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ははの気まぐれ、15年ぶり新作は片寄明人プロデュース マイケル・アイヴァンスや岸田繁のコメントも

ははの気まぐれ
2か月前2023年09月08日 3:05

ははの気まぐれのニューシングル「かっこいい赤ちゃん / 陽のあたる小径」が、9月20日に7inchアナログと配信でリリースされる。

ははの気まぐれが新作をリリースするのは約15年ぶり。「かっこいい赤ちゃん / 陽のあたる小径」はプロデューサーに片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito)を迎えた1枚で、疾走感あふれるロックチューン「かっこいい赤ちゃん」、懐かしくも色褪せないメロディとオルタナティブ感漂う「陽のあたる小径」の2曲が収められる。YouTubeでは各収録曲のミュージックビデオのショートバージョンを公開中。「かっこいい赤ちゃん」のMVは姉妹ユニットイラストレーター・ちえちひろ、「陽のあたる小径」のMVは切り絵師・チャンキー松本がそれぞれ手がけた。

またシングルの発売に際して、片寄、元The Flaming Lipsのマイケル・アイヴァンス、ポール・サンチェス(Jim Carroll Band)、岸田繁(くるり)、清水裕(清水温泉)、中村ジョー、チャンキー松本、ラリー藤本(CHAINS、マザーシップスタジオ)、ファンファン(ex. くるり)、谷内香衣(futatsukukuri)、早瀬直久(ベベチオ)、長谷川一志(ラヴラヴスパーク)、神尾光洋(高速スパム)のコメントが到着した。

ははの気まぐれ「かっこいい赤ちゃん / 陽のあたる小径」収録曲

01. かっこいい赤ちゃん
[作詞・作曲:松尾知生 / 編曲:ははの気まぐれ、片寄明人]
02. 陽のあたる小径
[作詞・作曲:松尾知生 / 編曲:ははの気まぐれ、片寄明人]

片寄明人(GREAT3、Chocolat & Akito) コメント

人生には「心残り」となっている物事がいくつもある。僕にとって「ははの気まぐれ」はそのひとつだった。あれはたしか彼らがメジャーデビューを控えていた 2007年、MIDI レコード代表の大蔵さんに呼ばれ、彼らのプロデュースを依頼されたのが出逢いだった。
「ははの気まぐれ」の音楽は最高だった。60'sにルーツを感じるポップなメロディー、ガレージでサイケデリックなギターロッ ク・サウンド。ガイデッド・バイ・ヴォイシズやビルト・トゥ・スピルのようなUSインディー・ロックの香りもする。一緒に組んだら面白いだろうなと容易に想像できた。
しかしその頃の自分は駆け出しのプロデューサー、はじめてフルで手がけたフジファブリックのアルバムが成功したものの、様々なノウハウがまだまだ未熟で、予算もスケジュールも彼らの希望に合わせられず、残念ながら断らざるを得なかったのだ。
その後「ははの気まぐれ」は2枚の素晴らしいアルバムをMIDIに残したあと、メンバーそれぞれに仕事を持ち、パーマネント な活動は休止したものの、バンドは続けていると風の噂に聞いた。
それから10数年経った2020年2月、ボーカルの松尾知生くんから突然にメールが届いた。彼は実家の佐賀に帰り、お寺と保育園の仕事をしながら、京都や奈良にいるメンバーと年に1回「母の日」にライブをしていること。曲は1年に1~2曲しか書けていないが、この10年で12曲ほどできたこと、そしてそれを僕に聴いて欲しいという内容だった。
それらの曲は、以前にも増して素晴らしく、感動した僕はその想いを正直に伝えた。彼らはその頃、闘病中だった大蔵さんのために、あの頃叶わなかった僕とのレコーディングでこれらの曲を仕上げ、届けたいんだと打ち明けてくれた。
経験を積んだ今なら彼らの願いを叶えられる。僕はさっそくレコーディングの準備に取りかかったが、その直後にコロナ禍の悪化から人の移動が制限され、また5月31日には大蔵さんが亡くなったという悲しい報せが届き、次第にメンバーからの連絡も途絶え、この計画は頓挫してしまったようだった。
そして2年の時が流れた2022年夏、久しぶりにメンバーからメールが届いた。「ははの気まぐれ」の新曲を聴きたいという大蔵さんの遺志から、MIDIで配信リリースができる可能性がある、レコーディング予算はメンバーがお金を出しあってでも実現させたいとのことだった。
それから何もかもが急激に動き出した。遠く離れていてもリアルタイムにセッションができるソフト、Syncroomを使い、佐 賀、京都、奈良、東京を繋いでリハーサルを重ね、京都のスタジオに集まって2度のレコーディング、才能あふれるエンジニア:得能直也くんのミキシングとマスタリングを経て、2023年、4つの新曲が生まれた。
はじめに完成したのが、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのスピリットで赤ちゃんについて歌った「かっこいい赤ちゃん」だ。保育園の園長でもある知生くんが15年振りにリリースする「ははの気まぐれ」の新曲として、これ以上ふさわしい曲はないだろう。仕上がりを聴いたMIDIレコード・スタッフの反響も良く、配信だけの予定だったはずが、2枚のアナログ7inch としての発売も決定した。
バンドとは「魔法」に他ならない。そしてその魔法はフッとした瞬間に失われ、永遠に戻って来ないのだ。「ははの気まぐれ」の音には、いまもその魔法が奇跡的に存在する。この4人にしか出せない音がある。その輝きを音源として封じ込められたことを誇りに思う。
心残りは消えた。この4曲が音楽を愛する世界中の人に、そして天国にまで届きますように。

