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BTS・Vが入隊1週間前にIUのMVに出た理由は / (G)I-DLEが“放送不適格”の曲で伝えたかったこと

再生数急上昇ソング定点観測
約1年前2024年02月02日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで1月19日から1月25日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、1位に渡辺翔太が主演を務めるドラマ「先生さようなら」の主題歌であるSnow Manの「We'll go together」がランクイン。この曲の「We'll go together(=ともに歩もう)」というメッセージは、リスナーとその家族・恋人・仲間だけでなく、Snow Manとファン、そしてメンバー9人の絆にも重ねることができる。

33位に初登場したのは櫻坂46の「何歳の頃に戻りたいのか?」。今作は初めて二期生と三期生のみで構成されたフォーメーションとなっており、センターは二期生の山崎天が務めている。作曲を担当したのは「桜月」や「Start over!」でもおなじみの音楽制作チーム・ナスカ。今回のMVと「Start over!」、「承認欲求」は合わせて3部作となっているようで、監督の加藤ヒデジンはX(Twitter)でこのMVについて「自分は自分でしかないstart overの自由から、自分は何者なのか承認欲求の葛藤、そして最後は、自分は何色にも染まれる同調の支配。締めは救済で。利己から利他になっていってますね」と解説している。

58位はIVE初の英語シングル「All Night」。この曲はグラミー賞にノミネートされたアメリカのラッパー、スウィーティーをフィーチャリングしたことでも話題に。64位はテレビアニメ「薬屋のひとりごと」第2クールのオープニングテーマとしてオンエア中の、Uruの「アンビバレント」。俳優の當真あみが出演したこのMVでは、不安と期待が交差する、まさに“アンビバレント”な世界観が表現されている。73位にはback number「冬と春」のMVがランクイン。このMVは清水依与吏(Vo, G)が原案・ディレクションのほか、初めて監督も務めている。音楽のジャンルは違うものの、偶然にも“前進”をテーマにした楽曲が多かった今週は、下記の3曲をピックアップした。

IU「Love wins all」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場11位

2021年12月29日にリリースした「彫刻集」以来、約2年ぶりとなるIUの新曲が到着。発売されると同時に韓国最大の音楽配信サイトのMelOnを始め、genie、Bugs!で1位を記録したこの曲は、23カ国・地域のiTunesのトップソングチャートでも1位を獲得し、IUは見事な復帰を遂げた。MVではIUの恋人役をBTSのVが演じていて、監督と演出は映画「コンクリート・ユートピア」でメガホンを取り、韓国のアカデミー賞とも称される「第59回大鐘賞映画祭」で同作を最優秀作品賞など6冠獲得へと導いたオム・テファが務めている。

そんな豪華な布陣で制作されたMVは、謎の四角い物体から逃げる男女が大きな廃墟に行き着き、そこで不思議な現象が起こり、最終的には四角い物体と対峙して……というSFホラーのようなショートムービー。その意味深な内容から「どういうストーリーなのか」「あのシーンはどういう意味なのか」と視聴者間での考察が盛り上がった。

一方、「耳の聞こえない女性と片目の見えない男性が、ビデオカメラを通して見ると健常者のように映っている」という演出を障がい者差別だと感じた人もいたために、監督が「キューブは主人公たちに対する差別を意味し、さらに私たちの日常生活に蔓延しているさまざまな差別や抑圧などを意味すると解釈することもできるだろう」と世界観を説明したり、韓国の全国障がい者差別撤廃連帯(SAD​​D)が「IUさんと私たちが進む道がいつか一緒に出会い、誰も排除されない世界を一緒に作り、真の“Love wins all”を叫ぶことを願っています」と立場を表明したりする事態に発展している。

1月28日に公開されたメイキング映像を観ると、撮影当日の様子やMVの裏話を知ることができる。少し紹介すると、監督は映画祭や撮影で忙しい状況だったものの、IUの必死な説得により今回のMVを承諾したという。そして監督から「男性の主人公を演じる方は、少年らしい魅力が漂う一方、ぱっと覚醒したときはカッコよくて頼もしい感じの人がいい。そういう人っていますか?」と聞かれたIUが提案したのがV。彼は陸軍入隊(2023年12月11日)を1週間前に控えていたにもかかわらず、撮影に参加したという。IUは「これまでの人間関係の運をこのアルバムに使っている気がする」と映像内で話している。ぜひMV本編と合わせて、このメイキング映像もチェックしていただきたい。

