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くるり18回目の「音博」ジャンルレス・ボーダーレスなアーティストの競演に「胸がいっぱい」

イタリア・ナポリの音楽家ダニエレ・セーペらを迎えて演奏したくるり。(撮影:井上嘉和)
10か月前2024年10月21日 10:01

くるり主催の野外ライブイベント「京都音楽博覧会2024 in 梅小路公園」が10月12、13日に京都・梅小路公園 芝生広場で開催された。

フレッシュな若手からベテランまで幅広い世代のバンドが熱演

「京都音楽博覧会」は、くるりが地元・京都の中心部に位置する梅小路公園を舞台として、2007年より開催してきた恒例イベント。「環境・文化・音楽」をコンセプトとし、国内外より、さまざまなアーティストを迎えてきた。18回目となる今回もくるりが厳選した多彩なアーティストが出演。幅広い世代の音楽ファンが京都に集まった。

くるりの岸田繁(Vo, G)と佐藤征史(B)による開会宣言後、トップバッターとして登場したのは“ストリート系電子ワールドミュージック”を体現する若手バンドとして紹介されたCHO CO PA CO CHO CO QUIN QUIN。民族音楽と電子音楽を融合させたエキゾチックなサウンドとフレッシュな佇まいで「音博」の新たな歴史の幕開けを飾った。

くるりと同年にデビューした同期でありながら、意外にも今回初出演となったKIRINJIは、近年の楽曲を中心とするセットリストで進化し続けるバンドの姿勢を示し、2年連続出演となった羊文学は、代表曲をエネルギッシュに連発して破竹の勢いを表す。2日目には、来年2月から活動を休止することを発表しているフジファブリックが、2011年以来13年ぶりに「音博」出演。くるりに“盟友”と紹介された彼らは最新アルバム収録曲「ショウ・タイム」「KARAKURI」で口火を切ると、ライブ定番曲を畳みかけ、最後は「若者のすべて」を黄昏時に響かせた。

ジャンルレス・ボーダーレスを体現する出演者たち

また初日にはストリートピアニストの菊池亮太、2日目にはオペラ歌手の平野和が出演。菊池は「JUBILEE」のメロディをラフマニノフのメドレーの中に忍ばせ、平野は「一番好きな作曲家の歌」と紹介して「Remember me」を歌い上げるなど、それぞれがくるりへのリスペクトを示しつつ、卓越した技巧でクラシックの名曲たちを次々に届けた。ポップミュージックに限らず、幅広い音楽に触れることができるのが「音博」の魅力だろう。

そして今年の「音博」を象徴する出演者と言えるのが、イタリア・ナポリの音楽家ダニエレ・セーペだ。20年ほど前にダニエレのCDを手に取って以来、大ファンだったという岸田は、彼と念願のコラボを果たした新曲「La Palummella」をイベント前日にリリース。イタリア文化会館大阪の協力のもと、ダニエレの「音博」出演も実現させた。

「自由」「ロックンロール」「視力M(?)」という日本語が描かれた革ジャンを羽織ったボーカリストのサッバをはじめ、個性的な仲間たちを引き連れてステージに現れたダニエレは、「音博」にふさわしく、多彩なジャンルを取り入れた楽曲を陽気にパフォーマンス。音楽の力で言語の壁を軽々と乗り越え、会場をひとつにしてみせた。なお岸田のオファーを受け、くるりの音楽を聴いたダニエレは「君は僕と一緒で、音楽のジャンルや国籍でボーダーを作らない人なんだね」と岸田に語っていたという。

「音博」ならではのコラボも多数披露

両日出演したダニエレと仲間たちがくるりと新曲「La Palummella」や既発曲「キャメル」のアレンジバージョン「Camel('Na Storia)」を演奏したほか、ピアニストの菊池の伴奏で岸田が「さよならリグレット」を歌うなど、「音博」でしか観られないコラボレーションも多数披露された。

2日目の昼に出演したのは、玉井詩織(ももいろクローバーZ)と武部聡志。武部が音楽監督を務める「『ジブリをうたう』コンサート」に出演した玉井と岸田は「崖の上のポニョ」をデュエットし、これがきっかけで岸田は玉井と武部に「音博」への出演をオファーしたのだという。武部率いるバンドとともに「音博」のステージに現れた玉井は、岸田を迎えると「となりのトトロ」や、くるりの「男の子と女の子」を笑顔で爽やかに歌唱。黄色いグッズをまとった熱心なファンたちの盛り上がりも印象的だった。

なお2日目に出演予定だったmiletは体調不良のため、開演直前に出演キャンセルに。くるりの大ファンとかねてより公言しているだけに、何より本人のショックが大きかっただろうが、今後また別の共演の機会が用意されることだろう。

ASKAが絶賛「こんなに気持ちのいいフェスはない」

2007年の初回を含め、過去には荒天に見舞われることも多かった「音博」だが、今年は2日間とも晴天に恵まれた。2年前から京都に住んでいるというASKAは「イマドキのフェスで、こんなに気持ちのいい空気のもとでやれることってない」と何度も称賛し、「また呼んでください」と話していた。

現在ツアーの真っ最中であるASKAは、登場するなり喉の不調を明かしたものの、「魂で歌います」と意気込んだ彼が「はじまりはいつも雨」を歌い始めると、会場の空気は一変。誰もが聞き覚えのある彼の本物の歌声が、桁違いの迫力で観客の心を揺さぶる。さらに2曲目の「SAY YES」で感動的なムードは一気にピークに。美しい夕焼け空が広がる中、実際に涙を流す人も見られた。

くるりは弦楽四重奏やダニエレたちを迎えた大編成で登場

両日のヘッドライナーを務めたくるりは、サポートメンバーの松本大樹(G)、野崎泰弘(Key)、石若駿(Dr)、加藤哉子(Cho)に加えて、かつてくるりのコピーバンドをしていたというバイオリニスト・後藤博亮が率いる弦楽四重奏やダニエレたちを迎えた大編成でライブを展開。コントラバス奏者のJuvichanの再編曲で、より美しく、ドラマチックになった「奇跡」や「Liberty&Gravity」などが月夜のもとで演奏される。代表曲「ばらの花」には、圧倒的なマイクパフォーマンスで2日目のオープニングを飾ったヒューマンビートボクサーのSHOW-GOも参加。まるで“魔術”のように口から生み出す音で楽曲を彩った。

ライブ終盤、「なんか胸がいっぱいでね」と切り出した岸田は「すごい憧れの人に会えたり、まさかこんなことが起こるはずはないだろうということが起こったり。願ってたり、思ってたりしたら叶うんやなということを思った」と感慨を口にする。最後に「演者の皆さん、スタッフの皆さん、関係者の皆さん、地域の皆さん、お越しいただいた皆さんで、こんなに素晴らしい『音博』を作り上げることができました。本当にうれしいです」と感謝を伝えた岸田は、「また来年」と呼びかけると「宿はなし」を演奏。2日間のイベントは穏やかにフィナーレを迎え、来場者たちは感想を語り合いながら帰路についた。

なお、くるりは10月28日に放送されるNHK総合「tiny desk concerts JAPAN」に登場。「音博」と同じく、ダニエレらを迎えた大編成で演奏を披露する。

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