でも“韓流好き女子”りょう子ちゃんの「チンチャそれな」というフレーズは2020年、日本テレビ系「ZIP!」内の「10代が予想する今年の流行語大賞」にノミネートされるほど人気を博した。
・スクールゾーン プロフィール|吉本興業株式会社
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