2025年頭に“エンディング”を迎え、活動を終えるでんぱ組.inc。彼女たちのエンディングツアー「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」が、“でんぱの日”である10月8日に東京・豊洲PITで幕を開けた。
Neko Hacker、H ZETT M、清竜人、諭吉佳作/menが入れ替わり立ち替わり
でんぱ組.incの最後の旅路のはなむけに、この日のライブにはグループの歴史を彩る楽曲を生み出してきたヒャダインこと前山田健一、かせきさいだぁ、清竜人、H ZETT M、Wienners、諭吉佳作/men、Neko Hackerという7組のアーティストがゲスト参加。入れ替わり立ち替わりステージに現れてはメンバーとのコラボレーションを繰り広げ、フロアを埋め尽くすファンを沸かせた。
会場入りするオーディエンスを出迎えたのは、ヲタクを自称するNeko HackerによるノンストップDJ。オーディエンスは手にしたペンライトを掲げながら、スピーカーから流れるサウンドに合わせてコールやクラップを響かせ、Neko Hackerとともに会場を温める。そしておなじみのSEに合わせて、「でんぱ組.inc、はじまるよー!」の掛け声でメンバーとでんでんバンドがスタンバイ。この日リリースしたばかりのラストEP「We need the DEMPA」の最後を飾る「BPM285EX」でライブの口火を切り、のっけからハイテンションかつ目まぐるしいパフォーマンスを展開した。
その後、H ZETT Mの奏でるダンサブルで弾むような鍵盤の音色に乗せ、アクロバティックなダンスを踊りながら「おやすみポラリスさよならパラレルワールド」を披露したのに続き、「くちづけキボンヌ」ではかせきさいだぁと甘やかなひとときを紡いだり、楽曲ごとにくるくると表情を変えさまざまな魅力を振りまいたでんぱ組.incのメンバー。「Dear☆Stageへようこそ♡」では“お客様”として来場した清竜人を巻き込んでチャーミングに歌い踊り、新妻4人を迎え、清 竜人25を再始動させたばかりの清を骨抜きに。そんな清はデレデレしながら、「あとはお前らの力で、でんぱ組.incを存続させてくれ!」と叫び、約3000人のオーディエンスのハートを焚きつけた。
ライブ中盤には諭吉佳作/menがステージの上手に現れ、でんぱ組.incのしっとりした大人の魅力を引き出した「形而上学的、魔法」をデュエット。諭吉佳作/menの艶のあるスモーキーな歌声に身を委ね、7人がしなやかに踊ると、観客はうっとりとした表情を浮かべる。しかし、そんな穏やかな時間はあっという間に終了。ギアをトップに入れ、アクセルを踏み込んだ7人は「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」「ギラメタスでんぱスターズ」「破!to the Future」を嵐のような勢いで叩き込み、会場に熱狂の渦を作り出した。
ヒャダイン質問攻めののち、Wiennersと合体
ちなみにこの3曲を手がけたのは、でんぱ組.incを語るうえで欠かせない存在であるヒャダインこと前山田健一。聴き手を翻弄しまくる3曲をノンストップで届けたあと、メンバーはヒャダイン本人をステージに迎え入れて「ヒャダイン×でんぱスペシャルトーク」を行った。“でんぱの日”にふさわしく、このコーナーではメンバーからヒャダインにでんぱ組.incの楽曲にまつわる質問が次々とぶつけられる流れに。ヒャダインは「もふくちゃん(でんぱ組.incプロデューサー)からプレゼンを受けたんだけど、圧がすごくて(笑)。ヤベエやつらだな。おしゃれだなとも思った」とでんぱ組.incの第一印象をコメントしつつ、「1回限り、お試しのつもりで曲を作ったけど、レコーディングが特に楽しくて。ロケ弁が中華だったことも覚えている」と、作詞を畑亜貴、作曲を小池雅也が手がけ、自身は編曲で参加したデビュー曲「Future Diver」制作時のことを振り返ってしみじみ。また新メンバー加入時の感想を自身が愛する「セーラームーン」に例え、「セーラー戦士が新しく入ってくる感じだった」と語ってメンバーを喜ばせた。鹿目凛が「プリンセスでんぱパワー!シャインオン!」の歌詞「夢の先は何があるの? 夢の先は夢しかないの!」について「歌詞を書いた当時、どんなことを思っていたのか?」と質問をすると、ヒャダインは人生の先輩として自身の経験を踏まえて「燃え尽きたとしても書き続けることで、また違う夢が生まれて、それが叶っていく。(でんぱ組.incも)エンディングを迎えても楽しいことがあるということを伝えたかった」と答え、会場にいる全員を感嘆させた。
メンバーにとって感動と発見に満ちたトークコーナーは、コロナ禍に生まれた「なんと!世界公認 引きこもり!」のコラボでひと区切り。そしてヒャダインと入れ替わる形で、でんぱ組.incに多くの楽曲を提供してきた玉屋2060%が所属するWiennersがステージへ。でんぱ組.incのメンバーとヒャダインからバトンを受け取ったWiennersは、BPMが高く、でんぱ組.incのファンにも刺さるハイボルテージな「GOD SAVE THE MUSIC」「蒼天ディライト」を披露。オーディエンスはペンライトを思い思いの色に灯し、盛大なコールを上げながら、Wiennersサウンドを全力で浴びた。
ツアー初日とは思えないほどの盛り上がりを見せたライブは、でんぱ組.incとWiennersの“合体セッション”でクライマックスへ。今年4月リリースの「商売繁盛!元祖電波屋!」、2012年5月リリースの「でんぱれーどJAPAN」という玉屋2060%の手による“ガチャつきソング”が笑みを浮かべた7人の全力パフォーマンスとともに届けられ、このうえなくハッピーかつ高揚感に満ちた空気の中で「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」の初日は幕を下ろした。
セットリスト
でんぱ組.inc「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」2024年10月8日 豊洲PIT
01. BPM285EX
02. おやすみポラリスさよならパラレルワールド
03. くちづけキボンヌ
04. 冬へと走りだすお!
05. Dear☆Stageへようこそ♡
06. まもなく、でんぱ組.incが離陸致します♡
07. 形而上学的、魔法
08. プリンセスでんぱパワー!シャインオン!
09. ギラメタスでんぱスターズ
10. 破!to the Future
ヒャダイン×でんぱスペシャルトーク~なんと!世界公認 引きこもり!
11. GOD SAVE THE MUSIC / Wienners
12. 蒼天ディライト / Wienners
13. 商売繁盛!元祖電波屋!
14. でんぱれーどJAPAN
公演情報
でんぱ組.incエンディングツアー「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」(※終了分は割愛)
2024年10月14日(月・祝)宮城県 darwin
2024年11月8日(金)大阪府 Zepp Namba(OSAKA)
2024年11月24日(日)山梨県 甲府Conviction
2024年12月7日(土)香川県 高松festhalle
2024年12月8日(日)福岡県 DRUM LOGOS
2024年12月15日(日) 静岡県 LIVE ROXY SHIZUOKA
2024年12月20日(金)愛知県 伏見JAMMIN'
2024年12月21日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
ライブナタリー でんぱ組.inc × 私立恵比寿中学 ~ヘロー!ウェルカム!踊るでんぱえび共和国~
2024年11月25日(月)神奈川県 KT Zepp Yokohama
<出演者>
でんぱ組.inc / 私立恵比寿中学
でんぱ組.inc THE ENDING 「宇宙を救うのはきっと、でんぱ組.inc!」
2025年1月4日(土)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール
2025年1月5日(日)千葉県 幕張メッセ 幕張イベントホール