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GEMNの【推しの子】主題歌は「アイドル」と真逆? / 混沌ブギに出てくる「完全体の山田」が歌になった

再生数急上昇ソング定点観測
3か月前2024年07月19日 9:05

YouTubeでの視聴回数チャートや、ストリーミングサービスでの再生数が伸びている楽曲を観測し、今何が注目されているのかを解説する週刊連載「再生数急上昇ソング定点観測」。今週はYouTubeで7月5日から7月11日にかけて集計されたミュージックビデオランキング、および急上昇ランキングの中から要注目トピックをピックアップします。

文 / 真貝聡

まずはこの週の初登場曲の振り返りから

今週のYouTubeのミュージックビデオランキングは、13位にAdoの「ルル」がランクインした。同曲は山田涼介(Hey! Say! JUMP)が主演を務めるフジテレビ系ドラマ「ビリオン×スクール」の主題歌で、楽曲提供をしたのは、不穏な空気感をまとった独特の作風を持つボカロPのMARETU。YouTubeのコメント欄では「MARETUの曲を、ここまで自分を出しながら完璧に歌えるのはAdo以外にいない」「圧倒的なMARETU節」と称賛する声が上がっている。

またこの週はMrs. GREEN APPLEの映像が上位に2本ランクイン。「ライラック」のテレビアニメ「忘却バッテリー」バージョンのMVが14位に、テレビ朝日開局65周年を記念して4月に神奈川・Kアリーナ横浜で開催されたフェスティバル「The Performance」内で披露された、Mrs. GREEN APPLE & NiziUによる「点描の唄」のライブ映像が21位に登場した。雰囲気が異なる2曲を聴いてみると、改めて彼らの音楽性の幅広さが感じられる。

20位にはTWICEの「DIVE」がランクイン。人魚のような衣装に身を包み、水の世界で優雅に踊る9人の映像が魅力的だ。7月10日にMVが公開されてから、7日間で500万回再生を突破した。

31位にはヨルシカのボーカルsuisがフジファブリックの名曲「若者のすべて」をカバーしたMVが登場。こちらは永瀬廉(King & Prince)主演のNetflix映画「余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。」の主題歌になっている。柔らかさと優しさを感じるsuisの歌声が印象的で、「若者のすべて」の新たな魅力を創出している。

33位にはMAZZELの「Seaside Story」が登場した。ミディアムテンポの心地いいメロディと、海や花火など夏を満喫しているメンバーの映像が見事にマッチしている。

夏を感じる楽曲が並んだ今週は下記の3曲をピックアップ。

GEMN「Fatal」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場3位

TOKYO MXほか全国35局で放送中のテレビアニメ「【推しの子】」第2期。こちらのオープニング主題歌を担当しているGEMNの「Fatal」が初登場3位にランクインした。GEMNは3月31日にSexy Zone(現timelesz)を卒業した中島健人と、去年放送されたテレビアニメ「呪術廻戦」のオープニングテーマ「青のすみか」がヒットし、「NHK紅白歌合戦」に初出場を果たしたキタニタツヤによるユニットだ。

そんな異色のタッグによる楽曲「Fatal」は、疾走感があるビートとリズミカルで心地いい歌とは対照的に「ただ一つのアイに近づきたい」と、「【推しの子】」に登場するアイドル・星野アイの真実を追い求めるアクアたちの心情が描かれている。

「【推しの子】」第1期のオープニング主題歌であるYOASOBIの「アイドル」は世界的に大ヒットを記録。それだけに第2期オープニング主題歌を担当するのはプレッシャーも大きかったのではないかと想像してしまうが、同曲の作詞を担当したキタニは、ファッション情報サイト「SPUR.JP」にて7月5日に公開されたインタビュー内で「(YOASOBIの)『アイドル』があれだけポップに間口を広げてくれて、ひたすら1曲を通して星野アイという人を描いてくれたのは、逆にありがたかったです。そのあとはそれぞれのキャラクターや作品全体にスポットを当てて掘り下げる余地があるから」「『アイドル』とは真逆の、人の暗部に踏み込むような歌詞が書けました」とコメント。

またGEMNの公式サイトに掲載されているライナーノーツでは中島が、「『ファタール』はアクアたちの歌でもあり僕らGEMNの歌でもある。ただ1つの”アイ”を信じられるだけで、信じてもらえるだけで僕は前にさらに力強く前に進める気がする」と自身の心境と重ねながら楽曲解説をしている。

