11月14日公開の映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」に西寺郷太(NONA REEVES)、中川五郎らがコメントを寄せている。
「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」はアメリカのシンガーソングライター、ブルース・スプリングスティーンが1982年に発表したアルバム「Nebraska」の制作背景を中心に、名声の影で彼が抱く孤独や葛藤を描いた作品。スプリングスティーン役をジェレミー・アレン・ホワイトが務め、劇中の歌唱やギター演奏も彼自身が行った。
西寺は「ベッドルームのデモテープと、大観衆の熱狂。メガスターへの道を螺旋状に登りながらも、透き通る孤独の美しさを信じたブルース。彼は『ネブラスカ』で、歴史上誰よりも正直なシンガーとなった」とスプリングスティーンの素顔を交えてコメント。中川は「思索し、内省し、創作に打ち込み、商業主義に与しないブルース。父との確執、母への愛、恋愛観。ミュージシャンというよりも人間としてのブルースが丁寧に描かれた重くて深い劇映画だ」と本作を評している。
このほか宇野維正、海津亮(ロッキング・オン)、小倉エージ、萩原健太、村尾泰郎、門間雄介、湯川れい子ら音楽業界の関係者たちのコメントも公開されている。
映画「スプリングスティーン 孤独のハイウェイ」コメント一覧
西寺郷太(NONA REEVES)
ベッドルームのデモテープと、大観衆の熱狂。
メガスターへの道を螺旋状に登りながらも、透き通る孤独の美しさを信じたブルース。
彼は「ネブラスカ」で、歴史上誰よりも正直なシンガーとなった。
中川五郎
びっくりした。バンドと共に時代を駆け抜けるロック・ミュージシャンのブルースの姿が描かれている劇映画だろうと思って見たら、ギター弾き語りの自宅録音で作った1982年の異色アルバム「ネブラスカ」の頃の彼に焦点があてられたとてもシリアスな作品だった。思索し、内省し、創作に打ち込み、商業主義に与しないブルース。父との確執、母への愛、恋愛観。ミュージシャンというよりも人間としてのブルースが丁寧に描かれた重くて深い劇映画だ。
宇野維正
世界的なスーパースターとなってもなお、
市井の人々の代弁者であり続けることができたスプリングスティーン。本作はその謎を見事に解き明かしてくれる。
彼の繊細な魂を守り抜いた音楽ジャーナリスト出身のマネージャー、ジョン・ランダウになりきったジェレミー・ストロングの名演に心を打たれた。
海津亮(ロッキング・オン)
「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」。
この米国賛歌だと思い込まれたタイトル作の天文学的ヒットによってブルース・スプリングスティーンは国民的英雄になる。しかしその歌詞はベトナム戦争への内省に溢れ、決して自国肯定ではなかった。そんな自己矛盾を抱えながら彼は世界を熱狂させるロックヒーローである事を引き受けた。深い葛藤を内に秘めながら。これはその2年前の物語。今明かされるリアルに魂が震える。
小倉エージ
苦悩、困惑、逡巡、葛藤だけではない〈重荷〉を抱えていたアルバム「ネブラスカ」!
抗う術のない父との関わり、愛おしい母。過去との対峙が浮き彫りにする家族の〈絆〉。
「孤独のハイウェイ」が明かす予想外の逸話に、言葉を失くすよりほかなかった!
萩原健太
疾走するロックンロール・ビートに乗せてブルース・スプリングスティーンが繰り出す圧倒的な咆哮。そして、その背後に潜む深くダークな闇。両者が、時に絡み合い、時に反発し合いながら共存しているからこそ、彼の音楽はこの上なく魅力的に響く。ぼくたちの心を熱く震わせてくれる。そんな謎解きを、スコット・クーパー監督は淡々と、しかし確かな手応えとともに描き出す。沁みます。
村尾泰郎
一人のミュージシャンのターニングポイントを、闇を抱えた名盤の世界観を、スコット・クーパー監督が見事に映画化。
様々な葛藤を抱えながら「ネブラスカ」に取り憑かれていくブルース・スプリングスティーンを、ジェレミー・アレン・ホワイトが全身全霊で熱演。
この映画を通じてスプリングスティーンに出会えたような気がした。「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」しか聴いたことがない人にこそ観てほしい。
門間雄介
優れた音楽は音楽家の内面からどのようにして生まれるのか。
その過程が、曲作りからレコーディング、マスタリングに至るまで、背景にある幼少期のトラウマを浮き彫りにしながら、嘘なくスリリングに記録されている。
音楽を真に理解する人たちによる、音楽を真に愛する人たちのための映画。
湯川れい子
ブルースがどれほど繊細な人だったのか--彼の複雑な心の奥をはじめて知り、胸を打たれました。だからこそ、あれほど正直で心に響く詞が生まれたのでしょう。ブルースという人そのものを丁寧に描いた、重厚で素晴らしい映画です。絶対にお見逃しなく!


