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異常事態!ランキング初登場がBAD HOPだらけに / 9年前のMVが「ラヴィット!」きっかけに再び話題

再生数急上昇ソング定点観測
9か月前2024年02月23日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2月9日から2月15日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、2位に西川貴教 with t.komuro の「FREEDOM」がランクインした。この曲は現在公開中の映画「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」の主題歌として、西川貴教と小室哲哉が初めてタッグを組んで作り上げた楽曲で、小室の作り出すスケール感のあるサウンドと西川のハイトーンな力強いボーカルが見事に調和している。27位にはINIの2ndアルバム「MATCH UP」のリード曲で、メンバーの西洸人が単独で作詞を手がけた「LEGIT」が初登場。この曲のMVは、閉鎖的な地下から地上へ飛び出していくことで「いろいろなものに拘束されず、自分を解放し、自分らしくいることが素敵」というメッセージを表現した映像になっている。MVのほかに、メイキングやパフォーマンスビデオも公開されているので、合わせて視聴することによって、より楽曲の魅力を堪能できるはずだ。

49位には、2022年に引退したKOHHが突如本名の千葉雄喜としてリリースした新曲「チーム友達」が登場。MVは千葉の地元・王子の駅前で撮影され、彼を囲むたくさんの友達の中にZORNの姿があったことも話題になった。グラミー賞を含む計40にもおよぶ受賞歴を誇るアメリカのシンガーでありラッパーのクリス・ブラウンが、自身のInstagramのストーリーで「チーム友達」を紹介している。

68位にランクインしたのは、17年にわたりグループを牽引し、今作がラストシングルとなる柏木由紀が初めて単独センターを務めたAKB48の「カラコンウインク」。MVのテーマは「アイドルの人生」で、キラキラした光だけでなく影も垣間見える、まさに柏木のアイドル人生を凝縮したような内容になっている。INI、千葉雄喜、AKB48とそれぞれの転換点となる楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップした。

BAD HOP「Last Party Never End feat. Tiji Jojo, YZERR, Yellow Pato & Vingo」など6曲

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場19位

BAD HOPは2月9日にラストアルバム「BAD HOP」を配信リリース。そして同日にアルバム収録曲「Last Party Never End feat. Tiji Jojo, YZERR, Yellow Pato & Vingo」のMVを公開したのを皮切りに、アルバム未収録の新曲のMVを毎日公開していった。そのためアルバム発売後にもかかわらず新曲は増え続け、彼らは2月14日にソロ曲を追加した「BAD HOP(BHG Edition)」をリリースし、2月17日には客演曲を追加した「BAD HOP (Deluxe Edition)」を発表。当初8曲だったアルバムは3倍近い22曲入りにまで膨らんだ。2月19日に開催された東京ドームでの解散ライブをピークに定めたうえで、絶え間なく新作を投下していったのだろう。

その結果、今週はBAD HOPの多数の新曲がランキングに初登場している。19位に「Last Party Never End feat. Tiji Jojo, YZERR, Yellow Pato & Vingo」がランクインしたのをはじめとして、30位には“LIFE”“LOVE”“LIVE”“LAUGH”が自分たちにとって重要であることを歌った「4L feat. Bark, Benjazzy, C.O.S.A. & IO」、40位には彼らの地元のサッカーチーム・川崎フロンターレがMV撮影に全面協力した「Locker feat. G-k.i.d, Tiji Jojo & YZERR」が登場。43位には優雅な日常を送るという夢を叶えるためにハードな人生を生きているラッパーの日常を描いた「Day N Night feat. G-k.i.d, guca owl & KEIJU」、58位には昨年FSLのフリースタイルバトルで対戦したBenjazzyとBonberoによる「B2B feat. Benjazzy & Bonbero」が入っている。

90位の「South Side Night feat. Tiji Jojo, eyden & Deech」は、マイク1本で一発録りのパフォーマンスを披露するヒップホップYouTubeチャンネル・03- Performanceに出演した際の映像。この6曲以外にも、すでにYZERRの「guidance」が8位に入っていて、合わせるとトップ100に7曲がランクインしている状況だ。

