5月11、12日に神奈川・Kアリーナ横浜でキングレコード主催の音楽フェス「KING SUPER LIVE 2024」が開催された。この記事ではDAY2公演の模様をレポートする。
「KING SUPER LIVE」とは
「KING SUPER LIVE」はキングレコードのKING AMUSEMENT CREATIVE / SONIC BLADEに所属するアーティストや声優が一堂に会するイベント。2015年に埼玉・さいたまスーパーアリーナで初開催され、2017年には東京・日本武道館でスピンオフ企画が行われた。2018年には東京・東京ドームに加え、初の海外展開として上海と台湾でも公演が実現。今回はそのとき以来約6年ぶりの開催となった。2日間で過去最多となる29組のアーティストが出演し、最多楽曲数の計100曲分のパフォーマンスを展開。観客動員数は約3万5000人に達した。
蒼井翔太、水樹奈々、宮野真守、森口博子により開演前会見
2日目公演の開演前には蒼井翔太、水樹奈々、宮野真守、森口博子が登壇する囲み取材が行われた。宮野は出演者やファンとの絆の強さを感じたと語り、「フェスをできるってことは我々の活力にもなるし、そしてまたファンの皆様とこうやって絆を感じ合いながら歌えたというのは、僕にとって宝」と笑顔でコメント。1日目で水樹がトップバッターを務めたことに話題がおよぶと、ほかの3人からは賞賛の声が送られる。水樹は「6年ぶりということで、溜まったエネルギーを一気に放出するような思いで、手に汗握りながら緊張感たっぷりに飛び出していった」とライブを振り返りながらコメント。ファンが緊張を解いてくれたと述べ、「(ファンが)大きな愛で包み込んでくださって、もう一気にトップギアに切り替わって。もう楽しくて楽しくて」と声を弾ませた。
1日目休憩後の幕開けを飾った森口には、3人から「女神!」と讃える声が。森口は「それぞれのファンの皆さんもお目当てのアーティストがいらっしゃるんですけど、誰もアウェイにしないファンの皆さんの絆を全身で感じた」とうれしそうに語る。また「本当にみんながいろんな苦労を乗り越えてきて、ここに向かって来た」と競演者と思いを共有し合った1日目の公演について述懐し、「2日間はまたその絆をさらに深めてみんなのご褒美になるようなライブになればいいな」と微笑んだ。
2日目の見どころを尋ねられた蒼井が「やっぱコラボじゃないですかね」と真っ先に答えると一同も同意。それを受けた宮野が「歌うもんね、俺の曲」と視線を送ると蒼井は「これはもう僕的には奇跡的な瞬間なんですよ」と喜びをあらわにする。今回、蒼井は宮野と内田雄馬とともにアニメ「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」の主題歌「オルフェ」を歌唱。この楽曲の仮歌を蒼井が歌っていたとのことで、宮野は感慨深げな様子で「気持ちよく歌ってほしいな」と蒼井に声をかけつつ、「俺よりうまく歌うのはやめてね」とおどけてみせた。宮野の発言に恐縮して笑う蒼井は「仮歌を歌ってた人物がご本人様と歌を公式のステージで歌わせていただくって、なかなかないことなんですよね。なので、人一倍緊張感もありますし、それプラス楽しんで歌わせていただけたらなと思います」と意気込みを語った。
水樹は2日目公演で水瀬いのりと「戦姫絶唱シンフォギアGX」の挿入歌「Glorious Break」を歌うことについて「共演していた作品のキーになる曲を2人で歌えるっていうのがものすごく感慨深くて」と喜びを言葉にする。また水樹は自身が審査員として出演していた「NHKのど自慢」で、岡咲美保が水樹の「DISCOTHEQUE」を歌唱したところから岡咲との関係が始まったことを明かす。「今日は母の日だから母の気持ちで」と冗談めかしながらも、うれしそうに水瀬、岡咲とのコラボをアピールした。1日目では田村ゆかりと「魔法少女リリカルなのは」エンディングテーマ「Little Wish ~lyrical step~」と、オープニングテーマ「Innocent Starter」を歌い上げた水樹。リハーサルはあまりせず、2人でそのときの気持ちで動こうと決めていたと明かした彼女は「急にゆかりさんが手をぎゅーっと握ってくださって、なのはの気持ちになってるんだなって思って。私もフェイトとしてハグをしました」と目を輝かせた。
開演を控え、意気込みを聞かれたトップバッターの宮野は、普段見せないパフォーマンスを披露すると発言し「『こんなのフェスでは見たことない』みたいな(ことをしたい)。もしかしたらザワついちゃうかもしれない」と悪戯に笑う。最後に蒼井は今回のライブに尊敬する先輩が多く出演していると話し、「ステージ上だけではなくて、ステージの裏でもやっぱり憧れの人って憧れの存在でいてくださるっていうのがすごくありがたく感じるので。そのありがたさを僕自身も受け取って、僕も後輩が増えたので、後輩たちにも背中を見せる存在として、先輩方のキラキラを受け継いで後輩たちに、そしてお客さんにバーッと広げていけたらなと思っています」と熱く語った。
