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銀杏BOYZ、思い出の中野で今は亡き“友達”に贈った「漂流教室」

峯田和伸(銀杏BOYZ)(撮影:神藤剛)
2年以上前2022年09月24日 5:06

銀杏BOYZのワンマンライブ「君と僕だけが知らない宇宙へ」の東京公演が9月22日に中野サンプラザホールにて開催された。

3月に行われた初のアコースティックライブツアー「僕たちは世界に帰ることができない☆」の特別公演として東京と大阪で開催されているこのライブ。開演時刻を迎え、照明が落ちた会場内に宮沢賢治の童話「銀河鉄道の夜」の朗読が響き出すと、ステージ前方に下りた紗幕に日常風景を断片的に切り取った映像が流れた。公演タイトルが大きく映し出されると、ステージに峯田和伸(Vo, G)が登場。大きな拍手に包まれてステージのセンターに置かれた椅子に座った彼はさっそく「人間」の弾き語りを披露したあと、中野サンプラザホールの閉館前にこうして歌える喜びを話し、「今日はいっぱい曲やりますんで」とオーディエンスに呼びかけた。

峯田が「NO FUTURE NO CRY」を歌い始めると、山本幹宗(G / sunsite、ex. The Cigavettes)、加藤綾太(G / THE 2)、藤原寛(B / AL)、岡山健二(Dr / classicus)というお馴染みのサポートメンバーが合流。1番の途中からバンド形態での演奏が行われた。自分でも大好きだという「夢で逢えたら」を会場に集まったファンにプレゼントすると語ったのち、同曲を熱唱した峯田。彼が歌い終え「立っても座っても面白い銀杏BOYZでやりますよ」と宣言したのを受けて、それまでは着席して観ていた観客も立ち上がり、怒涛の勢いで進行していくライブを楽しんだ。また峯田は自身にとって高円寺の隣町である中野は思い入れのある町であることや、よく中野サンプラザホールの地下にあるスタジオで練習していたことを話した。昔に比べて新しく変わった街並みや、中野サンプラザホールの閉館に対し「どんどん新しくなっていくんだって。ちょっとね、寂しいけどね」と素直な思いを語った彼は、思い出の詰まった会場で特に印象深い出来事として、フジファブリックの志村正彦のお別れ会「志村會」に妹と訪れたことを挙げた。センチメンタルな雰囲気が会場に漂う中、志村だけでなくオナニーマシーンのイノマーや遠藤ミチロウといった敬愛する2人についても語った峯田は「肉体がどうあれ多分隣にいてくれてると思うよ、俺の“友達”は」と顔を上げて「漂流教室」を歌唱。温かな歌声をオーディエンスに届けた。

「新訳 銀河鉄道の夜」を歌い上げた峯田は、その後ゲストにDr.kyOn(Key)を迎えて次々と曲を披露していく。「夜王子と月の姫」では、それまでともに演奏していたメンバーが徐々にはけてゆき、ステージには峯田と加藤だけが残された。演奏を続ける2人の前に、ゆっくりとステージ前方の紗幕が下りる。2人の演奏が終わると幕には「二回戦」の音源をBGMに峯田がライブのステージに立つ様子や楽屋裏での姿、ただ道を歩く峯田の何気ない表情を切り取った映像が映し出された。

峯田は再びステージに登場しライブを再開させると、ステージでしゃがんだり倒れこんだりしながら「駆け抜けて性春」や「アーメン・ザーメン・メリーチェイン」といったラブソングを荒々しく熱演。観客も彼の勢いに負けじと拳を突き上げて応戦していた。ここまでに20を超える曲を披露した峯田は、最近よく見るという夢の話から12分にわたる「光」を切々と歌い上げた。さらに畳みかけるように2曲を演奏した峯田が、銀杏BOYZの代表曲「BABY BABY」のイントロをエレキギターで弾き出すと、観客は待ちわびたかのように大きく体を揺らした。峯田は本編の最後に「僕たちは世界を変えることができない」を歌い、さっそうとステージをあとにした。

鳴り止まないアンコールを求める拍手の中、再びステージに現れた峯田が叫ぶように歌い出したのは「少年少女」。彼は最後まで歌い上げると、歌の勢いそのままにギターを振り回した。さらにマイクスタンドを倒し、ギターもステージに放り投げた峯田は、軽く観客に向かって手を振ると1人舞台袖へと歩き出す。観客は、先ほどまでの熱演でもたらされた深い余韻に浸りながら、峯田の姿が見えなくなるまで見守った。

なお銀杏BOYZは「君と僕だけが知らない宇宙へ」の大阪公演を9月28日にオリックス劇場で行う。

「君と僕だけが知らない宇宙へ」(※終了分は割愛)

2022年9月28日(水)大阪・オリックス劇場

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