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女王Awichが武道館に君臨、神話の始まりを宣言した歴史的一夜

2年以上前2022年03月21日 14:01

Awich初の東京・日本武道館単独公演「Welcome to the Queendom」が3月14日に開催された。

ラッパー / シンガーとしての卓越したスキルと強烈なキャラクターで音楽シーンを一気に上り詰め、2020年にユニバーサル ミュージックよりメジャーデビューを果たしたAwich。3月4日にメジャー1stアルバム「Queendom」をリリースした彼女は、多彩なラッパーを招集した初の武道館ワンマンで圧倒的なパフォーマンスを繰り広げ、日本のヒップホップシーン史に刻まれるような一夜を作り上げた。

ライブ当日は平日ながら数多くのファンが武道館に集結し、開演時刻の19:00頃には客席はほぼ満員に。開演を待ちわびる観客たちがそわそわした様子を見せる中、唐突に場内が暗転すると、スポットライトの中にAwichが姿を見せる。ニューアルバムのタイトル曲「Queendom」でライブの口火を切った彼女は、地元・沖縄からアメリカに渡り、そこで出会った男性との間に娘を授かるも、その男性を銃殺された過去をラップで物語る。絶望の中、ステージに立つ夢も諦めていたというAwichだが、その過去を乗り越えたのが現在の彼女だ。Awichが前に進む覚悟を力強いラップで示すとステージには火柱が何本も上がり、「荊棘を抜け 立つ武道館」という言葉が放たれると背後のビジョンには「Queendom」の文字が大写しに。感嘆した観客の拍手が響きわたる中、“女王”Awichは仁王立ちで客席を見据え、武道館に“君臨”した。

たった1曲で会場の空気を掌握してみせた彼女は「まさか女が来るとは」「君臨するとは」という歌い出しのメジャーデビュー曲「Shook Shook」を威圧感たっぷりにパフォーマンス。「NWO」ではAwichが畳みかけるラップに合わせて無数のレーザーが場内を飛び交った。「まさかこの私がこんな形でこの場所に立てるとは想像もしてなかったときもあります。だけど今はそれができてる。何でもできる気がする。どこにでも行ける気がします」と語ったAwichが「ついてこれんの、武道館!」と声を挙げるとギターのリフが鳴り響き「POISON」へ。ここでAwichと同じくフィメールラッパーとしてシーンをたくましくサバイブするNENE(ゆるふわギャング)が1人目のゲストとして現れ、武道館に並び立った2人は手にしたジェットガンを噴射しながら暴れ回った。

NENEがAwichと抱き合ってステージを去ったあと、「口に出して」のイントロが流れると客席から歓声が漏れるが、Awichは「声に出しちゃダメなんだって! 口に出せるのは今日はオレだけ!」と叫んで観客の発声を制止。パフォーマンス中、Awichは音を止めると、際どいダブルミーニングのリリックをアカペラでラップし、「腹ばっか立てずに立てろよ Chimpo!」というパンチラインを武道館に響かせる。続く「どれにしようかな」ではミュージックビデオにも出演したRIEHATA率いるダンサー陣が登場。Awichとともに武道館のステージでエネルギッシュに踊り、ガールズパワーを存分に見せつけた。

「WheU@」で周囲の仲間たちについてラップしたAwichは、ここから自身が所属するヒップホップクルーYENTOWNのメンバーとともにライブを展開していく。まずU-LEEにDJパフォーマンスをたっぷりと披露させた彼女は、kZmとともにステージを飛び跳ねながら「NEBUTA」をパフォーマンス。場内の熱気が高まる中、MonyHorse、PETZ、JNKMNの3人も迎え入れ、YENTOWNの代表曲と言える「UP IN SMOKE」でヘッズを沸かせた。武道館に並び立ったYENTOWNのメンバーはくだけたムードで談笑し、JNKMNは「口に出して」のリミックス「中に出すぜ」をリリースすると告知。「これがYENの仲間たちです」と笑ったAwichはクルーへの思いを込めた「Gangsta」をメンバーに見守られながら歌い、このセクションを締めくくった。

YENTOWNメンバーを見送ったAwichは、自身の故郷である沖縄にもたくさんの仲間がいることを語ると、CHICO CARLITOとOZworldを迎え入れ、「琉~Ryu~」を披露。この曲は2019年に沖縄を象徴する首里城で火災が起こったことをきっかけに生まれた楽曲であり、ステージが真っ赤に染まる中、3人は感情を込めて声を張り上げる。続けて「DEIGO」をパフォーマンスしたAwichは「あの曲を歌ってほしい」とOZworldにリクエストし、CHICO CARLITOとともに退場。ステージを任されたOZworldがシークレットゲストの唾奇とともに披露したのは「NINOKUNI」だ。この曲は2019年にOZworldがリリースしたアルバム「OZWORLD」の収録曲であり、OZworldと唾奇がステージにそろった状態で披露されるのはこれが初となった。

