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家主がthe pillowsとの対バンに感無量、かつて「Crazy Sunshine」を聴いてた川崎で

田中ヤコブ(Vo, G / 家主)(撮影:今井駿介)
8分前2024年12月13日 10:05

家主の全国ツアー「YANUSHI LIVE TOUR 2024」の最終公演が12月6日に神奈川・CLUB CITTA'にて行われた。

「YANUSHI LIVE TOUR 2024」は今年3月にスタートした全国ツアー。堀込泰行、Kaede(Negicco)、Summer Eye、カーネーションといった、世代もジャンルも異なるさまざまなゲストが出演した。長期間におよぶツアーを締めくくる最終公演のゲストはthe pillows。多くのミュージシャンからリスペクトを集めるベテランバンド・ピロウズと、今勢いに乗る家主というロックファン垂涎の競演を目撃しに、川崎に多くの観客が駆けつけた。

格の違いを見せつけてやるよ

先攻を務めたピロウズはいきなりキラーチューン「LITTLE BUSTERS」のイントロを鳴らし、観客の歓声を引き出す。間奏部分ではハンドクラップを巻き起こし、山中さわお(Vo, G)がエレキギターを観客に向けて撃ち抜くような仕草を見せるなど、熱気ほとばしるパフォーマンスが1曲目から繰り広げられた。2曲目「ROCK'N'ROLL SINNERS」の演奏直後、「俺たちのことを知ってるか? 俺たちは89年に結成して、今36年目。大して売れてないくせになぜかミュージシャンに人気があるんだ」と語り、フロアを沸き立たせた山中。本番前に家主のメンバーに「格の違いを見せつけてやるよ」と宣戦布告し「負けませんよ」と返されたという彼は、「あいつら全然わかってない。俺が音楽で勝負すると思ったら大間違い。俺はあいつらのライブ中にアンプのコンセントを抜くぞ。俺はそういう戦い方をしにきたんだ!」と言い放ち、バスターズ(the pillowsファンの呼称)の笑いと歓声を誘った。その後もピロウズは「空中レジスター」「ノンフィクション」といったライブ映えするナンバーを休むことなく演奏し、ベテランならではの熟練さとベテランらしからぬ瑞々しさが宿ったサウンドを響かせ続けた。

中盤にピロウズは、ひさびさの新曲「Blank」をパフォーマンス。ミドルテンポの楽曲に無骨なアンサンブルと力強い歌声を乗せて届け、観客の体と心を揺さぶっていく。最後のサビでは山中のボーカルが一段と熱を帯び、鮮烈なシャウトが大勢の観客に突き刺さるようにこだました。メロディのキャッチーさが光る「I know you」でフロアの温度をさらに上昇させたのち、彼らは代表曲「Funny Bunny」を披露。家主ファンを含む会場中のオーディエンスをぐっと惹き付けたあと、「MARCH OF THE GOD」「サード アイ」「この世の果てまで」を連続でプレイしラストスパートをかけていく。最後に「Locomotion, more! more!」で会場全体をひとつにしたところで、ピロウズはステージを颯爽と去っていった。

負けてないだろ?

後攻の家主は、舞台に登場するなり田中ヤコブ(Vo, G)が「皆さんが来てくれたおかげで、本当に光栄なんですけど、ピロウズと対バンすることができました。関係者席で観てたんですけど、えべえべ泣いてしまって……皆さんのおかげです。ありがとうございます」と、いつになく感慨深そうに述懐。「『負けませんよ』って言ったの俺じゃないですからね」と指差された田中悠平(Vo, B)は、着用した最新のピロウズTシャツを見せながら「言ったけど、俺が勝てるとは思ってない……(笑)」と語る。それを受けてヤコブも「ハンバーグに素麺で挑むみたいな」と例えるなど、どこか及び腰な様子の4人。しかし「陽気者」でライブがスタートすると一転、彼らはパンクスピリットあふれる強靭なバンドサウンドを炸裂させる。さらに「茗荷谷」「家主のテーマ」が演奏されると、会場の空気は家主一色に。「カメラ」の演奏後にヤコブは、ピロウズの楽曲が多数使用されているアニメ「フリクリ」をかつて悠平から教えてもらったというエピソードを披露。昔務めていた会社が川崎にあったとのことで、「改札を降りてから会社までの道で『Crazy Sunshine』をよく聴いてて。今日来る途中でその頃の気持ちがよみがえってきました」とピロウズへの思い入れを明かした。

