東京女子流とフィロソフィーのダンスによるツーマンライブ「東京のダンスIV ~東京女子流 × フィロソフィーのダンス~ byライブナタリー」が9月29日に東京・東京キネマ倶楽部で開催された。
アイドルシーンにおいて、ソウルやファンクをベースにした楽曲で高い音楽的評価を得る東京女子流とフィロソフィーのダンス。音楽を通して共鳴してきた2組による対バン企画「東京のダンス」は2021年に初開催されて以降、年に1回のペースで行われ、シャッフルユニットやコラボパフォーマンスなどで好評を博してきた。しかし、東京女子流が2026年3月31日の公演をもって解散することを受け、公演が終わるたびに双方のファンから次回の開催を望まれてきた「東京のダンス」もフィナーレを迎えることに。この貴重な瞬間を目に焼き付けようと、今回も大勢のファンが会場に集まった。この記事では昼夜2公演のうち夜公演の模様をレポートする。
夜公演のオープニングを飾ったコラボ曲は
開演前に新井俊也(冗談伯爵)がDJプレイを披露するのが恒例となっている「東京のダンス」。高揚感と期待感がフロア全体に充満しきったのち、ライブはフィロのスと東京女子流によるコラボパフォーマンスで幕を開けた。昼公演ではフィロのス「フォーカス」がオープニングのコラボ曲に選ばれたが、夜公演では東京女子流が誇る初期の名曲「ヒマワリと星屑」が“東京のダンス”によって披露された。ステージでフォーメーションを組んだ9人が息の合った歌とダンスを届けると、フロアのテンションが一気に上昇。観客は黄色のペンライトを掲げたり、体を揺らしたりしつつ、ステージ上で生み出されるものすべてを享受するように前のめりにライブに没頭した。
そしてここからは2組が数曲おきに入れ替わり登場する、「東京のダンス」おなじみのスタイルでライブが進行していく。フィロのスは奥津マリリの「女子流とフィロのスの伝説の夜、目に焼き付けていってね!」という煽りとともに、代表曲「ダンス・ファウンダー 」を最初に披露。ステージ横のバルコニーへ移動したり、日向ハル主導で独特なコール&レスポンスを繰り広げたりと、あふれんばかりのエネルギーを観客に伝播させる。続いてフィロのスが「シュークリーム・ファンク」でご機嫌なムードを形成すると、そのリズムを引き継ぐようにして今度は東京女子流がステージへ。ファンキーなサウンドの「W.M.A.D」をパフォーマンスし、観客とともに腕を左右に振って一体感を共有した。
女子流の世界へ溶け込む木葭のの&香山ななこ
その後もDJが楽曲をプレイするかのごとく、2組が呼応し合うようパフォーマンスが連続。東京女子流が今年7月にリリースしたアルバム「東京女子流」よりアダルトなムードが漂う「nostalgia」を歌唱し、しなやかなダンスで観客を魅了したかと思えば、フィロのスも「曖昧シェイキット」で成熟したアーバンな姿を見せる。続いてフィロのスが披露したパーティチューン「感じてサマー」は、夏にリリースされた最新シングルのカップリング曲。東京女子流も「nostalgia」のほかに、疾走感あふれる「datura」や柔らかく温かな歌声が印象的な「交換日記」といった最新アルバムの楽曲を届けた。2組とも10年を超えるキャリアを誇り、それぞれ多くのキラーチューンを持つが、常にグループの最高地点を更新し続けていることを証明してみせた。
「交換日記」の曲中、フロアで双方のファンが肩を組み、東京女子流の山邊未夢が「みんな友だち!」と笑顔を見せるなど、強固な連帯感が広がる場内。続くシャッフルユニットによるコラボコーナーでその空気はさらに増大していく。フィロのス「ファイナル・アンサー」と東京女子流「kissはあげない」が披露された昼公演のコラボコーナーも大きな盛り上がりを見せたが、夜公演でも特別なパフォーマンスが用意された。まず東京女子流の大人びたナンバー「リフレクション」を、東京女子流の山邊と中江友梨、フィロのスの木葭ののと香山ななこの4人が披露。木葭と香山はグループに途中加入したフィロのスの後輩組だが、東京女子流ならではのスマートで神秘的な世界へ見事に溶け込んでみせた。
日向ハル&新井ひとみがついに結婚式
