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a flood of circleが初武道館ワンマンで見せた“通常運転”ぶり、結成20周年に示した無骨なスタンス

佐々木亮介(Vo, G)(Photo by Viola Kam [V'z Twinkle])
4分前2026年05月08日 14:05

今年結成20周年を迎えたa flood of circleが、キャリア初となる東京・日本武道館公演を5月6日に開催した。

日本武道館公演でも“通常運転”

a flood of circleは佐々木亮介(Vo, G)、渡邊一丘(Dr)らによって2006年に結成され、2009年4月に1stフルアルバム「BUFFALO SOUL」でメジャーデビュー。当時のメンバーは20代前半と若く、一見すればバンドとしてのキャリアは順調に見えた。しかし、デビュー直後のギタリストの失踪に始まり、幾度かのメンバーチェンジ、事務所の崩壊と独立、レーベル移籍とその歴史は波瀾万丈。その中で佐々木と渡邊はしぶとくバンドを転がし続け、2016年よりHISAYO(B)、アオキテツ(G)とともに現在の体制で活動を続けている。

そんなa flood of circleが武道館公演の実現に向けて、本格的に動き始めたのは3年前の2023年。同年にリリースしたホリエアツシ(ストレイテナー)をプロデューサーに迎えた曲「ゴールド・ディガーズ」の歌詞で、佐々木は「武道館 取んだ3年後 赤でも恥でもやんぞ」と決意表明を刻んでいる。そして2025年11月に東京・新宿KABUKICHO TOWER STAGEで行ったフリーライブの中で、武道館公演の開催を発表。このとき初披露となった「夜空に架かる虹」の歌詞に「5月6日 武道館 目を開けて夢を見ている」というフレーズを織り交ぜ、バンドとしての気合いのほどを見せていた。その後、武者修行とも言える対バンツアー「a flood of circle 20周年記念ツアー “日本武道館への道”」を経て、5月6日当日を迎えたメンバーたち。「a flood of circleとはいえ、大舞台では派手な仕掛けもあるのではないか」という来場者たちの予想を裏切る、“通常運転”のパフォーマンスを繰り広げた。

ギターケースを担いだ佐々木亮介が現れた場所は

武道館の玄関に掲げられた幕に印刷されていたのは、「a flood of circle」のロゴのみ。場内に足を踏み入れてみれば、ステージにセットされているのはライブハウス公演同様の機材と大きなLEDスクリーンだけという簡素さ。シンプルである一方、各々の演奏だけで来場者を楽しませてやろう、というメンバーの気概がそこはかとなく漂っていた。

定刻が刻一刻と近付き、ステージを熱い視線で見つめるオーディエンスだったが、あと10分ほどで開演というタイミングでアリーナエリアがにわかにざわつき出す。1階席、2階席の観客が下を見やると、黒い革ジャンと革パンという見慣れた姿で、ギターケースを担ぐ佐々木がステージに歩みを進めていたのだ。

一瞬事態を飲み込めないファンもいる中、拍手を浴びてステージに上がった佐々木は、ギターケースから愛機のブラックファルコンを取り出し、ローディたちとともにサウンドチェックを開始。何食わぬ顔で準備する佐々木に、観客は思わず笑い出してしまう。そんな光景を前に、佐々木は「武道館ってお酒ダメなんでしたっけ?」とうそぶき、1人で「本気で生きているのなら」を弾き語り始めた。演奏の途中で開演時刻の16:00を迎えると、ステージに渡邊、HISAYO、アオキが合流。後ろを振り返ることなく佐々木は「これでいいんだ」とシャウトすると「おはようございます。a flood of circleです」と言い放ち、客電がついたまま「伝説の夜を君と」を歌い始め武道館公演の幕を開けた。

トラブルさえも演出のひとつのように

目の前のオーディエンスと“伝説”を作ることを宣言するような1曲で始まったライブだが、客電はその後も落ちることなく、ステージを彩る照明演出もほぼ皆無。スクリーンが映し出すのは、メンバーと2階席まで埋め尽くされた客席だけ。a flood of circleにとっては当たり前の演出が逆に異様さを際立たせるが、ステージ上の4人は演奏に没頭していく。

渡邊は力強くスティックを振り落とし、HISAYOはスリットの入ったワンピースの裾をひるがえし、その華麗な動きとは裏腹に武道館を震わせる野太い低音を響かせる。アオキは佐々木の脇でエッジの効いたギターをかき鳴らし、ソロではいぶし銀のプレイを披露。そこにベタベタとした親密さはなく、火花を散らすようにそれぞれの音をぶつけ合い、20年の歴史の中で放ってきた曲をストイックに奏でる4人の姿があった。とはいえ、メンバーが立っているのはバンドが目標として掲げていた武道館のステージ。「New Tribe」で佐々木は「君を連れてきた 約束の地へ」と歌詞を変えるなど、パフォーマンスのところどころに感慨をにじませる。その額と首元にライブ開始早々から滴る汗が、全力でステージに臨み、集まった約8000人のオーディエンスと向き合っていることをうかがわせた。