45秒微動だにしない宮野真守
キングレコードが誇るエンタテイナー宮野は、ステージに登場して早々、45秒もの間微動だにしないという驚きの演出を繰り広げる。「マモー!」と名前を呼ぶ声が会場に充満し、宮野が「Come on!」とかけ声を発したところで激しいダンスパフォーマンスがスタート。彼は「今日もみんなの度肝を抜くラインナップです!」と観客の期待を煽り、エキサイティングなステージで会場に一体感をもらたした。また宮野はライブ終盤のコラボステージで蒼井、内田とともに“キングの三銃士”としてそろい立ち、自身の楽曲「オルフェ」をパフォーマンス。少し緊張しながら先輩の曲を歌う後輩2人の姿が観客の心を和ませた。
愛美はセンターステージで「MAGICAL DESTROYER」を座り込んで歌い、さらにギターを弾きながら最新曲「メリトクラシー」を披露。コラボステージではatsuko、カノエラナとアニメ「先輩がうざい後輩の話」の主題歌「アノーイング!さんさんウィーク!」で共演し、声優やアーティストの枠を超えたにぎやかなステージを届けた。今年ソロアーティストデビューしたばかりの千葉翔也は自前のギターを弾きながら「Blessing」を歌い、カノエは「すごい! 人が多い!」と興奮の声を上げつつ、ビジョンの演出を交えたパフォーマンスで観客を楽しませる。sajiは前身バンド・phatmans after school時代のエピソードを語りながら、改名後初のシングルとして発表した「ツバサ」を演奏し、エモーショナルな空気を会場に広げた。また七海ひろきは炎が吹き荒れる映像をバックに初のアニメタイアップ曲「It's My Soul」を歌唱。ビジョンに美しくも激しい表情が映るたびに歓声が上がった。
「キンスパ」が示した“未来”
DAY2は歌い手、バーチャルシンガーなどの次代を担うアーティストやキャラクターコンテンツが多く登場。DAY1がアニソンの“歴史”を明示したのに対し、DAY2は“未来”を感じさせるラインナップとなった。「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02」のパフォーマンスの時間になると、ビジョンいっぱいにキャラクターが姿を見せ、次々とラップを繰り出して会場を沸かせる。「カリスマ」からは“七人のカリスマ声優”が出演し、「めちゃめちゃカリスマ」「カリスマジャンボリー」でシュールかつユーモアたっぷりのパフォーマンスを展開した。
野口瑠璃子、岡咲美保、優木かな、福原綾香、小澤亜李が声優を務めるアニメ「Extreme Hearts」から生まれたユニット・RISEも登場し、アニメのライブ衣装を再現した装いでセンターステージへ。「この日のために練習を重ねてきました」と挨拶すると、「大好きだよって叫ぶんだ」や「Extreme Hearts」のエンディングテーマ「SUNRISE(ver.RISE)」を歌唱し、惜しみない声援と拍手を浴びた。キングレコードからメジャーデビューすることが発表されたバーチャルシンガーのHACHIはビジョンの中からパフォーマンスを届け、素顔が謎に包まれているツルシマアンナはピンク色に染まった客席にうれしそうな声で手拍子を求めた。
水樹奈々の娘を見守るような優しい眼差し
「Eclipse」や「EVOLVE」を歌唱して瞬く間に観客を楽曲の世界観に引き込んだ蒼井は「ずっと末っ子だと思っていたら、気付いたら弟や妹がたくさんできていた」と、イベントを通してレーベル内の立ち位置の変化を実感したことを明かす。そしてカメラの映像を通して投げキッスをしたり、ロングトーンに対して声援を求めたりとエンタテインメント性の高いステージを展開。さらにangelaのステージに呼ばれ、昨年12月にリリースしたコラボシングル「晴れのちハレルヤ!」を披露した。「まだまだひよっこの僕にも後輩ができた」「これからも歴史をつないでください」とコメントした内田雄馬は、「Hope」を寝転がって歌うなど、アクティブなステージングでファンを魅了。また、4人のダンサーとともに動くスライドステージの上でダンスパフォーマンスを披露した堀江由衣について触れ、「『とらドラ!』が好きで、裏でホアア~!ってなっていました」と自身のオタクな一面を明かす場面もあった。
