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坂本龍一が“最後かもしれない”ピアノコンサート配信、名曲の数々を世界に届け「自分としては新境地」

坂本龍一(『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022』
(c)2022 KAB Inc.)
3年以上前2022年12月12日 3:01

坂本龍一のピアノソロコンサート「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022」が、昨日12月11日から12日早朝にかけて計4回、30の国と地域に向けて配信された(来週、中国本土でも配信を予定)。

現在ステージ4のがんを患っている坂本は、通常の形式でコンサートをやりきる体力がすでに残っていないということで、1日数曲のペースで事前収録した演奏をつなぎ、これを1本のライブ映像になるように編集。監督のNeo Soraをはじめとしたニューヨークから招集した映画制作チームが撮影を担当し、坂本が「日本で一番いいスタジオ」と太鼓判を押す東京・NHK放送センターの509スタジオで収録が行われた。坂本はこのコンサートについて、「この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と語っていた。

配信がスタートすると、坂本はうつむきながらゆっくりした手付きでピアノを弾き始めた。1曲目は映画「リトルブッダ」のメインテーマを軸にした即興演奏。間をしっかりと取った彼の静かな演奏は、一音一音のピアノの響きが際立ち、シンプルながら聴く者の感情を強く揺さぶっていた。配信映像はすべてモノクロで撮影されており、演奏を楽しむ坂本の表情や、鍵盤の上をしなやかに動く手と指を陰影により鮮明に記録。周囲に配置されたマイクで、呼吸や衣擦れ、ペダルを踏む音まで聞こえるほどに、その場のすべての音がしっかりと捉えられていた。

コンサート中盤にはYellow Magic Orchestraの「Tong Poo」も披露。スローテンポでじっくりと奏でられるメロディは、繊細で緊張感がありながらも、視聴者を優しくおだやかな感覚にさせた。映画「嵐が丘」のテーマ曲を弾き終えると彼は、自身の誕生日である1月17日にリリースするニューアルバム「12」の収録曲「20220302 -sarabande」もいち早くお披露目。さらに「シェルタリング・スカイ」や「ラストエンペラー」といった映画のテーマ曲を、渾身の打鍵で力強く演奏した。この公演で一番の見せ場となったのは、クリスマスシーズンを前にした今にピッタリの「Merry Christmas Mr. Lawrence」。胸を打つようなドラマチックなピアノの音色が、配信視聴者に届けられた。

そして最後に坂本は、画面にエンドロールが流れる中「Opus」を演奏。コンサートが終わるとコメント動画が流れ、彼は画面の前の視聴者たちに向けて「今回は初めてピアノソロで弾く曲もずいぶんあって、それ用のアレンジは慎重に考えて時間をかけてやりました。選曲も慎重にやったので、自分としては新境地かなという気持ちもあります」と今回のコンサートについて説明した。

また本編終了後にはニューアルバム「12」の全曲フル試聴も実施された。2017年発表の「async」以来およそ6年ぶりのオリジナルアルバムとなる今作は、闘病生活の中で日記を書くように制作した音楽のスケッチから、12曲を選びアルバムとしてまとめた作品。収録曲はいずれも、制作された日付が曲名となっている。全曲試聴で配信された楽曲は、優しい音色で心のままに奏でられたピアノや、吸い込まれるような感覚を覚えるシンセの持続音などで構成された、音数の少ないアンビエント作品。いずれも濃い霧の中にいるような深いリバーブがかかっており、アブストラクトなメロディも相まって独特の浮遊感を感じさせた。ピアノを弾く息の音まで克明に記録されており、録音当時の坂本の心境がダイレクトに反映された作品となっている。そしてこのアルバムは、割れた陶器の破片を鳴らしただけの、極めてシンプルで原初的な楽曲で幕を閉じた。

「Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022」2022年12月11日 セットリスト

01. Improvisation on Little Buddha Theme
02. Lack of Love
03. Solitude
04. Aubade 2020
05. Ichimei - Small Happiness
06. Aqua
07. Tong Poo
08. The Wuthering Heights
09. 20220302 - sarabande
10. The Sheltering Sky
11. The Last Emperor
12. Merry Christmas Mr. Lawrence
13. Opus - Ending

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