年内をもって芸能界を引退する東山紀之が、昨日12月26日に東京・ANAインターコンチネンタルホテル東京でディナーショー「東山紀之 DINNER SHOW 2023」を開催した。
21年ぶり、最後のディナーショー
東山がディナーショーを行うのは、2002年12月に実施されたソロでのディナーショー以来、21年ぶり。12月21日に大阪・帝国ホテル大阪で行われた公演を皮切りに、東阪の2会場で全6公演が行われた。
ショータイムの開幕を告げる鐘が鳴ると、観客からは、早くも歓声と手拍子が沸き起こる。鈴の音とともにバンドメンバーが入場して期待感が高まる中、東山は純白のマイクを手にした白燕尾服姿で客席から登場した。客席通路を練り歩いてステージに上がった彼は、1曲目に「FUNKY FLUSHIN'」を披露。「皆様ようこそ! ANAインターコンチネンタルホテル東京へ! 元気だった? 今日は21年ぶりのディナーショーです! ひさしぶりに思いっきりやります! 最後までゆっくりと席についてお楽しみください!」という挨拶を挟みつつ、「ABC」をキレのあるステップとターン、ダンサーとの華麗な群舞で見せる。
激しいダンスナンバーから一転、バラード「愛の手紙」をしっとりと歌い上げた東山は、そのシックな雰囲気のまま、ディナーショーならではの演出ともいえるキャンドルサービスへ。各テーブルの蝋燭に火が灯り、場内はより一層華やかな雰囲気に包まれる。「The longest night」ではゴージャスな深紅のベロアジャケットスタイルでミュージカルのワンシーンのようなダンサーとの群舞を見せ、右へ左へステップを踏みながら激しいダンスを繰り広げた。
皆さんの笑顔に何度救われたか……
MCタイムには「皆さん、ようこそ! すごいねやっぱり。最後となると皆さんのリアクションも素晴らしい。ポーズを取るたびに『ヒー!』とか『フー!』とか『アー』とかいろんな声が聞こえて(笑)」と、その盛り上がりに驚きの表情を浮かべた東山。せっかくだからと、ファンとのQ&Aコーナーを楽しむひとときも挟みつつ、彼は「ダンスナンバーが多い中、こういった曲もたまに歌うといいんじゃないかと」とミディアムバラード「キッチン!」「HEARTS」など穏やかなナンバーを温かい歌声で届けた。客席サイドのミニステージや後方ステージからの移動中にはファンとの交流を楽しむ場面も。
青いライトが場内に浮かび上がる中、指を鳴らす音と印象的な旋律から「君だけに」が始まると、メインステージに立つ東山は伸びやかな歌声で情感たっぷりに歌い上げる。ジャジーなナンバー「まいったネ 今夜」では、ジャケットの裾を払うクールな振付や顔の位置まで脚を高々と上げるポーズも。軽快にステップを踏み、ダンサーとの息の合ったパフォーマンスで場内のボルテージをいっそう上げていく。
「ふたり」が披露された際には、現在の姿とデビュー当時の初々しい東山の写真がオーバーラップするようにスクリーン上に映し出され、東山は「1985年にデビューして38年。よきときも大変なときも、常に励まし、支えてくれて本当にありがとう。皆さんの笑顔に何度救われたか……数え切れません。今日ここで、さまざまな場面を皆さんとともに振り返り、感謝を伝えたいと思います。ご覧ください!」と思いを伝えた。
歴史を駆けるヒストリーメドレー
スクリーンには少年隊のメンバーである植草克秀と錦織一清のデビュー当時の写真が浮かび上がり、次いで少年隊の数々のコンサート、ミュージカル「PLAYZONE」、映画の撮影現場などの様子を記録した懐かしい映像が。加えて3人の当時の歌声が間断なく響き渡ると、「NORIYUKI HIGASHIYAMA HISTORY MEDLEY」の文字が掲げられた。黒燕尾服に身を包んだ東山は「What's your name?」から「Baby Baby Baby」まで怒涛のダンスを中心にノンストップメドレーを畳みかける。フロアに膝をついたダンスで魅せる「STRIPE BLUE」、東山本人も「印象深い」と語っていたマイケル・ピータース氏の細やかなステップが魅力的な「ダイヤモンド・アイズ」、冒頭のポージングからグラインドダンスまで息をつかせぬ「仮面舞踏会」、しなやかな腕のポーズも当時のままの「バラードのように眠れ」。リリース当時のオリジナルダンスをベースにしたパフォーマンスを、運動量をものともしないパワフルな歌声とともに繰り広げて圧倒的なステージ力を見せつけた。
場内の手拍子を全身に浴びながら「Baby Baby Baby」まで歌い上げたあとには「皆さん!今まで本当にどうもありがとう! 皆さんのおかげで素敵な青春を作ることができました。最後にこの曲を皆さんにお届けします」と「星屑のスパンコール」を披露した東山。ミラーボールが星空のように場内を照らす中、彼はありったけの思いを込めて曲を歌い上げ「皆さんありがとう! どうかお元気で!」と、3方向へそれぞれ深々と一礼しステージをあとにした。
君にこの歌を
しかし、すぐさまアンコールを求める拍手が客席から上がり、アンコール1曲目の「アンダルシアに憧れて」へ。フラメンコダンサーのようなポーズを見せた東山は中折れ帽を斜に被り、歌詞の物語を再現するような全身全霊のダンスを叙情的な歌声とともに届けた。勢いよくハットを飛ばしジャケットをマタドールのように激しく翻し振り落とすダンスでファンを魅了し、ターンをした際にはその速度から汗が垂直にほとばしるほど。アンコール曲を終えてなおも鳴りやまない拍手と“ヒガシコール”に応えて再度場内に姿を現した東山は「皆さんの熱い声援が……来ましたね! あまり湿っぽくならないほうが、私らしいと思いますので。私は最後の最後まで塩対応の男だと(笑)。人生はまだまだ続きます。僕にとってもそうですし、皆さんにとってもそうだと思います。今後もまたよき人生になるよう、お互いにがんばっていきましょう。本当にありがとうございました。では最後にこの歌を皆さんにお届けしてお別れしたいと思います」と告げ、「君にこの歌を」を万感の思いを込めて歌い上げる。少年隊のナンバーを中心に、ソロ曲、カバー曲など24曲を披露し終え「お元気で! さようなら!」と挨拶した東山。高々と掲げた手を大きく振り、はにかんだ笑顔を向けながらステージをあとにした。
ラストには、ディナーショーの稽古の模様が、これまで東山の歩んだ公演記録とともにエンドロールのように流れた。そしてその最後には「応援してくださった全ての皆様に心から感謝いたします 東山紀之」というメッセージが。ファンはこれに、鳴りやまない大きな拍手を送っていた。
セットリスト
「東山紀之 DINNER SHOW 2023」2023年12月26日 ANAインターコンチネンタルホテル東京
01. FUNKY FLUSHIN'
02. ABC
03. 愛の手紙
04. The longest night
05. キッチン!
06. HEARTS
07. 君だけに
08. まいったネ 今夜
09. ふたり
10. What's your name?
11. あなたに今Good-bye
12. トワイライト・フィーリング
13. STRIPE BLUE
14. ダイヤモンド・アイズ
15. 仮面舞踏会
16. バラードのように眠れ
17. EXCUSE
18. Oh!!
19. 湾岸スキーヤー
20. 情熱の一夜
21. Baby Baby Baby
22. 星屑のスパンコール
<アンコール>
23. アンダルシアに憧れて
<ダブルアンコール>
24. 君にこの歌を
※M9~M21までメドレー