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Snow Manが証明した「アイドルはヒーローだ」 / ずとまよ「メディアノーチェ」に潜む二重構造

再生数急上昇ソング定点観測
約1か月前2026年02月13日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週イチ連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで2026年1月30日から2月5日にかけて集計されたミュージックビデオランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングには、1位にHANAの「Cold Night」が登場した。これはテレビアニメ「メダリスト」第2期のオープニング主題歌で、HANAがアニメ主題歌を担当するのはこれが初。迷いながらも夢へ踏み出す人の背中をそっと押すような、温かくも力強いナンバーに仕上がっている。

11位にはMAZZELの「BANQUET BANG」がランクインした。ノンストップで展開する威勢のいいサウンドが、刹那的でありながらドラマチックな世界観を描き出している。

78位に登場したのはPUNPEEの「Mornin'26」だ。今作はPUNPEE自身が抱える葛藤との折り合いのつけ方が描かれた楽曲。MVには小沢健二、染谷将太、鈴木もぐら(空気階段)&澤部渡(スカート)、ヒコロヒー、ピーナッツくん、Elle Teresaなど豪華な面々が出演している。

88位には、2014年3月に公開されたBUMP OF CHICKENの「ray」が11年の時を経て初登場した。Netflixアニメ映画「超かぐや姫!」のエンディングテーマとして「ray」のTAKU INOUEアレンジバージョンが使われていることから、原曲が再評価されているようだ。

R&B、ヒップホップ、バンドサウンドなど、多種多様な楽曲が並んだ今週は、下記の3曲をピックアップする。

Snow Man「STARS」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場9位

「僕はアイドルって“ヒーロー”みたいなものだなって本気で思ってます」。これはSnow ManがCDデビュー後、2020年に行った初の単独コンサート「Snow Man ASIA TOUR 2D.2D.」内で、メンバーの阿部亮平が発した言葉だ。ヒーローとは希望の象徴であり、多くの人を勇気付ける存在でもある。今の彼らはヒーローと呼ぶにふさわしいアイドルと言えるだろう。

それを踏まえて紹介したいのが、今週9位に登場したSnow Manの「STARS」だ。今作は「TBS系スポーツ2026」のテーマ曲で、同局で中継している「ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック」の番組でも使用されている。

1月18日、Snow Manは大阪・京セラドーム大阪で5大ドームツアー「Snow Man Dome Tour 2025-2026 ON」の最終公演を開催し、ダブルアンコールで「STARS」を初披露した。その際に渡辺翔太が「皆さんや選手の方々の背中を押せるような1曲」と語っていたように、「“この一瞬 たった一回”」という歌詞で始まるこの曲は、一度きりの勝負に向けて血のにじむような努力をしてきた選手たちの心情を表している。また、日常生活の中でその人それぞれの勝負事を応援する楽曲にも思える。

MVは、小学校や高校などに足を運んだメンバーが、夢に向かって努力する学生を見守るという内容で、最後に生徒たちに囲まれながら歌う場面でハイライトを迎える。彼らの歌を聴きながら、目を輝かせる少年少女の顔が印象的だ。聴く者を鼓舞するその歌声は、現代のヒーローを感じさせるし、彼らが歌うからこそ「STARS」の歌詞が何倍にも輝いて胸に届くのだ。

ずっと真夜中でいいのに。「メディアノーチェ」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場40位

人間は1人では生きていけない。基本的には、社会の中で誰かと関わりながら生活している。ときには面白くないと思っても、その場の空気を悪くしないように「面白い」「楽しい」と、反対の気持ちを表に出すこともあるだろう。また、会社の上司や商売相手、学校の先輩や先生などに、自分に非がないと思ったとしても頭を下げなければいけない場面もある。こうして我々は社会という輪の中で、うまくバランスを取りながら日々を送っている。ただ、周囲からはみ出すことを恐れて本音を隠しながら生きていると、ふと「本当の自分はどこにいるんだろう」と感じることもあるはずだ。

ずっと真夜中でいいのに。の新曲「メディアノーチェ」は、そうした“社会”と“自分”のバランスを描いた楽曲なのではないだろうか。「medianoche」とは「真夜中」という意味のスペイン語で、「media」は「半分」、「noche」は「夜」を指す。ただし「media」というスペルは英語では「媒体」や「メディア」を意味する言葉でもあり、これが英語だと考えた場合、多くの人の目や世間的な評価とも読み取ることができる。そして「noche」が意味する「夜」は、他人には見せない自分の本音を象徴していると解釈できる。すなわち、今作のタイトルには「社会」と「自己」という二重構造が潜んでいるとも言えるだろう。

歌詞を見ても「都合いい存在が なんだかんだ大人気じゃん 雀」「泣き叫んだり 生まれた通り / 生きられたらなぁ 外側の自分だけでも」と2つの視点が交差する。今作で「どう生きることが正解なのか」というアンサーは、明確には提示されていない。しかし、だからこそ混沌としたこの歌は特別なリアリティを持って響くのだ。

柿崎ユウタ「月が綺麗ねと言われたい!」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場45位

3曲目に紹介するのは、柿崎ユウタの「月が綺麗ねと言われたい!」だ。柿崎は2000年生まれのアーティスト。新曲「月が綺麗ねと言われたい!」はTikTokで300万再生、Instagramで計500万再生、弾き語りカバーが1000万再生されるなどSNSで話題になっていた曲で、リリックビデオは1月30日の公開から10日間で120万再生を突破している。タイトルであり、曲中にも登場するフレーズ「月が綺麗ねと言われたい!」の元ネタは、作家の夏目漱石が英語の「I love you」を「愛している」ではなく「月が綺麗ですね」と訳したという逸話が元になっているのだろう。

歌詞の主人公“私”は“君”に「月が綺麗ね」と、愛の告白をされたいと思っているが、“君”には別に思いを寄せている人がいる。それがわかっていながら、「せめて今夜だけでも愛の言葉を囁いてほしい」と願う。この曲はそんな心情を描いた片思いソングだ。普遍的なテーマの歌詞でありながら、軽やかで聴き心地のいいメロディとサウンドが重なることで、思わず口ずさみたくなるキャッチーさを生んでいる。

2月3日には柿崎ユウタがボカロ名義・カササギとして、初音ミクが歌う同曲のリリックビデオも公開。コメント欄では「ミクが歌うと泣いているように聞こえる…」「本人歌唱版は好きな人への想いが溢れてるような感じだったけど、こっちはどこか諦めて遠目から見つめてるだけみたいな感じがして良き」などの感想が寄せられており、2曲を聴き比べることによって、それぞれ違う表情を楽しむことができる。

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