映画「キリエのうた」の公開記念舞台挨拶が本日10月14日に東京都内で行われ、キャストのアイナ・ジ・エンド、松村北斗(SixTONES)、広瀬すず、笠原秀幸、監督の岩井俊二が登壇した。
昨日10月13日に封切られた「キリエのうた」は岩井監督と小林武史が「リリイ・シュシュのすべて」以来約22年ぶりにタッグを組んだ音楽映画。時代や社会に翻弄されながらも懸命に生きる男女の姿が描かれている。
ストリートミュージシャン・松坂珈琲役の笠原がMCを務めた本日の舞台挨拶。映画初主演で路上ミュージシャンのキリエを演じるアイナは「昨日吉祥寺の劇場まで行って『キリエのうた』のパンフレットを見てるお兄さんを見て。『このシーンよかったなあ』と言ってたんです。『ここにキリエいるよー!』と思ってました(笑)」と明かし、公開初日を迎えた心境について「自分発信で『こんな映画なんです』と言ってきたけど、観てくれた人の感想がやっといただけるんだっていうのがうれしくて、いっぱいつぶやいてくれたらうれしいです」と声を弾ませながら話す。キリエのマネージャーを買って出る謎めいた女性・イッコに扮した広瀬は、「自分が出てないシーンのお芝居にズドーンと衝撃を受けたんです。心を裸にして歌い続ける姿に、救われたような気持ちになりました」とアイナの歌声を絶賛した。
先日行われた「第28回釜山国際映画祭」のA Window on Asian Cinema部門で招待作品として上映された本作。アイナは「岩井さんがすごくモテてて。『写真撮ってくださーい』って海外の俳優の方に誘われてたりとか、終わったあともプリンセスみたいにきれいな人(ファン・ビンビン)とツーショットを撮ってて『すごい人気だあ!』って。お芝居が初めてでどうしようと思ってたんですけど、お二人(松村と広瀬)に引っ張ってもらって、岩井さんに韓国に連れて行ってもらえて本当にありがたいなと思いました」と惜しみない感謝を伝える。姿を消したフィアンセを探し続ける夏彦役の松村は「歌声の説得力はすごかったようで、キリエの歌声が特に観てくれた方々に刺さっているなというのは強く感じました。国を越えて届いた感じがしました」と海外の人からの反応を語った。
ここで岩井監督からアイナ、松村、広瀬へ青いバラの花束がサプライズで贈られた。青いバラには「不可能を可能にする」という花言葉がある。岩井監督は松村に向けて、「ラブシーンの撮影からいきなり始まったんですけど、服を脱いだら美しすぎて。夏彦はいろんな心模様が変遷して、追い込まれていきながら、傷付きながら進んでいく役で、的確に演じてくれました」とメッセージを送る。アイナに対しては「歌ってる姿を観て、この人しかいないと思って。Wikipediaでアイナ・ジ・エンドとBiSHを知りました。才気あふれるアーティストと一緒に仕事ができるっていう点において大はしゃぎだったんですけど、姉と妹(キリエと路花)という2つの役をお願いして、作詞作曲もしてもらって、いろんなものを背負わせて申し訳なかったんですけど、アイナ・ジ・エンドが純度100%の作品にしてくれました」と温かい言葉をかけた。
岩井監督からメッセージを受け取ったアイナは「岩井さんから結婚式のスピーチみたいなお言葉をもらって、心の棘がなくなってます」と顔をほころばせ、「劇場がみんなの逃げ場になったらいいな、キリエが待ってるよ、癒やしてあげたいなという気持ちになりました。明日も寝て起きてゴミ捨ててごはん食べて……同じかもしれないけど、また生きてみようかなと思ってもらえるとうれしいです」と改めてこの映画をアピールした。
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