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折坂悠太が“歌”にすべてを託した90分、ギター1本1人で「らいど」

折坂悠太(撮影:塩田正幸)
約3年前2023年10月03日 10:02

折坂悠太の“独奏”ツアー「折坂悠太 らいど 2023」が9月29日の東京・昭和女子大学人見記念講堂公演をもって閉幕した。

2013年6月30日に東京・おんがくのじかんで初めてライブを行い、今年で10周年に突入した折坂。「折坂悠太 らいど 2023」は初ライブの地・おんがくのじかんで初日を迎え、寺、芝居小屋、博物館などさまざまな施設で開催された。ツアーファイナルで彼は総キャパ数2000人以上となるホール会場にて、ギター1本で演奏を繰り広げた。

ステージの中央に屏風やウッドチェアなどの調度品が鎮座する中、折坂は静かにステージへと姿を現す。彼はアコースティックギターを奏でながら「爆発」でライブの幕を開け、続く新曲「トランポリン」で伸びやかな歌声をホール中に響かせた。2021年の「心理ツアー」、昨年の「オープン・バーン」と、近年のツアーでは重奏編成でコンセプチュアルなライブを展開してきた折坂だが、今回の「らいど」では原点に回帰したかのような、歌の魅力にスポットを当てたパフォーマンスを展開していく。シンプルなセットの中で、彼は淀みなく演奏を続け、2014年に発表された初の公式音源の楽曲「あけぼの」では、グリーンの照明が彩る神秘的なステージから情緒に満ちた歌声を届けた。

その後も、余計なものをすべて削ぎ落とした飾り気のないステージを展開し、“歌”が持つ原始的な魅力で観客を惹き付け続ける折坂。「朝顔」ではまっすぐな歌声をホール中にこだまさせ、大勢の観客による拍手を浴びた。その後は「馬市」「星屑」など、落ち着いたムードの中で穏やかな音色と歌唱が届けられたが、「針の穴」では一転、生命力のみなぎる力強いパフォーマンスを繰り広げ、激しくも透き通った歌声で観客の心を鷲づかみにした。

ライブ後半、折坂が傍らに設置されたラジオのスイッチをおもむろにひねると、さまざまな音が流れ出す。ノイズ混じりの音声に導かれてスタートしたのは、ポエトリーリーディングのような語り口が特徴的なナンバー「夜学」。真っ赤な照明の中で矢継ぎ早に言葉が紡がれ、会場は途端に緊迫感あふれるムードに包まれる。しかし、次曲「光」が披露されると、会場の雰囲気は打って変わって穏やかに。折坂は張り詰めた空気を優しく浄化させるかのごとく、木漏れ日のような光を浴びながら伸びやかな歌声を届け、ラストナンバー「さびしさ」へと続けた。

アンコールを求める拍手がしばし続いたのち、再登場した折坂は「トーチ」をじっくり歌唱。落ち着きながらもほのかに熱を帯びた繊細な歌声で、観客の心を揺さぶっていく。そして最後に彼は「芍薬」を披露。激情をほとばしらせるようにかき鳴らされたアコギの音に、朗々とした歌声が乗せられ、演奏後には観客から万雷の拍手が送られた。約90分、シンプルな歌の力だけでさまざまな景色を見せた折坂は、客席からの歓声を浴びながら舞台袖へと姿を消していった。

セットリスト

「折坂悠太 らいど 2023」2023年9月29日 昭和女子大学人見記念講堂

01. 爆発
02. トランポリン
03. 夜香木
04. あけぼの
05. 朝顔
06. 正気
07. 馬市
08. 星屑
09. 針の穴
10. 夜学
11. 光
12. さびしさ
<アンコール>
13. トーチ
14. 芍薬

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