Michael and Julia(The Lolly Bombs)※マイケル・アイヴァンス(ex. The Flaming Lips) コメント

ははの気まぐれは、新しいお気に入りのバンドだ。
我々を隔てているのと同じ海が、我々を繋げてくれているような一体感を感じる。
言葉がわからなくても、そのサウンドと、安らぎと喜びからくるバイブスを通じて伝わるのだ。
キラキラしたギターの載った輝くようなアレンジ、ハッピーなハーモニー、そして変幻自在のダイナミクスによって紡ぎ出された感興。これは星の光の音楽だ。

ポール・サンチェス(Jim Carroll Band) コメント

想像していたものと全然違って驚いた!
曲がとてもうまく作り上げられている。60年代のブリットポップのサウンドが色濃く巧みに取り入れられている。とても好きだ。すべての曲がよくできていて音楽的。1曲目(※星釣る人)はとてもクールだ。歌詞を理解するのは難しいが、メロディとハーモニーがとても良い。私は何度か聴くまで歌詞に耳を傾けないが、それでも幸いすぐに楽しむことができた。
2曲目(※よく晴れた日に)が私は好きだ。日本語がわかればきっと、歌詞がしっくりとおさまっているに違いない。
3曲目(※陽のあたる小径)はいい意味でひっそりと忍び寄ってきた。歌詞がわからなくても楽しむことができて嬉しい。最後の曲(※かっこいい赤ちゃん)はthe Velvet Undergroundの要素を感じる。ルー・リードはダークな曲だけではなく、それらとは対照的な素晴らしいポップソングも書いていた。この曲はVUの3枚目のアルバムに影響されていると思う。本人たちは意外だったり、違うと感じるかもしれないが、私はそう思った。全曲とても楽しむことができたし、フレッシュなものを聴けてよかった。Nice work.

岸田繁(くるり) コメント

▼ははの気まぐれ新作に寄せて
私はロックンロールが好きで、多分それはチャック・ベリーとかリトル・リチャードとかロカビリーっぽい不思議なリズムの構造が好きなんだと思います。
その系譜にある、初期ビートルズは特に大好物で、陽性のメロディと胸ときめくハーモニーが混ざったそれは、今の時代になって世界遺産みたいになってしまっても至高です。
ははの気まぐれ、の新作はその系譜にある音楽で、丁寧なプロダクションと緻密な音作りはジェフ・リンとかXTCなんかを想起させたりもしますし、そういう音楽が少数派になった2010年代以降において、珍しい音楽やってるね、と言われることも多かったとは思いますが、なんとなく世界の潮流的に、コレ流行んじゃね?と密かに思ってたりもします。時代は振り子です。
どの楽曲もサウンドはクリアで、リズムがスッキリしています。とても、このバンドサウンドに合っていると思います。録音はマザーシップスタジオ野村氏とのこと。全体的にアットホームな温かさがあり、良い録音だったことが伝わります。ギター、ベース、ドラム(たまにピアノなど)の、演奏のなかでの関係性に、歌詞を凌駕するくらいのメッセージと情報量があ るなぁ、と思いました。ロックンロール・バンドですね。ブルースに埋没しないロックンロール・バンドはかっこいい赤ちゃん!
令和五年夏 岸田繁

清水裕(清水音泉) コメント

こんなにカッコイくてゾクゾクする赤ちゃんの歌は初めて!
60'sからの空気感をギュっと詰め込んだ深みある素晴らしい4曲。その土地の匂いを感じる音楽に出会い辛い昨今、京都に“ははきま”が居てくれて良かった♨