「アンドロメダ」のタイトルコールに会場が沸き立った中盤。このままライブはラストまで突き進んでいくと思われたが、ふいにメンバーを映していたLEDスクリーンに不調が生じ始める。一時的にスクリーンがブラックアウトするトラブルがありつつも、4人はそれすらも演出のように、意に介さない様子で演奏を続けひたすら曲をプレイ。観客もゾーンに入ったかのように集中してステージを見つめ、時に自らを鼓舞するように拳を突き上げ、メンバーとともに歌詞を口ずさむ。スクリーンには一時的にステージの背後からメンバーと観客を捉えた定点映像が投影され、ライブをドラマチックに演出する。

すっかりa flood of circleの代表曲となった「理由なき反抗(The Rebel Age)」を歌う前に佐々木は、「俺はただ、これが好きなだけ。ロックンロールが好きなだけ。筋トレしたくないから、暴力反対なだけ。人殺すのなんか怖いからしたくないだけ。戦争反対。当たり前でしょ? 理由なんて言う必要ある?」と言い放つ。そこからつなげられた「理由なき反抗(The Rebel Age)」では客席から「シャラララ」の大合唱が4人に降り注ぎ、「マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ」では「君が生きてる時代に間に合った それだけで死ねない日がありました」という切実なフレーズを佐々木がアカペラで絶唱するなどハイライトが続いた。

「ずっと夢が叶いっぱなし。で、今日が谷底」

「ゴールド・ディガーズ」が披露されたのはライブの終盤。佐々木の「Are you ready 武道館ベイビー?」のひと言を口火に猛々しいシンガロングが広がっていき、場内の空気が一層熱を帯びていく。「来たぞ武道館!」。そう佐々木が気炎を上げると、ひと際大きな歓声が客席から沸き起こった。「プシケ」の間奏で佐々木は「a flood of circle、20周年記念公演、日本武道館。集まってくれた親愛なる皆さんに、俺の大事なメンバー紹介します! ドラムス、渡邊一丘! ベース、HISAYO! ギター、アオキテツ!」とシャウト。これを受けて渡邊、HISAYO、アオキが楽器を繰る手にも力がこもり、ライブのクライマックスに向けてフルスロットルのパフォーマンスを展開する。「夜空に架かる虹」が始まる直前、佐々木はピックをギターの弦に当てながらふっと笑みを浮かべる。そして、「5月6日 武道館 目を開けて夢を見ている」というフレーズを実感を込めて歌い上げた。

「花」の演奏終了と同時に渡邊、HISAYO、アオキが一旦ステージを降り、佐々木は汗だくのままギターケースから2枚の紙を取り出し足元にセットする。佐々木は「じゃあ、新しい歌作ってきたんで」とポツリ。「俺は働きたくなさでバンドやってて。なんか、ここ(武道館)予約したときかな。厳密に言うともうちょっと前、バンド始めたときから、もうずっと夢が叶いっぱなしってことなんです。バンド結成した日からずっとジェットコースターですよ。で、今日が谷底」と言い放ち、会場の笑いを誘う。「元気な人は元気でいてください。そんで、谷底にいるやつには、ロックンロールあげる」と渡邊の刻む軽やかなビートに乗せて新曲「ロックンロール」を観客にプレゼントした。

佐々木はベスト盤のリリースと全国ツアーを何気ないことのように告知し、「花降る空に不滅の歌を」「Honey Moon Song」といったライブの定番曲を披露。さらに武道館公演の翌日に東京・下北沢SHELTERでのワンマンライブを開催することを急告した。驚喜する観客を前に、4人がラストナンバーとしてパフォーマンスしたのは、約20年前のインディーズ時代に発表された楽曲「ブラックバード」。「未来」を連呼する20代の衝動がほとばしる1曲を、結成から20年を経てたどりついた武道館の舞台で轟かせたa flood of circle。タフであきらめの悪い4人だからこそ鳴らしうる、野心に満ちたアンサンブルが武道館に響き渡った。

メンバーが1人ひとりステージを去る中、渡邊は晴れやかな表情で「ありがとう」と観客に向かって感謝の思いを伝える。そして、佐々木はギターケースにブラックファルコンを仕舞うと、それを担ぎそのままアリーナエリアへ。温かな拍手を浴びながら、客席後方の扉から武道館の外へと向かっていった。

なお、武道館公演の模様はU-NEXTにて5月20日23:59まで配信中。佐々木が告知したベストアルバムは8月にリリースされ、ツアーは8月下旬に開幕する。

セットリスト

「a flood of circle 20周年記念公演 “LIVE AT 日本武道館”」2026年5月6日 日本武道館

01. 伝説の夜を君と
02. Dancing Zombiez
03. The Beautiful Monkeys
04. ミッドナイト・クローラー
05. New Tribe
06. 春の嵐
07. KILLER KILLER
08. 人工衛星のブルース
09. くたばれマイダーリン
10. アンドロメダ
11. I'M FREE
12. Diamond Rocks
13. ロックンロールバンド
14. 世界は君のもの
15. ベストライド
16. 理由なき反抗(The Rebel Age)
17. マイ・モーターサイクル・ダイアリーズ
18. 北極星のメロディー
19. Rollers Anthem
20. ゴールド・ディガーズ
21. 虫けらの詩
22. プシケ
23. シーガル
24. 夜空に架かる虹
25. 月夜の道を俺が行く
26. 花
<アンコール>
27. ロックンロール(新曲)
28. 花降る空に不滅の歌を
29. Honey Moon Song
30. ブラックバード

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