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ハナレグミ、4年ぶり「THE MOMENT」開催 中島みゆきやマイケル・ジャクソンの名曲カバーも

ハナレグミ(撮影:西槇太一)
約1年前2024年04月04日 9:04

ハナレグミが3月27日に東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にてワンマンライブ「THE MOMENT 2024」を開催した。本公演は、“オーディエンスと音楽を通じた感動の瞬間を共有”すべく2020年に行われたワンマンライブ「THE MOMENT」の続編にあたるもの。前回の公演では「HORN NIGHT」「STRINGS NIGHT」と銘打ち、それぞれ異なるバンド編成でライブが行われたが、今回はストリングスとホーンを交えた特別編成のバンドによるパフォーマンスが披露された。

2管+4弦を交えた特別編成でのライブ

定刻を迎えると、バンドマスターを務める鈴木正人(B / LITTLE CREATURES)をはじめ、伊藤大地(Dr)、西田修大(G)、宮川純(Key) 武嶋聡(Sax)、類家心平(Tp)、そして4人の弦楽器奏者からなる美央ストリングス(Strings)が登場。バンドがサウンドチェックを進める中、ハナレグミ・永積崇がステージに現れる。ライブの幕開けを飾ったのは「線画」。永積は、4弦が奏でる繊細な旋律に乗せて、持ち前の伸びやかな歌声をホールいっぱいに響かせた。続く「ブルーベリーガム」で切なくも甘酸っぱい空気で場内を満たすと、永積はフィーチャリングボーカリストとして参加した東京スカパラダイスオーケストラの楽曲「追憶のライラック」を披露。情熱的な歌声に場内の雰囲気がにわかに熱を帯びていった。

「マドベーゼ」の演奏後には幻想的なライトがステージを彩る。「MY夢中」をじっくりと歌い上げた永積は、満面の笑みを浮かべて「気持ちいい会場! 全員グリーン車ですから(笑)」と客席に語りかけ、「眠りの森」を歌唱。ホーンとストリングスが織りなす美麗なアンサンブルが歌声を彩る。続けて永積はアコースティックギターを手に取り「音タイム」を歌い、朝の訪れを思わせるみずみずしいギターサウンドに乗せて、さわやかなボーカルを届ける。楽曲の最後に永積がロングトーンを聴かせると客席から大きな拍手と喝采が寄せられた。

是枝監督から授かった公演テーマ

「Peace Tree」の演奏がスタートすると軽快なサウンドに観客がクラップで応える。永積は軽やかなステップでステージを左右に移動しながら流暢なラップを披露。コロナ禍に生まれた「独自のLIFE」では、日々の幸せをあるがままに享受しようという楽曲のメッセージを体現するように、パワフルな歌声とアクティブなパフォーマンスで観客を楽しませた。

MCで永積は、コロナ禍で緊急事態宣言が出される直前の2020年2月に行われた前回の「THE MOMENT」を振り返り、「生きて会えたね、俺たち」と、しみじみ一言。そして今回のライブを構成するにあたって「何か光を授けてくれる人はいないか」と考えた結果、映画監督の是枝裕和にライブのテーマについて相談したことを明かす。是枝監督の作品「海よりもまだ深く」に永積が主題歌「深呼吸」や劇伴を提供して以降、両者は交流を深めており、本公演の構成は、是枝監督から提案された「駅、ホーム、電車、出会いと別れ」というイメージをもとに練り上げられたのだという。永積は是枝監督からもらった手紙を朗読すると、監督からリクエストを受けた中島みゆきの楽曲「ホームにて」をアコギの弾き語りでカバー。温かな歌声でドラマチックな歌の世界を描き上げた。

中島みゆき、キリンジ、玉置浩二の名曲をカバー

続けて永積は青春時代のエピソードを振り返りながら2曲の楽曲をカバー。地元である東京郊外の町の雰囲気を想起させるというキリンジ「エイリアンズ」ではメランコリックなサウンドに乗せて情感ほとばしる歌を聴かせ、また星が瞬くような照明をバックに、敬愛する玉置浩二がビートたけしに提供したバラード「嘲笑」をロマンチックに歌い上げて観客を魅了する。

映画「おらおらでひとりいぐも」の主題歌「賑やかな日々」の演奏時には、ジャジーなサウンドに乗せて、映画の主人公である老婦人よろしく永積が背中を丸めステージをトボトボと歩くパフォーマンスに客席が和む。続けて披露された「There's Nothing Like This」はイギリスのシンガー、オマーが1991年に発表したアシッドジャズの名曲。鈴木の奏でるクールなベースフレーズを軸にしたサウンドで洒脱な雰囲気が生み出された。「深呼吸」では、ホーンとストリングス、ベースのみのシンプルなアンサンブルと1音ごとに、まさに呼吸を合わせるように、永積は丁寧に楽曲を歌い上げた。

ハモンドオルガンの伴奏のみによるゴスペル風アレンジが施された「ハンキーパンキー」では、永積が声を発するたびに、ピンと張りつめた場内の空気が震える。あらゆる感情をスパークさせるような渾身のパフォーマンスを観客たちは息をのむように、じっと見つめていた。本編の最後は「サヨナラCOLOR」。誕生から23年を経た今もなお色褪せることのない名曲が届けられると、静かな感動が波紋のように広がっていった。

帰る場所は未来にしかない

「サヨナラCOLOR」の演奏が終了し盛大な拍手が沸き起こるも、永積とバンドメンバーは、そのままステージにとどまりアンコールに突入。永積は、ステージに設置されたレコードプレイヤーでおもむろに1枚のレコードをかける。流れてきたのはマイケル・ジャクソンの「Music and Me」。当時13歳だったマイケルが1973年に発表したソウルの名曲だ。中学2年生のとき、マイケルの主演映画「ムーンウォーカー」の劇中で20秒ほど流れたこの曲を必死になって探したエピソードを、まるで昨日のことのように嬉々として話す永積。続けて彼は是枝監督から授けられた公演テーマに触れ、「電車と音楽、似ているところがあるとしたら、終わりが来るということ。終点がある。だからこそ美しいと思うんです」と観客に語りかける。そして「故郷に戻りたい、過去に戻りたいと思うときもあるかもしれないけど、電車も音楽も未来に向かっている。帰る場所は未来にしかないんです」と続けると客席から盛大な拍手が沸き起こった。永積はちょっぴり照れ笑いを浮かべつつも、「だから未来に向かうしかないでしょ!」と力強い言葉を放ち、最後にマイケルの「Music and Me」を演奏。レゲエアレンジが施された陽気なサウンドが鳴り響く中、4年ぶりの「THE MOMENT」はハッピーなムードでフィナーレを迎えた。

セットリスト

ハナレグミ「THE MOMENT 2024」2024年3月27日 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)

01. 線画
02. ブルーベリーガム
03. 追憶のライラック
04. マドベーゼ
05. MY夢中
06. 眠りの森
07. 音タイム
08. Peace Tree
09. 独自のLIFE
10. ホームにて
11. エイリアンズ
12. 嘲笑
13. 賑やかな日々
14. There's Nothing Like This
15. 深呼吸
16. ハンキーパンキー
17. サヨナラCOLOR
<アンコール>
18. Music and Me

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