東京女子流とフィロソフィーのダンスによるツーマンライブ「東京のダンスII ~東京女子流 × フィロソフィーのダンス~ byライブナタリー」が10月1日に東京・東京キネマ倶楽部で開催された。
ともに洗練された楽曲、確かなスキルに裏打ちされた高水準のパフォーマンスによってアイドルシーンの中で独自の地位を築いている東京女子流とフィロのス。2組は昨年6月に開催されたライブナタリー主催「東京のダンス」で初めてツーマンライブという形で競演し、大盛況のうちにイベントを終えた。両グループのファンから第2回の開催を望む声が多く上がる中、11月にフィロのスから卒業する十束おとはの在籍中に再びツーマンライブを実現させるため、ライブナタリーは「東京のダンスII」を企画。2組のパフォーマンスが一段と映える東京キネマ倶楽部にて昼夜2部制のライブが決定し、チケットが早々にソールドアウトするほど前評判の高い公演となった。
昼公演
昨年の第1回に引き続き、開演前には新井俊也(冗談伯爵)がDJを務め、東京女子流とフィロのスの音楽性のルーツをたどるような楽曲をプレイする。場内の高揚感がふつふつと高まっていく中、昼公演ではフィロのスが先攻で登場し、「踊る準備できてますかー!?」というエネルギッシュな煽りとともに挨拶代わりの1曲「ダンス・ファウンダー」をパフォーマンス。一瞬にして会場をダンスフロアへと変えると、前回の「東京のダンス」以来約1年3カ月ぶりに軽快なファンクナンバー「VIVA 運命」を披露し、フィロのスファンのテンションを急上昇させた。今回の公演も2組が数曲ごとに入れ替わり、交互に楽曲を披露する構成で、フィロのスとバトンタッチした東京女子流は「VIVA 運命」の余韻に重ねるようにしてAORナンバー「Viva La 恋心」を歌唱。さらにハードボイルドな雰囲気を帯びた「Count Three」と続け、12年の活動の中で熟成させたしなやかなダンスでオーディエンスを魅了した。
フィロのスの奥津マリリと、彼女のトークイベントにゲスト出演した東京女子流の庄司芽生が「マリちゃん」「めいちゃん」と呼び合う仲になるなど、前回のツーマン以降、グループ間の距離を縮めてきた“東京のダンス”。2組はその後もお互いを意識したパフォーマンスの応酬を続けていく。フィロのスが1986オメガトライブ「君は1000%」のカバーや、メジャー3rdシングル「ダブル・スタンダード」といったこの約1年の間に発表した楽曲を披露したと思えば、東京女子流も近年リリースした「ストロベリーフロート」や「ガールズトーク」でそれに応えてみせる。続いてフィロのスは下手のバルコニーから姿を現し、ステージへ降りる階段に腰掛けながら、今年4月発表のメジャー1stアルバム「愛の哲学」の収録曲「スペシャル・ルーティン」を初披露。間奏で奥津が「女の子はデートの1週間くらい前から美容院に行ったり、ダイエットしたりするのにさ、男の人ってしわくちゃのシャツで会いに来たりするんだよね」というセリフを口にしたり、十束が甘い声でラップを繰り出したりと、ファンに驚きと喜びをサービスした。
4年前に東京キネマ倶楽部のステージでSCOOBIE DOとコラボした思い出の曲「ラブ・バリエーション」で出番を終えたフィロのス。対する東京女子流は今年8月にリリースした約7年ぶりのオリジナルアルバム「ノクターナル」より、「この雨が上がっても」「コーナーカット・メモリーズ」を披露し、グループの最新形を提示する。そしてマイクスタンドを手にした彼女たちは、デビュー年の2010年に発表し、東京キネマ倶楽部でMVを撮影した「ヒマワリと星屑」を最後に歌唱。ステージ袖で聴いていた奥津が「10年以上前の曲がこんなに色褪せずに聴けるのってすごいなって。それを10なん歳かの娘たちに歌わせてたってすごく変態」とその後のMCで評したように、昔も今も代表曲の1つとして輝き続けるファンクチューンがこの会場に新たな思い出を刻んだ。
夜公演
夜公演は昼とセットリストがガラリと変わり、先攻後攻も逆に。まずはバルコニーから登場した東京女子流が「フライデーナイト」「Attack Hyper Beat POP」といったBPMの高いアッパーチューンを連発し、勢いよくロケットスタートを切る。これに負けじと、フィロのスも「好感度あげたい!」「オプティミスティック・ラブ」を畳みかけ、ハイテンションなナンバーの打ち合いでまたたく間に場内を心地よい熱気で満たしていった。続いて東京女子流はフィロのスの楽曲を数多く手がけてきた宮野弦士提供の「kissはあげない」、禁断の恋を描いた「Partition Love」といった大人びた曲を、実際に大人になった今だからこそ醸し出せる華麗さをもってパフォーマンス。一方のフィロのスはフィラデルフィアソウルの雰囲気をまとった朗らかなナンバー「サンフラワー」や、80'sシティポップへのリスペクトを込めた「サマー・イズ・オーバー」など、メジャーデビュー以降に発表した楽曲を晴れやかに歌い上げつつ、フロアにクラップを巻き起こして一体感を作り出した。
