後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が設立した音楽賞「APPLE VINEGAR -Music Award-」の、今年のノミネート作品が発表された。
「APPLE VINEGAR -Music Award-」は文学界の芥川賞を参考に立ち上げられた音楽賞で、新進気鋭のミュージシャンがキャリア初期に発表したアルバムに贈られる。第5回となる今回は4s4ki「Castle in Madness」、NOT WONK「dimen」、家主「DOOM」、網守将平「Ex.LIFE」、SPARTA「兆し」、鈴木真海子「ms」、No Buses「No Buses」、NTsKi「Orca」、Kabanagu「泳ぐ真似」、BREIMEN「Play time isn't over」、butaji「RIGHT TIME」、(sic)boy「vanitas」の12作品がノミネートされた。
大賞は3月に行われる選考会を経て決定される。今年の選考委員は後日発表予定。
後藤正文 コメント
アップルヴィネガー賞は5回目を迎えることができました。
毎年、年が明けてからノミネート作品を発表するまで、胸が苦しいです。賞を企画した自分を、選ばれなかった作品の側から呪います。権力に批判的でありながら、ある種の権威の側に立ってしまうことを嫌悪します。それでも、この賞に意義や意味を感じたり、こうして懲りずに同じ場所に立っていられるのは、支えてくれる仲間や皆さんの励ましがあるからです。
そして、今年も素晴らしい作品と出会うことができました。それぞれの作品のそれぞれの音楽的な達成に触れられることは、自分にとってこの時代を生きる喜びのひとつです。
偶然手に取ったアルフォンソ・リンギスの「何も共有していない者たちの共同体」という本には、こう記されてしました。
「肯定的な評価は確認である。私たちが誰かに「なんて君は美しいのだ!」と言うとき、この発言は、そう言われる人に対して、その人がすでにそうである単なる認識、その人が既に承知していることの再認識として働くのではない。それは人の力を呼び覚まし、駆り立てるのである」と。感銘を受けました。そして、文章を締めくくる「評価とは、ものが有している力に対して与えられる力の贈り物である」という言葉の力強さの前で、改めて自分の姿勢を正します。賞をきっかけとして、それぞれの作品に様々な角度から、無数の力が贈られることを願って止みません。
賞についての様々な思いは、何度か文章にしています。こちらをお読みください。
https://note.com/gotch_akg/n/nf75fade35357
また、APPLE VINEGAR -music award-では、賞金を拠出してくださる法人や団体を募集しています。お力添えいただけましたら幸いです。ご連絡の際は問い合わせフォームよりお願いします。