昨日5月11日に東京・シネマート新宿で映画「blank13」のトークイベントが開催され、監督を務めた齊藤工、主題歌を担当した笹川美和が出演した。
イベントは笹川による主題歌「家族の風景」のパフォーマンスで幕開け。彼女は優しい歌声と繊細なピアノの音色で会場を酔わせ、齊藤はその歌声に「夢のようです」とコメントした。そして「(本作を作るうえで)ラストシーンにこの曲がかかるのが最大の条件だったんです」「キャストよりも先に決めたのはこの曲が使えるか否か。ある意味で曲が主人公の作品」と笹川が歌うハナレグミ「家族の風景」のカバーが作品作りの背景にあったことを明かした。
続いて齊藤は「みんな、僕に会うとこの作品を思い出してくれる。その核には音楽があると思うんです」と本作の反響に触れる。そして「後半のシークエンスは挑戦的すぎるので、音楽を手がけた金子ノブアキに音で補ってほしいとオーダーしたんですが、『音じゃなくて空間に頼ったほうがいい』と言われて。彼が“音を付けない”という音の付け方をしたときは鳥肌が立ちました」と完成に至るまでのエピソードを明かした。
笹川は「あの齊藤(斎藤)工さんですよね?と、スタッフ一同ただただ驚きました」と主題歌のオファーがあった際の思いを回顧。齊藤から本編を観たときの感想を聞かれると「すごくいい使われ方をしていたので申し訳ない気持ちでいっぱいです」と照れ笑いを浮かべ、「ハナレグミさんの曲のカバーですし、(この状況は)すべてにおいて“棚から牡丹餅”だと思っています。長く皆さんに愛してもらえているのはやっぱりうれしいです」と楽曲への思いを語った。
最後に齊藤は「自分は楽曲が最後にあるということに向かって作品を作っていく人間だなということ気付いた。いかに音楽に頼っているかということと、それが間違いでないということが確証としてある」と作品作りの中で発見したことをコメント。笹川は「音楽って目に見えるものでも触れるものでもないんですけど、でもなぜかそこからイメージが膨らむという不思議なもの」と述べた。
現在上映中の「blank13」は、借金を残したまま13年前に失踪した父が余命3カ月で見つかったことをきっかけに始まる家族の物語。主人公のコウジに高橋一生、失踪した父にリリー・フランキーが扮し、松岡茉優、神野三鈴、伊藤沙莉、村上淳、佐藤二朗らがキャストに名を連ねる。
(c)2017「blank13」製作委員会