純白の衣装に着替えてステージに戻ったAwichは、夫を失ったあと、その遺灰を娘と2人で海に散骨した過去を歌った英語詞の楽曲「Ashes」を歌唱。背後のビジョンには手書きの日本語詞が表示され、パフォーマンスが終わると当時の娘の愛らしい映像が映し出される。その映像を笑顔で見つめたAwichが「私が辛いときいつもそばにいてくれて笑顔と勇気をくれた、とても強い人がいます」と紹介すると愛娘のYomi Jahが登場。彼女は武道館のステージで堂々とラップし、すっかり成長した姿を観客に見せた。Yomi Jah退場後、「私でも弱音を吐くとき、もうやめようと思ったときも何回もある。でもやめなかった。私のことずっと見てきた人たちはもうわかるよね? やめなければいつでもリベンジできます」と語ったAwichは「Revenge」を披露。観客がスマホのライトを点灯させる中、Awichはエモーショナルな歌声を響かせた。

ライブ終盤、Awichは自らを救ったヒップホップへの感謝を語ると、ニューアルバムからフッドをレペゼンする「Link Up」のパフォーマンスを開始。沖縄についてラップした彼女に続いて、東京都世田谷区出身のKEIJU(KANDYTOWN)、東海出身の¥ellow Bucksが現れ、それぞれの地元を歌う。そしてAwichはここから強烈な客演陣を迎えたキラーチューンを連発。KEIJUとのコラボ曲「Remember」に続けて、DOGMAと鎮座DOPENESSを迎えた「洗脳」、ANARCHYとのコラボ曲「やっちまいな」「WHORU?」を畳みかけ、トドメの「GILA GILA」ではJP THE WAVY、YZERR(BAD HOP)を迎え入れる。YZERRから「この会場見て思ったけど、姉さんならもっとイケるっす」と言葉をかけられたAwichは疾走感あふれる「Arigato」を歌い上げ、ステージをあとにした。

その後Yomi Jahからのボイスメッセージが流れると再び姿を見せたAwichは、娘との関係を歌った「44 Bars」でライブを再開。ここで観客や周囲の人々への感謝を改めて語った彼女は「子持ちの未亡人だって、こんなところに立てるんだよ。だから、みんなだってなんだってできる。日本だけにとどまらず世界を目指す。そして日本でもヒップホップがもっとオーバーグラウンドになっていくように私が引っ張っていく。来年はアリーナでやります」と力強く宣言する。大きな拍手が起こる中、Awichは「今日はこれまでの私の人生のゴールです。だけど、これからの私の人生の出発点でもある。この神話の始まりの証人になってくれて今日はありがとうございました!」と伝え「Love Me Up」を歌唱。ラストナンバーの「Bad Bad」ではYomi Jahを再び迎え入れ、母と娘のコラボレーションでライブを締めくくった。また最後の記念撮影では観客がそれぞれ手に持った1輪のバラをAwichに向けて掲げるサプライズも。Awichは感極まった様子を見せつつ「これからも私のことを支えてください。みんなにもっと大きな景色を見せる」と約束した。

Awich「Welcome to the Queendom」2022年3月14日 日本武道館 セットリスト

01. Queendom
02. Shook Shook
03. NWO
04. Poison feat. NENE
05. 口に出して
06. どれにしようかな
07. WheU@
08. DJ U-LEE TIME
09. NEBUTA feat. kZm
10. UP IN SMOKE / MONYPETZJNKMN
11. Gangsta
12. 琉~Ryu~ feat. CHICO CARLITO & Awich / OZworld
13. DEIGO feat. OZworld
14. NINOKUNI feat. 唾奇 / OZworld
15. Ashes
16. Jah Love feat. Yomi Jah
17. Revenge
18. Link Up feat. KEIJU, ¥ellow Bucks
19. Remember feat. KEIJU
20. 洗脳 feat. DOGMA & 鎮座DOPENESS
21. やっちまいな feat. ANARCHY
22. WHORU? feat. ANARCHY
23. GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR
24. Arigato
25. 44 Bars
26. Love Me Up
27. Bad Bad

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