フィロのスの奥津、佐藤まりあ、日向ハル、東京女子流の新井ひとみ、中江、庄司芽生の5人がコラボしたフィロのスの楽曲「スピーチ」は、本公演における大きなハイライトとなった。「スピーチ」は友人の結婚を祝う楽曲。これまで「東京のダンス」を通してラブストーリーを演じ、前回公演で無事結ばれた日向と新井が“新郎新婦”として腕を組みながらバルコニーに姿を見せた。観客から祝福の喝采を浴び、幸せそうな笑顔を浮かべながら指輪を見せた新婚夫婦は、曲が終わるとバルコニーのカーテンをくぐって2人の新居へと消えていった。長めの茶番が終わり、ステージに戻った日向はあまりの幸福感に現実へ戻れず、心ここにあらずの状態。「こんなに幸せになっていいんですかって。結婚に関して、人生において満足してしまいました」と口にした。
公演終盤もラグジュアリーな東京キネマ倶楽部のフロアにグッドミュージックがこだまし続ける。東京女子流は「フォーリンラブな時」、フィロのスは「ラブ・バリエーション」などを披露し、双方のファンを夢中にさせた。そしてフィロのスは「女子流さん4人の未来がずっと輝き続けますように」という言葉を合図に「はじめまして未来」をパフォーマンスし、東京女子流メンバーへの思いを歌声に乗せて響かせる。一方の東京女子流は最新アルバムの収録曲「キセキ」をラストに歌唱。ステージ上で向かい合いながら歌う4人の姿が観客の胸を打った。
すべてのパフォーマンスが終了すると、2組がステージにそろいエンドトークへ。「キセキ」を聴いて号泣していた奥津は、涙をこらえるあまり奇妙な口調になりながらも「同じ時代を生きた仲間として、同じステージに立った仲間として、今日という日は絶対に忘れてはならねえと思いました。この曲たちを一緒に歌えたこと、とってもうれしく思っておりますし、この曲たちを私たちは一生愛し続けますし、女子流さんたちの15年のがんばりも今日の輝きも一生覚えていようと思いました」と胸の内を語った。彼女の言葉にも表れていた通り、ただの対バン企画に終わらず、回を重ねるごとに2組の絆を育んできた「東京のダンス」はこうして大団円を迎えた。
セットリスト
「東京のダンスIV ~東京女子流 × フィロソフィーのダンス~ byライブナタリー」2025年9月29日 東京キネマ倶楽部
昼公演
01. フォーカス / 東京のダンス
02. ダンス・ファウンダー / フィロソフィーのダンス
03. Gimme Five! / フィロソフィーのダンス
04. 夏の密度 / 東京女子流
05. Limited addiction / 東京女子流
06. 曖昧シェイキット / フィロソフィーのダンス
07. 感じてサマー / フィロソフィーのダンス
08. datura / 東京女子流
09. 交換日記 / 東京女子流
10. ファイナル・アンサー / 東京のダンス(佐藤まりあ、木葭のの、香山ななこ、山邊未夢、中江友梨)
11. kissはあげない / 東京のダンス(新井ひとみ、庄司芽生、奥津マリリ、日向ハル)
12. シスター / フィロソフィーのダンス
13. とけないまほう / 東京女子流
14. ヒマワリと星屑 / 東京女子流
15. サンフラワー / フィロソフィーのダンス
16. はじめまして未来 / フィロソフィーのダンス
17. ちいさな奇跡 / 東京女子流
夜公演
01. ヒマワリと星屑 / 東京のダンス
02. ダンス・ファウンダー / フィロソフィーのダンス
03. シュークリーム・ファンク / フィロソフィーのダンス
04. W.M.A.D / 東京女子流
05. nostalgia / 東京女子流
06. 曖昧シェイキット / フィロソフィーのダンス
07. 感じてサマー / フィロソフィーのダンス
08. datura / 東京女子流
09. 交換日記 / 東京女子流
10. リフレクション / 東京のダンス(山邊未夢、中江友梨、木葭のの、香山ななこ)
11. スピーチ / 東京のダンス(奥津マリリ、佐藤まりあ、日向ハル、新井ひとみ、中江友梨、庄司芽生)
12. ファイナル・アンサー / フィロソフィーのダンス
13. Viva La 恋心 / 東京女子流
14. フォーリンラブな時 / 東京女子流
15. ラブ・バリエーション / フィロソフィーのダンス
16. はじめまして未来 / フィロソフィーのダンス
17. キセキ / 東京女子流
