ゲームが大好きなPerfumeののっちさんが、ゲームに関わるさまざまな人々に会いに行く当連載が、「のっちはゲームがしたい!の本」としてKADOKAWAより書籍化されました!
この本には連載バックナンバーの中から抜粋したさまざまな対談に加えて、「星のカービィ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズの生みの親である桜井政博さんとの対談など、書籍限定のスペシャルコンテンツも掲載。さらに購入者特典として、2007年からインターネットで活動している最古参のゲーム実況者の1人、ジャック・オ・蘭たんさんとの、30分を超える対談映像も観ることができます。
通常の連載では文字でしか知ることができない、インタビュアーとしてののっちさんの姿をたっぷり観られるこの特典映像。広島出身同士ならではの同郷トークをはじめ、蘭たんさんが普段どうやって実況をしているのかや、プライベートでの蘭たんさんが何をしているのか、ゲーム実況をやめたいと思ったことはあるのかなど、カビ(蘭たんリスナーの呼称)の皆さんも初めて聞くような貴重な話題が次々に飛び出しました。
実はこの対談、動画では惜しくもカットされていた未公開シーンがあったんです。この記事では特典映像で使われなかった部分の対談を文字でお届け。これを読んで気になった人はぜひ、書籍「のっちはゲームがしたい!の本」を買って、対談の本編である特典映像を観てみてください。
取材 / 倉嶌孝彦・橋本尚平 文 / 橋本尚平 撮影 / 曽我美芽 ヘアメイク(のっち) / 大須賀昌子 題字 / のっち
蘭たんさんの動画で一番好きなのは……
のっち 今日は印象に残ってる、私が好きな蘭たんさんの動画をリストアップしてきました。
蘭たん めちゃくちゃ照れますね、それ(笑)。
のっち たくさんあるんですけど、一番好きなのが「閉店事件」!
蘭たん あー! カフェで働くやつですよね?
のっち お客さんにコーヒーとか甘い物とかを提供する中で奇妙な体験をする、というホラーゲームで。蘭たんさんは昔カフェで働いてたことがあったから、そのときの経験と違うので「作り方そうじゃない!」「店長仕事しなさいよ!」みたいになって、めっちゃ面白くて何回も観ちゃいました(笑)。
蘭たん 言われて思い出しました(笑)。ほぼ毎日撮ってるから、前に撮った動画の記憶がけっこう薄れちゃってて。
のっち あとは、マイクラ(「Minecraft」)のディズニーランドコラボマップでグリーティングしまくる男。
蘭たん はい、やりました。
のっち 蘭たんさんがディズニーをお好きでいらっしゃるから、キャラクターに会うたびにそのキャラの歌を歌ってウザ絡みするっていう(笑)。
蘭たん テンション高めの動画が好みなんですね。
のっち あー! そうなんだ。
蘭たん そうだと思います。きっと、自分が好きなものにテンションが上がってる様子を見るのが好きなのかなと。
のっち わ、すごい! 分析されている(笑)。そうかもしれないです。
蘭たん たぶん観てくれている方々はみんな、そういうところはあるんだろうなと思います。
のっち あと「自分はこういう楽しみ方をしなかったなー」という面白さもあるんですよね。例えばポケモンSV(「ポケットモンスター スカーレット・バイオレット」)で、めっちゃポケモンの写真を撮ったりとか、好きなジムリーダーにいろんな方法で愛を伝えたりとか。あとは「テイルズ オブ ジ アビス」! 私もめっちゃ好きなゲームで、これがきっかけでゲームというものが好きになったんですよ。だから蘭たんさんがやってくれてうれしかったです。
蘭たん ジアビスは面白かったですよね。さっき「毎日いろんなゲームをやるから忘れちゃう」って話をしたんですけど、ジアビスはけっこうしっかり覚えてるんですよ。自分の中に染み付いているというか。ストーリーもキャラクターも濃いじゃないですか。
のっち 濃いですねえ。キャラクターの掘り下げ方も独特だし。蘭たんさんは「この人だ!」っていう気になるキャラクターがいたら、出てくるたびに絶対いじってるのが面白かった(笑)。
蘭たん 最初から最後までジェイド・カーティスが大好きでした(笑)。
のっち 「そこなんだ!」って思いました。私はずっとヒロインのティア・グランツに感情移入してたから(笑)。
ほぼ誰もやってないことだから、ロールモデルも全然ないし
のっち ちなみにジアビスみたいに、実況したゲームでほかに印象に残ってるものはありますか?
蘭たん ポケモンは自分でもめっちゃ気に入ってますね。僕自身ポケモンが大好きだし。最近のポケモンって、キャラクターにスポットを当てて掘り下げてるんですよ。昔のポケモンはもっとあっさりしてたというか、ジムリーダーと戦ったらそこで終わり、みたいな感じでしたけど、最近のだと戦ったあともそのジムリーダーが出てきて話ができたりして。そういうのも含めて楽しかったです。
のっち それは普通に「ゲームをしていて楽しい」って感覚なんですか? それとも「実況してて楽しい」という気持ち?
