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前野健太×5lack、フォークシンガーとラッパーが異色ツーマンで長渕剛デュエット

左から5lack、前野健太。(Photo by Taro Mizutani)
6年近く前2019年08月28日 12:03

前野健太と5lackのツーマンライブが8月23日に東京・LIQUIDROOMで行われた。

昨年4月に約4年半ぶりのニューアルバム「サクラ」をリリースしたフォークシンガーの前野と、11月に約3年ぶりのニューアルバム「KESHIKI」をリリースしたラッパーの5lack。一見接点のないように思える2人は昨年10月に京都で行われたUNDERCOVER主催のイベントがきっかけで知り合い、すき焼き屋やカラオケ店で親睦を深めたのだという。そんな2人の異色のツーマンライブはLIQUIDROOMの恵比寿移転15周年を記念するイベント「LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY」の一環として行われ、会場にはそれぞれのファンが数多く集まった。

先攻を務めた前野は、バンドメンバーに続いてステージに現れ、ギターを抱えると最新アルバム収録曲「夏が洗い流したらまた」でライブを開始。歌い始めこそ穏やかだったが、徐々に歌と演奏に熱が込もっていき、2曲目の「ねえ、タクシー」で早くもギターの弦が切れてしまう。すると前野は弦を張り替えながら、5lackとすき焼き屋で初めて会った際のエピソードを静かに語り始める。そのユーモアあふれる語り口で会場が笑いに包まれる中、「アマクサマンボ・ブギ」でライブを再開した前野は、汗を滴らせ、サングラスを振り落としながら声を張り上げて観客を圧倒。「日韓問題に対して我慢できなくて1曲作りました」と語ると最近のライブ定番曲「マシッソヨサムゲタン」を披露し、「サムゲタン美味しいです」という意味の韓国語を観客に合唱させた。

ライブ中盤、前野は「この前、猫が裏路地で交尾してたんですね。完全に目が合っちゃって。ずっと俺のこと見てて、俺も見てて。紫陽花が濡れていて……」と雑談を始めると「そういう感じの照明とリバーブをお願いします」と指示して「ファックミー」の演奏を開始。指示通り徐々に妖艶な雰囲気に変わっていく照明とリバーブに最初は笑い声が起こっていたが、前野の情念が込もった歌声に観客はどんどん引き込まれていった。さらに「虫のようなオッサン」「東京の空」「防波堤」を歌い上げた前野は、演奏を終えたバンドメンバーと共に退場するかと思いきや、1人ステージに残りアコースティックギターを抱えると最前列の柵に乗り出して「18の夏」を熱唱。最後は「100年後」で「115周年イベントで会いましょう」と歌って出番を終えた。

前野の圧倒的なステージに続いては、昨年10月のワンマンライブ「KESHIKI」以来ほとんど姿を見せなかった5lackの貴重なライブが行われた。フロア前方にヒップホップヘッズたちが詰め寄せる中、前野退場後に閉じたステージの幕が再び開くと、そこにはDJ卓に立つ5lackの兄・PUNPEEの姿が。観客が歓喜の声を上げてスマホを掲げる中、PUNPEEと色違いのオーバーオール姿で現れた5lackはライブに先立って配信リリースした新曲「Grind the Brain」でライブの口火を切る。続く「That's me」では5lackのお気に入りのナンバーだというM.O.P.「Cold as Ice」がミックスされ、定番曲ながらフレッシュな印象に。5lackはコール&レスポンスで観客に声を出させながら「どんどん行くぞ」と前のめりでライブを進めていく。

5曲連続でパフォーマンスしたところで5lackは体力的に「ちょっときたよね」と正直に漏らし、PUNPEEも交えてトーク。場内にリラックスしたムードが生まれる中、普段福岡に住んでいてまだスイッチが切り替わってないんだという前振りから「東京」がスタートすると、フロアは一気に沸き上がった。さらに人気曲「Hot Cake」をオーディエンスに気持ちよく歌わせた5lackは「But Love」「Feelin'29」とメロウなナンバーを連発。「今日って何曜日だっけ?」と話を振るPUNPEEとのとぼけたやり取りで始まった「Weekend」では、そのパフォーマンス力で会場をしっかりと盛り上げた。ライブ終盤、11月にワンマンライブを行うことを発表した5lackは「裏でいろんな人が支えてくれて成り立ってるんです」と周囲の人々に感謝。代表曲「NEXT」を経てラストナンバー「Twiligh Dive」がスタートすると会場は徐々に暗闇に包まれていき、5lackとPUNPEEは静かにステージから姿を消した。

2人の熱演を受けて始まったアンコールには、前野と5lackがそろって登場。前野は5lackの「Feelin'29」を絶賛して「サムゲタンとか作ってる場合じゃない。ちゃんとラブソング作らないと」と反省する一方、前野を厳しい人だと思っていたという5lackは「(5lackの)CDは買わないかなとか言われるだろうなと思った」と話して会場に笑いを起こした。そんなゆるいムードの中、前野と5lackは「ねえ、タクシー」でセッション。5lackは「かなり自信ないっすよ」と不安げな様子を見せつつ、前野の伴奏に乗せて数年ぶりだというフリースタイルを披露した。さらに2人は「私たちの出会いの曲ですね。5lackさんが歌うこの曲を聴いて、好きになっちゃって」という前野の曲紹介から長渕剛「Myself」でデュエット。長渕を真似て歌う5lackの姿にフロアは大盛り上がりとなり、ライブは大団円を迎えた。

前野は11月30日に東京・ダンスホール新世紀でデビュー12周年を記念したワンマンライブを開催。前野のオフィシャルサイトでは9月8日23:59までチケットの先行予約を受け付けている。5lackが11月に行うワンマンライブの詳細は後日発表される。

LIQUIDROOM 15th ANNIVERSARY 前野健太 / 5lack
2019年8月23日 LIQUIDROOM セットリスト

前野健太

01. 夏が洗い流したらまた
02. ねえ、タクシー
03. アマクサマンボ・ブギ
04. マシッソヨサムゲタン
05. ファックミー
06. 虫のようなオッサン
07. 東京の空
08. 防波堤
09. 18の夏
10. 100年後

5lack

01. intro
02. Grind the Brain
03. That's me
04. DNS
05. もういい
06. 影道
07. 東京
08. Hot Cake
09. But Love
10. Feelin'29
11. Weekend
12. NEXT
13. Twiligh Dive

前野健太×5lack

01. ねえ、タクシー
02. Myself(オリジナル:長渕剛)

前野健太 デビュー12周年公演

2019年11月30日(土)東京都 ダンスホール新世紀

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