MONO NO AWAREが10月22日に東京、10月24日に大阪のビルボードライブで公演を行った。本稿では東京公演の2ndステージの模様をレポートする。
ライブレストランに響く高速早口言葉
MONO NO AWAREによるビルボードライブ公演は約1年ぶり。前回は活動休止中だった竹田綾子(B)に代わり、サポートベーシストの清水直哉を交えての出演だったが、竹田が復帰した今回は清水が鍵盤担当で加わる特別編成でパフォーマンスを繰り広げた。
定刻になると、スパンコールやファーをあしらった華やかな衣装のメンバーたちがステージに登場。最新アルバム「ザ・ビュッフェ」より「同釜」でライブがスタートした。“食”がテーマのラップはライブレストランの空間と好相性。ピアノとギターの穏やかな立ち上がりから柳澤豊(Dr)によるビートの切り替えが鮮やかに決まるとフロアから歓声が上がり、その後のドラマチックな展開も観客の喝采をさらった。
「イニョン」「88」とピアノの映えるナンバーで温かな空気が広がったのち、加藤成順(G)がお決まりのカッティングギターを鳴らす。早口言葉を取り入れた「かむかもしかもにどもかも!」だ。エンタテイナー然とした立ち回りで玉置周啓(Vo, G)が観客との掛け合いを楽しんでいると、演奏は徐々にテンポアップ。竹田のソロでイントロが終わってもそのテンポは落ちることなく、高速のまま歌い切った玉置に惜しみない拍手が送られる。ステージと客席の距離が近いビルボードライブならではのにぎにぎしいパフォーマンスが観客を大いに楽しませた。
魅力を増幅させる特別編成
サポートの清水はピアノだけでなくシンセサイザーやパーカッションでも演奏に参加。極端なアレンジは施さずに、楽曲に溶け込み元々の魅力を増幅させるようなエッセンスを加えた。その後、ムーディな「夢の中で」、物憂げな「ヒトノキモチニナ~ル」で緩急のあるステージを見せ、観客を熱狂させたMONO NO AWARE。ここで改めて挨拶した玉置は、本公演で提供されているオリジナルカクテル「パッション島」を紹介したのち、落とし所を探りながら話し続けて観客の笑いを誘った。
「僕としてもいい思い出にしたい。ぜひ楽しんで帰ってください」と玉置が語り、シンセの音色や唱歌の旋律がノスタルジックな「A・I・A・O・U」でライブは早くも後半へ。「言葉がなかったら」「忘れる」で感動的なムードが充満したのち、とびきりロマンチックな「LOVE LOVE」が演奏され、抜群のタイミングで散らばったミラーボールの美しい光も観る者の心を揺さぶった。そして清水を交えた5人編成でこのステージに立てたことを感謝したMONO NO AWAREは、最後に彼のシンセを起点に「あたりまえ」をエモーショナルにパフォーマンス。充実の表情でステージをあとにした。
客席で燃え尽きる玉置周啓
アンコールではMONO NO AWAREが4人だけで登場。「観たことのない景色をお届けします」と言った玉置の合図で「東京」の演奏がスタートし、ステージ奥の幕がゆっくりと開いて東京のきらびやかな夜景が現れた。これは1年前の公演時にも取り入れられた演出だが、この曲を演奏するうえで絶好のシチュエーションの1つと言えるだろう。その後、再び清水をステージに迎えて披露されたのは、お祭りナンバー「水が湧いた」。観客はついに椅子から立ち上がり、縦乗りも横乗りも関係なくリズムに身を任せて最後の1曲を堪能する。場内の熱は上昇し続け、清水がジャンベを叩き出すとさらなる熱狂が生まれた。
そしてテンションがピークに達した玉置は、客席に降りるばかりか、靴を脱いでその場にあった椅子の上に立ち、ギターを掻き鳴らしながら猛烈に咆哮。そのままステージ上のメンバーたちと情熱の赴くままにグルーヴィに演奏し続け、燃え尽きるようにして終演を迎える。彼がステージに戻り、メンバーと1列になってお辞儀をする頃、場内には5人の濃密な熱演を称える笑顔が広がっていた。
セットリスト
「MONO NO AWARE Billboard Live Tour 2024」2024年10月22日 Billboard Live TOKYO
01. 同釜
02. イニョン
03. 88
04. かむかもしかもにどもかも!
05. 夢の中で
06. ヒトノキモチニナ~ル
07. A・I・A・O・U
08. 言葉がなかったら
09. 忘れる
10. LOVE LOVE
11. あたりまえ
<アンコール>
12. 東京
13. 水が湧いた