MVでは2人が一緒に歌うところだけでなく、キタニが踊っている新鮮な姿も観ることができる。ニッポン放送で7月8日に放送されたキタニのレギュラーラジオ番組「キタニタツヤのオールナイトニッポンX(クロス)」に中島がゲスト出演した際、2人は「キタニティーが踊ってるんだよ。マジで誰も予想していなかったよ」(中島)、「だから踊れって健人さんが言うのよ! 面白いから踊れ、って」(キタニ)と掛け合いながら、MV撮影の裏話を明かしていた。そんな目も耳も奪われるMVをぜひチェックしていただきたい。

jon-YAKITORY「山田PERFECT」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場53位

Adoの「狂言」や新しい学校のリーダーズの「マ人間」など、数々の人気アーティストに楽曲提供を行なっているボカロPのjon-YAKITORY。彼が2023年に発表した「混沌ブギ」は着実にリスナーを増やしていき、今年に入りニコニコ動画で自身初のミリオン再生を突破。Billboard JAPANが選出する「ニコニコ VOCALOID SONGS TOP20」では2月21日に初めて首位を獲得し、YouTubeではMVの再生数が現時点で3600万回を超えている。

今年3月23日にjon-YAKITORYはX(Twitter)で「混沌ブギ2みたいなものを作る気は実はそんなになかったんだけど、めっちゃいいアイデアを思い付いたから作るかもしれない」とポスト。それから3カ月ほど経った7月3日に公開されたのが、今回ランクインした「山田PERFECT」だ。

「混沌ブギ」には「完全体の山田 / 無関心なんてありえない / 三千体の桑田 / の方がいいかな」というフレーズがあるが、対して「山田PERFECT」は「"完全体"への愛 絡まって / 何が正解かわからないんだ」「三千体の愛 受け取って / 囲まれてる方が幸せじゃんか」などリンクする歌詞が多く、これが彼がポストした「混沌ブギ」の続編と考えて間違いないだろう。

YouTubeのコメント欄では「ラスサビで髪の毛が青から紫になるのは、もともと真面目な性格だった山田が、混沌ブギの子みたいな馬鹿(自分の趣味・やりたいことだけをしている人)になろうとしたけど結局叶わなくて、中途半端になってしまったことをあらわしてるのかな」など、MVで描かれている山田の変化についての考察も盛り上がっている。今回「完全体の山田」が曲になったことで、気になるのは「三千体の桑田」も存在するのかどうか。終盤に「もう少しだけ続くんじゃ 残機」というフレーズがあることからも、次の曲では「桑田3000」が聴けるかもしれないと期待してしまう。

ナマウータン「縦ロールになっちゃった」

※YouTubeウィークリーミュージックビデオランキング初登場63位

曲名を見てピンときた人は多いかもしれない。2月16日に日本テレビ系列で放送されたテレビアニメ「葬送のフリーレン」の第23話「迷宮攻略」で主人公の魔法使い・フリーレンが、噛みついてきたミミックを内側から魔法で爆破した結果、いつもはストレートのツインテールにコテで巻いたようなカールがかかってしまい、このときの「縦ロールになっちゃった……」とつぶやくシーンが「かわいい!」「似合ってる!」と話題を呼んだ。おそらくナマウータンの「縦ロールになっちゃった」は、そこから着想を得て「縦ロールといえば重音テト」ということで書かれたのだろう。

この曲には「あしたのジョー」の名ゼリフ「立つんだジョー」を歌詞に引用。またMVには、縦ロールの髪型でお馴染みのにじさんじ所属の壱百満天原サロメや、「無職転生 ~異世界行ったら本気だす~」に登場するエリナリーゼ・ドラゴンロードのように見える人物が出てきたりと、全体的にさまざまなオマージュがちりばめられている。

ほかにも「朝起きたら何故か縦ロールになっちゃった / こんなにロールしちゃ悪目立ちしちゃう / それならバンド組んでギターボーカルしちゃお」と歌っていることから、「ぼっち・ざ・ろっく!」に登場する結束バンドの喜多郁代を思い浮かべて「このテトちゃんと喜多ちゃんを2で割った感じの女の子まじで大好き」と反応する声もYouTubeのコメント欄には上がっている。どこかで見覚えのあるキャラクターが次々に映り込み、見れば見るほど新しい発見があるMVとなっている。

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