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hide with Spread Beaver現る!!愛に満ちた25年ぶりワンマンで見せた“空の上との二元中継”

hide with Spread Beaver (c)HEADWAX ORGANIZATION CO.,LTD. / Photo by KAZUKO TANAKA(CAPS)
11か月前2023年05月03日 4:03

hide with Spread Beaverが、hideの命日にあたる昨日5月2日に神奈川・神奈川県民ホールでワンマンライブ「hide with Spread Beaver appear!! in YOKOHAMA」を開催した。

hideはX JAPAN、ソロアーティストとして1990年代に活躍。1998年5月に突然この世を旅立って以降も、彼の音楽、ビジュアル、ライブ映像などは新たなファンを増やし続け、この世を去って25年が経った今なお、hide亡きあとに生まれた10代の若者を含む多くのファンに愛され続けている。hide with Spread Beaverは1997年末にX JAPANが解散した翌日の1998年1月1日に始動が発表されたhide率いるバンドで、メンバーはhide(Vo, G)、I.N.A.(Computer, Percussion)、KIYOSHI(G)、K.A.Z(G)、CHIROLYN(B)、JOE(Dr)、D.I.E.(Key)、という7名の“怪人”たち。1998年秋にはhide永眠後、彼の映像およびボーカル音源を駆使して全国ツアー「hide with Spread Beaver appear!! "1998 TRIBAL Ja,Zoo"」が行われた。彼らは2002年にもワンマンライブを行ったが、当時K.A.Zが参加できなかったため、メンバーがそろってのワンマンライブは、1998年以来実に25年ぶりのこと。彼らは今年4月29日に大阪・Zepp Osaka Baysideで初日公演を行ったあと、hideの命日に神奈川で2日目を迎えた。

ステージの中央にはhideが愛用したギター通称“イエローハート”の実機と、hideが実際に使用したHIWATT製のアンプが鎮座。アンプにはほかの演者の機材と同様にマイクが立てられ、アンプの上にはhide用の水や喉スプレーが置かれ、“hideが歌えてギターが弾ける状態”のセッティングになっていた。ライブのオープニングアクトを務めたのは、hideに見出されてデビューしたZEPPET STOREの木村世治。彼は本公演の開演前BGMの選曲を担当しており、Smashing Pumpkins、Oasis、Inxsなどの洋楽ロックが場内に流された。木村は「歴史的なステージへようこそ!」と挨拶し、アコースティックギター1本の弾き語りで「FLAKE」「声」というhideもお気に入りの楽曲を披露した。またhideとの思い出として、ZEPPET STOREも参加した1996年発売のコンピレーションアルバム「LEMONed」のマスタリングに立ち会った際のエピソードを紹介。スタジオでコンピに収録のhide楽曲「BACTERIA」「限界破裂」を初めて聴いた木村は「カッコいい……」とつぶやいたところ、hideが「だろ?」とニッコリ笑った姿に胸がときめいたという。そんなトークのあと、木村は「今日は泣いたり笑ったり忙しいと思いますが、皆さん一緒に楽しみましょう!」と呼びかけた。

hide with Spread Beaverにとって約25年ぶりのワンマンライブが実現したきっかけは、昨年夏に公開された映画「TELL ME ~hideと見た景色~」にある。映画公開後に当時のファンはもちろんのこと、映画をきっかけに新たなファンが増えたことなどを受けて、hide実弟の松本裕士氏(ヘッドワックスオーガナイゼーション代表取締役)がhideの共同プロデューサーであるI.N.A.をはじめとするhide with Spread Beaverの全メンバーに「ぜひ、ワンマンライブを実現させたい」と熱い思いを投げかけ、全員の賛同を得て開催が決まった。

hideの功績を伝えるムービーの上映を経て、hide with Spread Beaverのアルバム「Ja,Zoo」のオープニングを飾るインストナンバー「Spread Beaver」が爆音で流れ、いよいよライブが始まった。映像とリンクしたメンバー紹介に大歓声が沸き起こる中、人気曲「ROCKET DIVE」へ。D.I.E.がショルダーキーボードを抱えて突撃体制でステージを駆け回り、ハイテンションなパフォーマンスを見せるなど、序盤からアクセル全開のステージが展開されていく。過去のhideツアーのライブ中に骨折したことがあるD.I.E.は、今回の復活ワンマンライブでは初日の大阪公演で足首を軽く捻挫するほどの暴れん坊っぷりだった。また重厚なリフの「POSE」ではKIYOSHIが、禍々しいルックスの改造ギター“ベルゼブブ”を低く構えて、ファンにおなじみの“両手離し奏法”を披露。ベルゼブブはhideモデルのギター・MG-Xに装飾を加えたKIYOSHIの特注モデルだ。ライブの途中から“お助け怪人”としてPATA(X JAPAN、Ra:IN)が登場。PATAは骨太なギターサウンドで「Celebration」のリフを奏で、Spread BeaverのメンバーがPATAの演奏に続いた。MCでI.N.A.は「また春が来ました。空の上のhideとの二元中継。ひさしぶりにhideちゃんとの再会を楽しんでほしいと思います。今日という日をみんなが笑顔で過ごせることを願っております」とファンに呼びかけた。

