ヨルシカの新曲「左右盲」が、道枝駿佑(なにわ男子)と福本莉子が主演を務める映画「今夜、世界からこの恋が消えても」の主題歌に決定した。
「今夜、世界からこの恋が消えても」は、一条岬の同名恋愛小説を実写化した作品。眠りにつくと記憶を失ってしまう前向性健忘を患ったヒロイン・日野真織と、彼女を献身的に支えるも自らも大きな秘密を隠し持っている主人公・神谷透の儚くも切ない愛の物語が描かれる。監督は三木孝浩、脚本は月川翔と松本花奈、音楽は亀田誠治が担当する。
ヨルシカは映画の主題歌として、新曲「左右盲」を書き下ろし。n-bunaは本楽曲について「相手の顔や仕草を少しずつ忘れていくことを左右盲になぞらえて書いた楽曲です。オスカーワイルドの幸福な王子を歌詞のモチーフにしています」とコメントしている。また主演の2人は、道枝が「映画の世界感にぴったりな、すごくいい曲だなと思いました」、福本が「最後の歌詞が、この物語と同様に切ないところがすごくいいなあと思いました。ヨルシカさんに歌っていただけて嬉しいです!」と、ひと足先に本楽曲を試聴した感想をそれぞれ述べている。
YouTubeでは「左右盲」を使用した映画の予告映像を公開中。
n-buna(ヨルシカ) コメント
相手の顔や仕草を少しずつ忘れていくことを左右盲になぞらえて書いた楽曲です。オスカーワイルドの「幸福な王子」を歌詞のモチーフにしています。
映画版とリリース版で楽曲のアレンジが少し変わっています。映画版では世界観に合うよう映画音楽を統括されている亀田誠治さんと相談しながら、冒頭の生活音的なサンプリングを減らして優しくアコギを聞かせる編成にしたり、最後のサビに男女でのコーラスを入れたり。よりエンディングに寄り添った、少しドラマチックなアレンジになっています。そのちょっとした違いも映画の中で楽しんでもらえたら幸いです。
亀田誠治 コメント
時に素晴らしい小説は、読んでいるうちにあたかも自分がその小説の中にいるような感覚になることがあります。ある時から僕も、自分自身がこの「セカコイ」の物語の登場人物のような気持ちになっていました。いい歳こいたオッサンが40年前の学生時代にタイムスリップして、真織や透や泉の三人の輪の中にいるような…そんな奇妙な既視感です。
この映画「セカコイ」には「人が人の幸せを願い、祈る気持ち」が通奏低音のように流れています。ですから音楽は、劇中のサウンドトラックから主題歌まで一筆書きで淀みなく設計する必要がありました。J-POPの地平線をくまなく見渡したところ、この「セカコイ」の物語性を表現できるのはヨルシカの世界観しか考えられず、ヨルシカと僕は音の往復書簡のようにやりとりを重ね「左右盲」という尊い楽曲が生まれました。映画「セカコイ」の物語に寄り添い、この時間軸でしか存在しない尊い音楽が、登場人物の心と、映画館で映画を見る人の心をつなぎます。
一条岬 コメント
分かつことのできない優しさと悲しさ。
その陰影すらも表現された素晴らしい曲だと思います。
自分にとってヨルシカさんは、安易に好きと言えないくらいに好きなアーティストでした。
繊細で、切れ味に優れ、抜群の世界観がある楽曲の虜になっていたからです。
「左右盲」を初めて聴いた時の衝撃は忘れません。
原作で目指していた、光のような、悲しみのような優しさが体に流れ込んできました。
喜劇でも悲劇でもなく、優しいだけでも悲しいだけでもない。
そんな映画の余韻を彩ってくださる素晴らしい曲だと感じています。