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ZORNと後藤真希の時が交差する「地元LOVE」 / 今の時代に足りないのは「いつものことっと」?

再生数急上昇ソング定点観測
8分前2026年02月27日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2月13日から2月19日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングでは、先週の当連載でオフィシャルオーディオを紹介したM!LK「爆裂愛してる」のミュージックビデオが3位に初登場した。6位にはSixTONESの「Rebellion」。今作はメンバーのジェシーが出演する日本テレビ系日曜ドラマ「パンチドランク・ウーマン -脱獄まであと××日-」のオープニングテーマで、閉塞感から抜け出そうとする主人公の感情を表現するような疾走感とスリリングさを兼ね備えたダンスロックチューンに仕上がっている。

13位にはDECO*27の「愛言葉V feat. 初音ミク」がランクインした。「愛言葉」はDECO*27が2009年に1作目を発表し、それから数年ごとに「愛言葉II」「愛言葉III」と作品を重ねてきたシリーズ。5作目となる「愛言葉V」は2月14日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催された「デコミク LIVE starring 初音ミク『Hello』Produced by DECO*27 / OTOIRO」のラストにてサプライズで披露された。MVは公開から9日間で250万再生を突破し、現在も加速度的に再生数を伸ばしている。

26位に登場したのは、Travis Japanの「陰ニモ日向ニモ」だ。4月15日にリリースされる2ndシングルの表題曲で、メンバーの七五三掛龍也が出演するテレビ朝日系ドラマ「ぜんぶ、あなたのためだから」の挿入歌。クールでスピード感のあるビートに乗せて、“白と黒”“裏と表”をテーマに人々の内側にある二面性が表現されている。

34位にランクインしたSUPER BEAVERの「燦然」は、公開中の映画「新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-」の主題歌として書き下ろされた楽曲だ。作品の持つ壮大なスケール感と、物語に寄り添った1曲になっている。

アイドル、ボカロ、バンドとさまざまなジャンルの楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

ZORN「地元LOVE feat. 後藤真希」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場20位

2月16日に東京・日本武道館で開催された、ZORNとOZROSAURUSによるツーマンライブ「All My Homies presents "Family Day"」。そのZORNのライブ終盤にサプライズで後藤真希が登場し、会場が大いに沸く中で2人が初披露したのが、コラボ曲「地元LOVE」だ。このライブのMCでZORNは、後藤について次のように語っている。

「僕、葛飾区出身で、姐さんは江戸川区出身で隣同士なんですよ。ずっと友達の友達くらいの距離感でいた人なんですけど、13歳からアイドルをやられていて、俺らみたいな街のドブネズミからしてみたら雲の上のような人だったんです」

ZORNは後藤が2024年に発売した写真集「flos」を手に取った際、「今すぐこの人と曲を作らなければいけない」と天啓を受けたことが、今回のコラボにつながったという。BACHLOGICがプロデュースしたこの曲は、地元愛がテーマ。かつて後藤が所属していたモーニング娘。の「恋愛レボリューション21」から「超超超いい感じ 超超超超いい感じ」というフレーズを引用しながら、「カラオケいつかの平成ソング / 誰でもZEEBRAとKj通る」「もともと足元はルーズ」など、平成カルチャーを想起させる言葉を随所にちりばめている。

だがこの曲の面白さは、単なるノスタルジーの消費にとどまらない点にある。ヒップホップとアイドルという、一見すると交わりにくい文脈を“地元”という共通項で接続し、対等な目線で並び立たせているところに、このコラボの意義があるように思う。先述した通り、ZORNにとって後藤真希は“雲の上の存在”だった。その距離を越え、同じマイクを握る現在は、東京のローカルからキャリアを積み上げてきた両者の時間が交差する瞬間でもある。「地元LOVE」は、過去を懐かしむ曲であると同時に、それぞれの歩みを肯定する現在進行形のアンセムとも言えるだろう。

MVのディレクションは山田健人が担当。肩パンをされる役として、ZORNと同じ葛飾区出身の木村昴が友情出演している。後藤のYouTubeチャンネル「ゴマキのギルド」ではレコーディングの裏側も公開中だ。ライブで生まれたこの交差点の熱を、楽曲だけでなく映像でも確かめてほしい。

クレイジーウォウウォ!!「トンツカタンタン」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場84位

2024年5月、音楽学校で出会った同級生4人で結成されたオルタナティブポップロックバンド、クレイジーウォウウォ!!。彼らが昨年10月1日に配信リリースしたシングル「トンツカタンタン」がSNSを中心にバイラルヒットを記録し、今回のYouTubeミュージックビデオランキングに初ランクインを果たした。

注目されているのは、サビのフレーズ「ダンスにチョンしたって / ずんぐりのパーンだって / ダーンからのポーンだって / なーんでもないーよ / いつものこと いつものことっと / いつものこと いつものことっと」にあわせた“踊ってみた”動画。イラストレーター・生活が描く女の子のアニメをもとにしたダンスがTikTokで拡散され、一般ユーザーのみならず、日向坂46の金村美玖、正源司陽子、清水理央や、櫻坂46の武元唯衣らも投稿するなど、アイドル界隈にもブームが波及している。

タイトルや歌詞の語感どおり、言葉のリズム感が心地よく、どこかユーモラスなセンスが光るこの曲。“クレイジーウォウウォ!!節”とも言えるにぎやかでダンサブルなサウンドが、その中毒性をさらに増幅させている。YouTubeのコメント欄には、「今の時代に足りないのはこういう底抜けに明るい曲なんだよ……ありがとう、、ありがとう、、、」「これ朝に流したら流石に学校行けちゃう」といった声が相次ぎ、この明るくポジティブなムードがリスナーの心をつかんでいることがうかがえる。

煮ル果実「ブラフマン with 梵そよぎ」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場88位

人間にとって究極の欲求とは何か? それは「自分にはなんでもできる」「すべて思い通りになる」という感覚、いわば“全能感”を手にすることなのかもしれない。言い換えれば「神になりたい」という願望だ。

しかし、大日本帝国海軍の軍人・山本五十六は「人は神ではない。誤りをするというところに人間味がある」と語っている。人間とは本来、不完全で誤りを抱えた存在だと考えるほうが自然だろう。それでもなお、人はなぜ神になりたいと願うのか。そこには強い誇大性や優越感、称賛欲求に根差した自己愛的傾向、あるいは厳しい現実から目を背けるピーターパン症候群的心理といった、脆さを受け止めきれない心の構造があるように思える。

そのテーマを鋭く突きつけるのが、煮ル果実の2026年第1弾シングル「ブラフマン with 梵そよぎ」だ。声優・梶裕貴の声をもとに開発された音声合成ソフト「梵そよぎ」を軸とするキャラクタープロジェクト「そよぎフラクタル」への提供曲である本作。タイトルのブラフマンとは、古代インドのウパニシャッド哲学において宇宙の根本原理であり、万物の源とされる絶対的存在、すなわち神を指す言葉だ。

楽曲の主人公は「欠けた心の隙間を埋めれたなら」と満たされない自分を嘆きながら、「祈りに祈りになったブラフマンに / パラノイアック」と歌う。そこには神になりたいという願望と、現実からの逃避がにじむ。絶対的な存在を求めるのは、自らの不安定さに耐えられないからだ。だからこそ「すべてを超越する何かになりたい」という極端な思考へと傾いていく。だが、その衝動こそが皮肉にも極めて人間的なのではないだろうか。

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