その後家主は最新アルバム「石のような自由」から「SHOZEN」「きかいにおまかせ」「歩き方から」とタイプの違うナンバーを3連発。メロディアスなロックチューンでフロアを大きく揺らしたかと思えば、伸びやかな歌声で観客をじっと聴き入らせる。「Dreamy」ではフロアの天井高くに吊るされたミラーボールが回転し、会場が幻想的なムードに包まれた。終盤に「p.u.n.k」「NFP」が怒涛の勢いで披露されると、オーディエンスのボルテージは倍増。会場中が高揚感に包まれる中、ヤコブは「今日はピロウズと対バンできて光栄です、ありがとうございました。皆さんのおかげです。バスターズの皆さんも」と充実感をにじませ、彼に煽られた悠平は「負けてないだろ……?」と問いかける。場内に大きな歓声にこだまする中、さわやかなギターの音が鳴り響き、彼らは駆け抜けるように「オープンカー」をパフォーマンス。オーディエンスの体を突き動かし、大きな拍手を浴びながら舞台から姿を消した。

the pillowsから学んだこと

アンコールを求める拍手に応えて4人は再びステージに登場。ヤコブは今回のツアーを振り返りつつ「『いい曲書けてギターうまいやつが一番カッコいいんじゃないか』と考えながら会社で事務作業をしていたんですけど、そういう諸先輩方と一緒にできて。ある意味夢を見続けていたわけですけど、それがこういう形に実ったことがすごいうれしくてですね。本当にありがとうございます」と改めて感慨をにじませた。さらに彼は「結局何かを作ったりするって、みんなでワイワイやってもできることじゃないなって、ピロウズの曲を聴いて学んだというか。みんなで盛り上がるというよりも、1人になる時間が大事だなと常に思いながら会社でカタカタやってたんですけど。そのときに作った曲をやります」と宣言し、4人で「今日はひとりでいようね」をパフォーマンス。爆音で会場中を埋め尽くし、長きにわたって行われたツアーを締めくくった。終演後には、家主のライブを2階で観ていた山中が、帰路に着くオーディエンスに笑顔で手を振っていた。

なお家主は来年6月よりワンマンツアーを実施。ファイナルの東京・Spotify O-EAST公演まで全国6カ所を回る。

セットリスト

「YANUSHI LIVE TOUR 2024」最終公演 2025年12月6日 CLUB CITTA'

the pillows

01. LITTLE BUSTERS
02. ROCK'N'ROLL SINNERS
03. 空中レジスター
04. Skinny Blues
05. ノンフィクション
06. Blank
07. I know you
08. Funny Bunny
09. MARCH OF THE GOD
10. サード アイ
11. この世の果てまで
12. Locomotion, more! more!

家主

01. 陽気者
02. 茗荷谷
03. 家主のテーマ
04. カメラ
05. SHOZEN
06. きかいにおまかせ
07. 歩き方から
08. free as a stone
09. Dreamy
10. お湯の中にナイフ
11. それだけ
12. マイグランド
13. p.u.n.k
14. NFP
15. オープンカー
<アンコール>
16. 今日はひとりでいようね

公演情報

YANUSHI One-Man LIVE TOUR 2025

2025年6月15日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
2025年7月12日(土)神奈川県 CLUB CITTA'
2025年8月9日(土)福岡県 BEAT STATION
2025年8月16日(土)大阪府 BIGCAT
2025年9月14日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
2025年10月19日(日)東京都 Spotify O-EAST

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