(G)I-DLE「Wife」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場32位

1月29日にリリースされた2ndフルアルバム「2」の収録曲「Wife」は、リーダーのソヨンが作詞・作曲・編曲に参加した弾けるようなポップなトラック。しかし22日のMV公開直後に「もうすっかり大きくなったんじゃない?」「上のチェリーも取って食べて」「もっとあげるよ、よだれを拭いて」「これからあなたも一度乗ってみて」などの一部の歌詞が性的な意味を連想させるとし、韓国の公共放送局KBSで放送不適格判定を受けることに。これに対してメディアやファンから「単なる性的な曲ではない」と反発する声が上がった。

その理由として挙げられているのは、例えば1番の「I cook cream soup, taste is Coco Loco(クリームスープを作ってあげる 最高な味の)」や「I clean your room, it's so twinkle, twinkle(あなたの部屋を掃除してあげる きらきら輝くほどに)」などの歌詞。夫に対して献身的な妻を表現したようなリリックだが、最後に「But I don't wanna wife(私は妻にはなりたくない)」と歌っており、これにより楽曲のテーマは「家父長制に対する批判」なのではないかと解釈している人が多い。ほかにも「曲の最後で初めてリップシンクをする」ことの理由を「自分の意見を自由に言えない女性を口を開けないことで表現しつつ、ラストに『妻にはなりたくない』と本音だけを歌っているのではないか」と推察する人も。この楽曲が伝えたかったことについて、ファンの間で考察が飛び交っている。

「Wife」に続いて1月29日には、同じくアルバム「2」の収録曲「Super Lady」のMVも公開されている。この曲も「Wife」と同様にソヨンが制作に携わっており、重低音が心地いいトラックが魅力だ。この曲には偶然なのか意図的なのか、同じK-POP女性グループの曲名であるaespaの「Savage」、IVEの「Baddie」、LE SSERAFIMの「Fearless」が歌詞の中に使われている、ということも話題になっている。

OZworld「MIKOTO ~SUN NO KUNI~ feat. 唾奇 & Awich」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場71位

OZworldが同じ沖縄出身の唾奇とAwichを迎えて新曲を発表した。この曲でOZworldは、琉球の神から受け取った御言 / 命(みこと)を歌い、リスナーにさらに継承していこうとしたという。プロデューサーは、ちゃんみな、milet、SKY-HIのプロデュースでも知られるRyosuke“Dr.R”Sakai。MVのディレクションはOZworldが2019年に発表した代表曲「NINOKUNI feat. 唾奇」のMVを手がけたYOSHIHITO KATOが担当した。

「MIKOTO ~SUN NO KUNI~」というタイトルから「NINOKUNI」の続編なのではと多くの人々から予想されていたが、これを証明するようにMVでは冒頭18秒の場面で一瞬、「NINOKUNI」の映像が差し込まれている。OZworldは人気YouTubeチャンネル「モハブログ」にゲスト出演した際にこのMVについて解説していて、彼いわく、映像内で印象的に使われている白いマネキンも「NINOKUNI」のMVに登場する踊り子が伏線になっているそうだ。

映像内にたびたび映る筆文字は、日本伝統の言葉や古代文字が書いてあり、こちらは監督の妻の直筆なのだそう。ほかにもこの解説動画では、フードが付いた黒い衣装の後ろに描かれている太陽が、この曲が収録されているアルバム「SUN NO KUNI」にちなんでいることや、Awichの周りを飛び交う白い魚は映画「ロード・オブ・ザ・リング / 王の帰還」での死者の亡霊たちが登場するシーンがモチーフになっていることなど、MV内のさまざまな仕掛けが明かされている。楽曲を聴きながら映像の1つひとつの意味を考えるのも楽しい。

※山崎天の崎は立つ崎が正式表記。

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