フィロのスが「ウォータープルーフ・ナイト」で息の合ったダンスを披露し、歌だけでなく踊りのスキルも併せ持っていることを証明すると、東京女子流はこれまた宮野の提供曲で、90'sのR&Bサウンドを意識した「days ~キミだけがいない街~」を歌って優々と応戦。「ワ.ガ.マ.マ. - MURO's KG Remix」で手拍子による“コール&レスポンス”を繰り広げ、ライブの盛り上がりを加速させたあと、現在の東京女子流を象徴する楽曲「コーナーカット・メモリーズ」で自分たちのステージを締めくくった。フィロのスによる最終ブロックは結婚願望を詰め込んだ楽曲「誓い合ったんだってね、LOVE」で華やかに始まるも、日向ハルが「僕はさ、ひーちゃん(新井ひとみ)と結婚したくて、ずっとずっと結婚しないで待ってるんだ」「結婚してないのはもてないからじゃなくて、新井ひとみちゃんと結婚したいからであって、みんな絶対に勘違いしないでね」と早口でまくしたて、ここまで歌とダンスに酔いしれていた観客から思わず笑い声が漏れる。コミカルな声色で新井への愛をあふれさせつつ、自身のパートになるといつも通り力強く突き抜けるような歌を響かせ、そのギャップで両組のファンを楽しませる日向。彼女の「運命の人、どこにいるんだろー!」という叫びに合わせ、バルコニーから新井が“運命の人”として登場すると、予想外のコラボにフロアから大きな拍手が湧き起こった。日向から「結婚してください!」と求婚された新井は、頬を膨らませて勢いよくビンタを張り、足早にステージをあとに。一瞬にして振られた日向は慌てふためきながらも、「あとでもう1回告白してみる!」と懲りない姿勢を見せていた。
にぎやかな茶番劇を繰り広げたフィロのスは気を取り直し、初期からのライブの人気曲「すききらいアンチノミー」でパフォーマンスを続行。東京女子流とフィロのス、どちらも最高の4人組であるという自己肯定と讃美の心を込めて「ベスト・フォー」をラストに歌い、「東京のダンスII」を大団円に導いた。ライブが終わり、ステージにそろった2組は、すでに時間が押している状況ながらも和気あいあいとトークを展開する。日向は中江友梨と飲みに行く約束をしたことうれしそうに報告し、新井は「またビンタできることを楽しみにしてます」と笑顔を浮かべた。そして8人は第3回の開催を切望しつつ、「東京のダンスII 」の幕を下ろした。
「東京のダンスII ~東京女子流 × フィロソフィーのダンス~ byライブナタリー」2022年10月1日 東京キネマ倶楽部 セットリスト
昼公演
01. ダンス・ファウンダー / フィロソフィーのダンス
02. VIVA 運命 / フィロソフィーのダンス
03. Viva La 恋心 / 東京女子流
04. Count Three / 東京女子流
05. 君は1000% / フィロソフィーのダンス
06. ヒューリスティック・シティ / フィロソフィーのダンス
07. ダブル・スタンダード / フィロソフィーのダンス
08. ストロベリーフロート / 東京女子流
09. ガールズトーク / 東京女子流
10. きっと忘れない / 東京女子流
11. スペシャル・ルーティン / フィロソフィーのダンス
12. スピーチ / フィロソフィーのダンス
13. ラブ・バリエーション / フィロソフィーのダンス
14. この雨が上がっても / 東京女子流
15. コーナーカット・メモリーズ / 東京女子流
16. ヒマワリと星屑 / 東京女子流
夜公演
01. フライデーナイト / 東京女子流
02. Attack Hyper Beat POP / 東京女子流
03. 好感度あげたい! / フィロソフィーのダンス
04. オプティミスティック・ラブ / フィロソフィーのダンス
05. Viva La 恋心 / 東京女子流
06. kissはあげない / 東京女子流
07. Partition Love / 東京女子流
08. サンフラワー / フィロソフィーのダンス
09. サマー・イズ・オーバー / フィロソフィーのダンス
10. ウォータープルーフ・ナイト / フィロソフィーのダンス
11. days ~キミだけがいない街~ / 東京女子流
12. ワ.ガ.マ.マ. - MURO's KG Remix / 東京女子流
13. コーナーカット・メモリーズ / 東京女子流
14. 誓い合ったんだってね、LOVE / フィロソフィーのダンス
15. すききらいアンチノミー / フィロソフィーのダンス
16. ベスト・フォー / フィロソフィーのダンス
※記事初出時、本文に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。