ライブ中盤にファンを驚かせたのは「ピンク スパイダー」の直前。D.I.E.によるピアノ伴奏をバックに「PINK CLOUD ASSEMBLY」と題した「ピンク スパイダー」の続編にあたる曲が、“hideの歌声”とともに届けられた。同曲はhideのボーカロイド音声を使って完成に至った「子 ギャル」と同じく、歌詞は存在しているがhideのボーカルトラックが存在しない曲。hideのボーカルが再現された状態で初めてファンに届けられた。なお「PINK CLOUD ASSEMBLY」はhide永眠後に残るメンバーで制作を進めたアルバム「Ja,Zoo」のラストを飾る曲として収録されたが、当時は伴奏に合わせ、hide実弟の松本裕士氏(ヘッドワックスオーガナイゼーション代表取締役)が歌詞を朗読するという形が取られた。昨年公開された映画「TELL ME ~hideと見た景色~」でも、この曲に関する当時のエピソードが紹介されている。

ライブ後半、「MISERY」ではKIYOSHIがステージ中央に立ち、hideのギターと寄り添って演奏。スクリーンの映像では1996年のhideとKIYOSHIが寄り添ってギターを弾く姿が映し出され、ステージとスクリーンで過去と現在がリンクした。「遊び足りねーよー! 遊ばせろー!」というhideのMCから、D.I.E.がhideとともにボーカルを務める形で「FISH SCRATCH FEVER」に突入。この曲では魚のスポンジが入った大きな風船や、サメなどの浮き輪が観客の頭上を飛んだ。サインボールを投げ込むといったサービスタイムを経て、D.I.E.が“脳年齢測定ゲーム”と称して、コール&レスポンスを展開する。ここではhideからかつて“金角と銀角”と呼ばれた派手なルックスのCHIROLYNとD.I.E.による掛け合いもあり、大盛り上がり。さらにD.I.E.はステージを降りて客席を駆け回り、オーディエンスを熱狂させた。

MCでKIYOSHIは「空の上のhideとの二元中継、楽しんでますか? 25年前は必死にhideの代わりをやらなきゃって『TRIBAL Ja,zoo』ツアーをやったんだけどさ。25年経ってまた、お助け怪人も来てくれて」と話し、続けて「俺たちSpread Beaverは確かに脇役だよ。脇役だけどよ、俺たちにしかできないんだよ! 俺たちSpread BeaverとPATAがいなきゃできないんだよ!」と熱い思いを観客にぶつける。そして「俺たちSpread BeaverとPATAとhideと、まだまだやるか? まだまだ遊ぶか! hide! hide! ロックンロールするよ! 横浜! ロックンロールするぞ!」という言葉に続いて、彼らは「ever free」を披露。この曲は1998年5月2日にhideが亡くなったあと、5月13日発売の「ピンク スパイダー」に続き、5月27日にリリースされたシングルだ。hideの訃報に混乱するファンが多くいた中、「ever free」に込められた前向きなメッセージと軽快なサウンドは当時のファンを勇気付けた。あれから25年が経ってもスクリーンの中で歌うhideの姿は変わらないまま。歳を重ねたSpread Beaverと当時のhideが共存するライブを目の当たりにしたオーディエンスは、さまざまな思いを胸に惜しみない声援を送った。

ライブ本編終了後、hideによるインスト曲「OEDO COWBOYS」が流れ、転換タイムに突入する。スクリーンにはhideと仲間たちが楽屋で過ごす90年代のシーンが上映されたあと、Spread BeaverのメンバーとPATAが再びステージに上がった。映像の中でhideが「ロザンナさんがいる! ロザンナさん!」と話すと、CHIROLYNが赤毛ロングヘアのウィッグ、ワンピース姿の“ロザンナ”に扮して登場する。ロザンナは「みんな元気だった? もうあれから25年よ」と呼びかける。「LEMONed I Scream」の演奏が始まり、“hideとロザンナ”が拡声器を持ってデュエット。アウトロではPATAがギターを弾きながらボックスステップを踏む場面もあり、場内は大きく盛り上がった。舞台にはhideとの共演経験もある舞踏グループ・友惠しづねと白桃房のダンサーも登場し、華やかな空間を演出。その後、ロザンナは「25年前に生まれた子供は今25歳でしょ? 25年の歳月であたしは20kgほど太りましてね(笑)。ちょっと“大ギャル”になっちゃったけど、かわいいギャルの歌を歌いたいのでみんなも一緒に歌ってね!」とキュートに話し、彼女たちは幻の楽曲だった「子 ギャル」を届けた。なおSpread Beaverが「子 ギャル」を初めて演奏したのは、1998年11月に行われた北海道・Zepp Sapporo公演。当時はhideの歌声が存在しなかったため、CHIROLYNがベースボーカルを務めた。今回はスクリーンに同曲の新しいミュージックビデオが映し出されるとともに、“hideロイド”の歌声が使用された。

アンコール終盤、「また春に会いましょう」という歌詞が胸を打つ「HURRY GO ROUND」では、1998年以降「ステージでは泣かない」と決めていたI.N.A.が感涙。Spread Beaverはラストに「TELL ME」を演奏し、ファンの合唱が場内に響き渡る。観客は涙する場面がありつつも、「hide!」「ありがとう!」と思い思いに叫び、笑顔でメンバーを見送った。また終演後には命日にあたって、松本代表から感謝の言葉とhideの遺した音楽をこれからも守り、発信していくという思いをつづった文章が流された。hide with Spread Beaverは7月27日に東京・豊洲PITでワンマンライブの追加公演を開催する。

hide 30th solo-debut anniversary hide Memorial Day 2023(※終了分は割愛)

hide with Spread Beaver appear!! in TOKYO

2023年7月27日(木)東京都 豊洲PIT

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