楽曲のリズムやノリを作り出すうえでの屋台骨として非常に重要なドラムだけど、ひと叩きで楽曲の世界観に引き込むイントロや、サビ前にアクセントを付けるフィルインも聴きどころの1つ。そこで、この連載ではドラマーとして活躍するミュージシャンに、「この部分のドラムをぜひ聴いてほしい!」と思う曲を教えてもらいます。第10回はあらきゆうこさんが登場。Cornelius、Salyu、安藤裕子、くるり、杏子、竹原ピストル、秦基博、布袋寅泰、オノ・ヨーコといった名だたるミュージシャンのレコーディングやライブに参加し、楽曲の屋台骨を支えるあらきさんがオススメする楽曲とは。
構成 / 丸澤嘉明
ドラムフレーズが好きな曲とその理由
秦基博「スミレ」
この曲を象徴するような勢いのあるフィル。被って入ってくる疾走感のあるストリングス。秦本人が作ったフレーズで、レコーティングのときにほかのフィルを探ったけどこのフィルを超えられなかった。このフィルから始まってからイントロいっぱい続く"はじまり感"。完全にアレンジに参加している。
COIL「BIRDS」
アコギのイントロで4小節目の3拍目からドラムは入ってくる。このドラムは指ドラム。いわゆる宅録。YAMAHAのRY30というマシンで元メンバーの佐藤洋介が演奏してる。最初の2拍のフィル、これ完璧。音色もハネ具合も。真似できず、かれこれ500回は演奏してるけどいまだ完成せず。スネアは低めでしっかりミュート、そしてインチの大きいタム、というのだったらできるかな。。。
くるり「ばらの花」
ギターから始まりキーボードが足され、その後ドラムが合流。ここのフィル、"ダダダ"だけ。これ、ホントにこのままやらないと「ばらの花」にならない。こういう、リズムとかフィルとかにとどまらず、曲の一部だと思わせるフレーズが大好きだ。
Cornelius「Audio Architecture」
四つ打ちの曲なのにちょっと面白く聴こえるリズム。ノリノリで聴けるのになんか複雑なビート。ぜひステージ全面に映し出される映像とともに楽しんでほしい。ど頭のハイハットは1拍目オン、リムは4拍目の8裏、次は1小節空けて16の裏。。。映像が届いて初めて1つひとつの音の意味を知った。Corneliusではこういうことがわりとある。
自身でドラムフレーズをプレイする際に意識していること
はじまり感、切り替わり感、ハッとする瞬間を作りたいと思う。でもそれはやりすぎず、曲に自然に寄り添って、メロディを口ずさんだときにドラムのフレーズがその人の頭の中で鳴るような、そんなプレイをしたい。
自身のプレイスタイルに影響を与えたドラマーや最近気になるドラマー
今気になっているのは神谷洵平。ドラマーであるからには叩き出す1発目から最後のシメまで完全に曲の中にいたいけど私はなかなかうまくいかず。。。でも彼はいつもそこにいる。
あらきゆうこ
Cornelius、Salyu、安藤裕子、くるり、杏子、竹原ピストル、秦基博、布袋寅泰、オノ・ヨーコをはじめ多数のアーティストのレコーディングやライブに参加しているドラマー。mi-gu名義でオリジナルアルバム3枚、ベストアルバム1枚をリリース。2014年に地元・鳥取県境港市のフィッシュ大使に就任し、音楽を通して山陰地方をつなぐ活動にも尽力している。2018年よりあらきゆうこ、カナミネケイタロウ、近藤康平によるユニット・calybooとしても活動を展開するほか、昭和音楽大学ジャズ・ポピュラー音楽科にて非常勤講師を務め、後進の育成にも当たっている。
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