Uruの全国ツアー「Uru Tour 2026『tone』」のファイナル公演が10月21日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催された。
3年ぶりのツアーで聴かせた唯一無二の歌声
このツアーは今年2月にリリースしたニューアルバム「tone」を携え、全国6公演にわたって行われた。約3年ぶりのライブとなった今回のツアーでUruは「tone」の収録曲や過去の代表曲などさまざまな楽曲を披露し、その唯一無二の歌声で集まったファンを魅了した。
幾重にも重なったオーガンジーのカーテンが彩るステージ上方には、アルバムのジャケットにも登場した2つの円形のオブジェが浮かぶ。暗転した会場でオブジェがゆっくりと輝き、さまざまな光跡がステージを照らす中、サポートメンバーの飯塚直斗(G)、宗本康兵(Key)、奈良ひより(Cho)に続いてUruが姿を現した。深々と頭を下げたUruは「Never Ends」の浮遊感に満ちたボーカルでライブの幕を開ける。落ちサビでは深みのある低音も響かせ、早くもその表現力の豊かさをオーディエンスに印象付けた。
暖色のライトに照らされて力強く前向きな歌声を届けた「手紙」は、奈良との美しいハーモニーも聴きどころ。続いて宗本のエレピイントロから始まった大滝詠一「幸せな結末」のカバーではシティポップ作品のジャケットを思わせるカラフルなイラストが投影され、楽曲の世界を彩った。MCで「皆さんこんばんは、Uruです。前回から3年ぶりのツアー、今日はそのファイナルです」と丁寧に語りかけたUruだが、「今日は暑かったですよね。冷たいものを食べたくなったりしましたが、皆さんは食べてきましたか?(即座に)そうですか」と、観客の反応を待たない独自のテンポのトークを繰り広げてファンを和ませた。
とぼけたMCで和ませるひと幕も
続いては、Uruのライブでは恒例となっている朗読が披露された。今回繰り広げられたのは、自らの夢を追いかけたものの現実の厳しさに心を折られ、あてもなく街をさまよう男の物語。ふとしたことから主人公が再び夢に向かう希望を抱いたところで、Uruはこの朗読のタイトルともなった「さすらいの唄」を歌い始めた。物語とリンクした、儚さと未来への思いを併せ持つこの曲に観客は深い感慨とともに聴き入る。続く菅田将暉「虹」のカバーではステージ上方に鮮やかな虹が映し出され、「Love Song」では軽快なリズムとUruの心地よい歌声がホール内を満たすなど、会場の空気は明るく華々しいものに変化していった。
今回のツアーでUruは自身のアニバーサリーにちなみ、各都市の10周年を迎えたご当地名物を紹介するトークを繰り広げてきた。この日は「私の10年をざっくりと、年表にして振り返ってみました」という、ファイナルらしい内容に。しかし「自分だと思い出せないのでチャッピーにまとめてもらいました(笑)」というその中身は「2016年のデビュー直前、1月に買ったチアシードをまだ開封していなかった……」などアーティスト活動とはかけ離れた、とぼけたエピソードばかり。柔らかな声色と語られる内容のギャップでオーディエンスを和ませたあと、Uruはファンから「どんなにウケていなくても動じずに話し続けているのがいい」「MCを1人で楽しんでいるのがいい」とメッセージを寄せられたことを振り返り「……ひどくない?(笑)」とボソリとつぶやいてさらなる笑いを誘った。
自分を信じる気持ちをなくさずにやってこられた
ライブ中盤は「アンビバレント」「春~Destiny~」と、Uruのポップネスを存分に感じられる楽曲が続く。それぞれの曲の世界観を鮮やかに表現した映像演出も観客の目を引いた。「ミラクル」そして「フィラメント」で再び情感に満ちあふれたエモーショナルなボーカルを届けたあと、Uruは「この曲に『10年後の私はちゃんと笑えてるかな』という歌詞があるんですが、10年を迎えたから書けたと思います」と語る。そして「今ここに立って、デビュー当初のことをよく思い出すんですけど……今だから話せることもあります」と、自らの内に秘めた思いを語り始めた。
デビュー当時のライブでは肩に力が入りすぎて思うように歌えず、泣きながら帰った日もあったこと。そんなときは昔の苦い思い出もよみがえり、学生時代の吹奏楽部の大会で自分のソロパートのミスがきっかけで敗退したのを思い出してしまうこと。「昔から変わっていないんだなと失望して、昔のことに足を引っ張られるのが情けなかった」と回顧したUruは「でも今ここに立てているのは、支えてくださったスタッフの皆さんのおかげ。そしてたくさん練習してきた自分を知っているから……」と声を詰まらせる。客席から温かい拍手が送られると、Uruは涙をこらえ「くじけそうにもなったけど、自分を信じる気持ちをなくさずにやってこられました」と前を向いた。
「たぶんこれからもいろんなことにぶつかっていくけど、そういう経験が生きてくる。これから歌う曲もそのうちの1つです」とUruが紹介したのは「今日という日を」、そしてさだまさしのカバー「たとえば」。自分を信じて生きていこうと呼びかける前向きなメッセージを観客に伝え、この日一番の感動を作り上げたUruは「これからもこの気持ちを忘れずに歌いたいと思います」と言葉を添え、最後に「心得」の壮大なボーカリゼーションで本編を締めくくった。
新たな活動をアナウンス、新曲「それなのに」も初披露
アンコール1曲目に飯塚のアコースティックギターが印象的な「傍らにて月夜」を歌ったUruは、この曲を提供したback numberに対する憧れの思いを語る。そしてこれまで応援してきてくれたファン、支えてきてくれたスタッフに感謝を述べ「今日は思いがけず泣いてしまって……自分でも引いてるんですけど」と照れくさそうに笑った。
このツアーファイナルの日に、テレビドラマ「あにいもうと」主題歌である新曲「それなのに」を配信リリースしたUru。この曲が12月9日にCDシングルとしてリリースされること、11月8日には今回のツアーの大宮公演の模様がWOWOWで放送・配信されること、3月にはファンクラブツアーを行うことを改めてファンにアナウンスしたあとは、ツアーファイナルのプレゼントとして「それなのに」をライブ初披露した。哀切なバラードで観客の胸を打ったのち、Uruはデビュー曲「星の中の君」を観客とともに合唱。大きな拍手とスタンディングオベーションに見送られてステージをあとにした。
セットリスト
「Uru Tour 2026『tone』」2026年10月21日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)
01. Never Ends
02. 手紙
03. 幸せな結末(オリジナル:大滝詠一)
04. さすらいの唄
05. 虹(オリジナル:菅田将暉)
06. Love Song
07. アンビバレント
08. 春~Destiny~
09. ミラクル
10. フィラメント
11. 今日という日を
12. たとえば(オリジナル:さだまさし)
13. 心得
<アンコール>
14. 傍らにて月夜
15. それなのに
16. それを愛と呼ぶなら
17. 星の中の君