中村ジョー コメント

コンスタントにマイペースに活動を続けるバンド「ははの気まぐれ」。
彼らの曲は昔から人懐っこくポップでフォーキーで可愛くて、日向で寝ている黒猫みたいな感じなんですが、実はその牙は意外と鋭く、さらに尻尾からはサイケデリックな粉を巻いているような危なさがあって大好きでした。
この久々の新作(15年ぶり!?)は彼らの持ち味が片寄君のプロデュースでキリリと太く締まって、さらに極上のキャンディ(少しアシッド入り)の如く。ノスタルジックな寓話のような世界と心象風景が混じり合うキラキラした歌詞も最高です。
改めておかえりなさい。ロックの国をこれからも飄々と突き進んでください。
また一緒にやりましょう。

チャンキー松本(切り絵師 / 貼り絵作家 / 絵本作家 / パフォーマー / 音頭歌手) コメント

80年代、高校生のぼくの毎日はレンタルレコードを借りて、夕方くらいから聞いて夜まで眠っていた。その頃を思い返すと、幸せの時間やったなあーと。名曲「陽の当たる小径」を聞いてたら、あの頃に帰りたくなるから、その気分でいっぱい絵を描いた。遠い過去を旅するよーに。
自転車にのって、坂をかけぬけて夕暮れの海へ。あの頃の少年がまだおるから、この歌を口ずさんでみる。ほなまたイメージがでてきて描く。気がつくと、クルクルとおんなじとこ回ってる。

ラリー藤本(Chains、マザーシップスタジオ) コメント

「祝!15年ぶりのリリース、そしてそんな“ははきま”にとっての節目の制作にマザーシップが貢献出来てとても嬉しいです。未曾有のパンデミックの最中、メンバーの皆さんも制作スタッフもウィルスに翻弄され、タイトなスケジュールの中での綱渡り的作業も有りましたが、そういう意味でもこの“時代の転換期”の空気感と共に記憶され続ける感慨深い作品となりました。この優しいロックが沢山の人の心に届きますように…改めてリリースおめでとう御座いました!

ファンファン(ex. くるり) コメント

ははきまの新しいの!ついに!出た! おめでとうございます!
待ってました! 待っててよかった! ね!みなさん! 2023年はいい年です!

谷内香衣(futatsukukuriデザイナー) コメント

15年の間にすっかり大人になったわたしは
どこまでも空っぽの世界を思い知って
わけもなく目頭が熱くなって
まだ見ぬ明日を愛おしいと思わせてくれました
◇かっこいい赤ちゃん
「ちえちひろによる紙芝居MV、すごい…
ははきまの世界とこんなに合うなんて!
やさしさの中にもロック魂のある二組だからこそ
ピッタリと合ったのだと思います!! 感動です」
◇陽のあたる小径
「勝手にドラマのエンディングを思い浮かべてしまいました。」

早瀬直久(ベベチオ) コメント

約束を守り続けた犬のように
サウンドの再会が嬉しすぎる
やっぱり陽気で優しくて
変わらぬ音楽愛と遊び心
いい曲いい人いいバンド
家で聴いていると、子供らの
「ただいまぁ」という声がして
「これ誰?」とすぐ聞いてきた
Silk Sonic以来です ありがとうございます!

長谷川一志(ラヴラヴスパーク) コメント

最初にもらったデモテープを聴いたその日から、嫉妬して、かなわんなあと思って、最高やん!ってなって、知り合いに聴 かせたくなって、ずっとその繰り返し。

遠距離バンドになってからも4人が変わらず、つうか一層それぞれへの信頼と敬意で結ばれているのにも嫉妬して、かなわんなあと思って、最高やん!って

今回の4曲のうち2曲をライヴで初めて聴いた時、同じように最前列で頭かかえて涙溢れて喜びに悶えました。そして今回の音源もまた言うまでもなく。

まだまだ曲有るの知ってますよ。
これからも最前列で悶えさせてください。

神尾光洋(高速スパム) コメント

ははきまおかえりなさい。「かっこいい赤ちゃん」て曲名がまず良い。めちゃ良い。音は相変わらずノスタルジック&オルタナティブで素晴らしい、そしてやさしくてかわいい。 かわいいおじさんが奏でるかっこいい赤ちゃん、待ってました感とこれだこれだ感。俺もまたやりたくなったよバンド、一緒にライブしよう。

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