映像を巧みに使用したパフォーマンスが自身のツアーでも好評だった水瀬いのりは、「スクラップアート」や「アイオライト」などを歌い上げ、独自の世界観を押し出しステージで観客を魅了。そしてDAY2のトリは水樹が担当した。「METANOIA -Aufwachen Form-」ではDJの呼びかけで会場に手拍子が沸き起こり、さらに最新曲「ADRENALIZED」も披露される。火柱やファイアボールなどの演出を交えながら会場にさらなる熱気をもたらした水樹は「アニメ、アニソン好き魂をこれからも燃やしていってほしい」と語ると、ラストに「ETERNAL BLAZE」を熱唱し、会場全体でジャンプして自身のステージを締めくくった。
その後、水樹は「『キンスパ』は初めてで」と緊張した様子を見せていた岡咲とコラボ。デビューのきっかけとなった思い出の曲「DISCOTHEQUE」を憧れの水樹とパフォーマンスした岡咲は、キレのあるダンスでファンを喜ばせた。さらにファンクラブに入るほど水樹を敬愛しているという水瀬もコラボステージに登場。2人による「Glorious Break」のデュエットでは、緊張した面持ちながら全力で歌い上げる水瀬に対し、水樹が娘の成長を見守るような優しい眼差しを向けていた。
計100曲約10時間におよんだ「KING SUPER LIVE 2024」。DAY1の最後は出演者全員で「Give a reason」が披露されたが、DAY2は「Shangri-La」で大合唱が沸き起こった。angelaのatsukoは「ここKアリーナが私たちのシャングリラです」と話し、イベントは大団円へと導かれた。
セットリスト
「KING SUPER LIVE 2024」2024年5月12日 Kアリーナ横浜
01. EXCITING! / 宮野真守
02. Quiet explosion / 宮野真守
03. MAGICAL DESTROYER / 愛美
04. メリトクラシー / 愛美
05. Star journey / 保志総一朗
06. ココロトラベル / 岡咲美保
07. ペタルズ / 岡咲美保
08. Blessing / 千葉翔也
09. めちゃめちゃカリスマ / 七人のカリスマ声優
10. カリスマジャンボリー / 七人のカリスマ声優
11. ビー玉 / HACHI
12. 1日は25時間。 / ツルシマアンナ
13. イロドリ / カノエラナ
14. Queen of the Night / カノエラナ
15. アシンメトリー / 堀江由衣
16. バニラソルト / 堀江由衣
17. スターチス / saji
18. ツバサ / saji
19. 大好きだよって叫ぶんだ / RISE
20. SUNRISE(ver. RISE) / RISE
21. It' My Soul / 七海ひろき
22. POP TEAM EPIC / 上坂すみれ
23. ハッピーエンドプリンセス / 上坂すみれ
24. ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- + / ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
25. SUMIT OF DIVISIONS / ヒプノシスマイク-Division Rap Battle- 3DCG LIVE From HYPED-UP 02
26. サムライハート / 森口博子
27. ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~ / 森口博子
28. TENSIONS - welcome to the stage / 高橋洋子
29. 残酷な天使のテーゼ / 高橋洋子
30. Eclipse / 蒼井翔太
31. EVOLVE / 蒼井翔太
32. 乙女のルートはひとつじゃない! / angela
33. KINGS / angela
34. 晴れのちハレルヤ! / angela × 蒼井翔太
35. Comin' Back / 内田雄馬
36. Hope / 内田雄馬
37. スクラップアート / 水瀬いのり
38. アイオライト / 水瀬いのり
39. METANOIA -Aufwachen Form- / 水樹奈々
40. ADRENALIZED / 水樹奈々
41. ETERNAL BLAZE / 水樹奈々
42. アノーイング!さんさんウィーク! / atsuko × 愛美 × カノエラナ
43. スクランブル / 堀江由衣 × 上坂すみれ × 岡咲美保 × 七人のカリスマ声優
44. ターンAターン / 森口博子 × 保志総一朗 × 七海ひろき × KATSU
45. カノン / 宮野真守 × 蒼井翔太
46. シャイン / 宮野真守 × 内田雄馬
47. オルフェ / 宮野真守 × 蒼井翔太 × 内田雄馬
48. DISCOTHEQUE / 水樹奈々 × 岡咲美保
49. Glorious Break / 水樹奈々 × 水瀬いのり
50. Shangri-La / ALL LINE UP
撮影:MASA / 増田慶 / 田村与