この週の集計期間を過ぎているため今回のランキングには入っていないが、新曲MVの連続公開はここで終わっているわけではない。BAD HOP は2月14日に「Hell Yeah feat. Vingo, MaRI & Candee」、15日に「NEW ASIAN feat. Vingo & OZworld」、16日に「Shoot My Shot feat. Benjazzy, Eric.B.Jr & 漢 a.k.a. GAMI」のMVをアップ。17日にはBAD HOP×NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDによる「8BALL CYPHER」、18日には「Mukaijima feat. YZERR, ANARCHY, Benjazzy, T-Pablow & AI」を公開している。19日のラストライブ直後にアップされた「Empire Of The Sun feat. T-Pablow & Zeebra」で連続更新は終わりかと思いきや、解散翌日の2月20日にも「We Rich feat. G-k.i.d, Yellow Pato, Kaneee & KOWICHI」が公開された。いずれも客演が豪華なこともあって順調に再生数を伸ばしており、これら7曲もおそらく次週はランク入りするだろう。

またMVだけでなく、THE FIRST TAKEにて一発撮りで代表曲「Kawasaki Drift」「Champion Road」を披露した2本の動画も解散当日にアップされている。もしも次週これらすべてがランクインすれば、トップ100に同時に16曲が入ることになる。すでに活動を終えているとはいえ、まだまだBAD HOPを取り巻く熱が冷める気配はなさそうだ。

まふまふ「一生不幸でかまわない」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場28位

2022年6月から昨年6月にかけて活動を休止していたまふまふ。昨年末に不破湊とのコラボ曲「君のオシゴト手伝います!」を発表したのに続き、単独名義による新曲が到着した。曲中に何度も「ごめんなさい」というフレーズが登場するのだが、それは自分が期待外れの人間であることや、自分がこの世に生まれてきてしまったことに対する、あまりにも悲痛な声だ。

「薄暗い部屋の隅でかき鳴らす六弦には 明日を変えるほどの値打ちはないってわかってんだ」という作曲家目線で無力感を書いた歌詞や、X(Twitter)に投稿された「1年前くらいに作っていた曲なのですが、なんか歌えなくて、やっと歌うことができました」という本人のコメントからも、「一生不幸でかまわない」はまふまふ自身のことを歌った曲に感じられる。そう思うと、ラストで声を振り絞るのように歌う「もういいんだ 一生救いのない不幸でもかまわないや」の部分は、聴いていてあまりにも心が苦しくなるし、どれほど彼が曲作りに心血を注いでいるのかが伝わってくる。

RAM WIRE「僕らの手には何もないけど、」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場95位

2月9日放送のTBS系「ラヴィット!」のオープニングコーナーで、中山美穂が1994年にシングル「ただ泣きたくなるの」を発売した日であることにちなんで「ただ泣きたくなるもの」を紹介することに。そこでお笑いコンビ・東京ホテイソンのショーゴが、2015年にリリースされたRAM WIREのシングル曲「僕らの手には何もないけど、」のMVを紹介すると、スタジオでその映像を観たMCの田村真子アナは感動のあまり本当に涙を流し、これによって9年前のMVが再び話題になった。

ここでMVの内容を紹介しよう。最愛の子供を亡くしてしまい、毎日悲しみに暮れている羊のお母さんがいた。子羊は三途の川を渡る前に、自分の毛を刈って、その毛でロープを作り雲の上からお母さんのもとへ会いに行く。しかしお母さんが子羊に気付くことはないまま、子羊は三途の川に連れ戻されてしまう。その後、母と子の絆により物語は感動の結末を迎える。「無償の愛」という言葉は、親が子供に対して使うことが多いが、子供も親と同じだけの愛情を持っているのだと再認識させられる。

このアニメーション制作を手がけたのは、アニメーターの城井文。MVは公開当時から“世界で100万人以上が泣いた感動のアニメーション動画”として話題になり、これをもとにした絵本「くものうえのハリー」が発売されるまでに至った。MVを観て感動した方は、ぜひ絵本も手に取っていただきたい。

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