蘭たん 「実況してて楽しい」のほうかもしれないです。
のっち へえー! それは独特な感覚!
蘭たん 普通にゲームをするときはしゃべらずに静かにやるんですよ。当たり前ですけど(笑)。でも実況するとなると、それ用のスイッチを入れるというか気持ちを高めたいし、何か感じるものがあったら観ている人に伝えたいとも思っているので、やるときの感覚は全然違いますね。
のっち 2007年にゲーム実況を始めるって、たぶんめちゃくちゃ早かったと思うんですけど、どうしてそんなときに始められたんですか? きっかけは?
蘭たん 僕より先にやってる人がいたんですよ。それを見て「あ、面白そう。自分もやりたい」と思って。いろいろやり方を調べて、機材とかそろえて、やってみたら面白くて、という感じです。
のっち 広島で?
蘭たん 2007年の広島で。その頃はまだスマホを持ってる人は少なかったから、ネットをするにはパソコンを立ち上げないといけないし、動画を観る人は今よりも全然少なかったです。
のっち 初めて実況したのはどんなゲームだったんですか?
蘭たん 最初は「ゼルダの伝説 風のタクト」をやったんですよ。
のっち へー! ストーリーがあるゲームだったんですね。
蘭たん でもやっぱり、今の動画とは全然違いますね。何も考えずにただゲームしながらしゃべってるだけ、みたいな。
のっち 蘭たんさんが観て自分もやってみたいと思った、先に実況をしてた人って、どんなゲームをやってたんですか?
蘭たん その人は確か、「バイオハザード4」だったかな。それが面白かったんですよ。
のっち それは面白そう(笑)。でも、すごいですよね、その動画を観て自分は「ゼルダの伝説 風のタクト」を選ぶって、けっこうチョイスがシブくないですか? 「キャー! びっくり!」みたいな、リアクションが面白い!っていう動画とは違いそうだし。
蘭たん うーん、確かに。そういうことすら何もわかってなかったんでしょうね。ほぼ誰もやってないことだから、ロールモデルも全然ないし。僕はただ「ゼルダの伝説」が好きだったから「じゃあやろう」って。その頃はみんなそんな感じで思い思いのゲームをやってたと思います。
のっち その動画は最初からたくさん再生されてたんですか?
蘭たん うーん、たぶん観られてたと思います。正確な数字は覚えてないんですけど、ニコニコ動画でコメントが付くのが楽しかったのを覚えてます。
のっち そのときにコメントを書いてくれる人がいてよかった! 今も蘭たんさんが実況を続けてるのは、その人たちがいたおかげかもですね……。
ほかの人の実況は観ないんですよ
のっち 動画を撮らずにゲームをやることもあるんですか?
蘭たん めっちゃやりますね。実況してるゲームとは別にプライベートで、面白そうなゲームがあったらやってます。ゲーム好きなので。
のっち 毎日実況でゲームしてるのに!
蘭たん ゲームの休憩でゲームをしてます。
のっち へー! どんなゲームをするんですか?
蘭たん なんでもやりますよ。話題になったやつはひと通りやってみたいなと思うので。
のっち 「これはお楽しみ用だから実況ではやらない!」って決めて?
蘭たん 「視聴者の人たちは興味ないかも」とか「これは動画にしなくていいかな」というのが、あくまで僕の感覚なんだけどあるんですよ。そういうゲームはプライベートでやっちゃいますね。
のっち プライベートでやって面白かったの、最近だと何があります?
蘭たん 「Rise of the Ronin」をやりました。幕末が舞台で、ブレワイ(「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」)みたいな広いフィールドを侍になって駆け回る、みたいなゲームなんですけど。
のっち へー、そうなんですね。あれ、ゼルダもプライベートでやってたんですか?
蘭たん ティアキン(「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」)はまだやってないです。いつか動画を撮るかもと思ってて。それを考えるとやれないんですよ。
のっち ええー! めっちゃやりたいですよね?
蘭たん やりたいです。やっぱり気になりますね。でも触れてません。
のっち みんなやってるゲームだし、ほかの人の実況で観ちゃったりしないんですか?
蘭たん ほかの人のは観ないんですよ。僕はめちゃくちゃ影響されやすいので、たぶん誰かの実況を観たら、すぐに口調とか影響されて「絶対あの人の動画観てるだろ」っていうことになると思うんですよね(笑)。だから観ないようにしてます。
のっち へー! お仲間のナポリの男たち(ジャック・オ・蘭たん、hacchi、すぎる、shu3の4人によるゲーム実況グループ)のメンバーの動画も観てないってことですか?
蘭たん あー、ほかのメンバーは、例えばめちゃくちゃやり込むタイプだったり、僕とはスタイルが違うから、観ても影響されないんですよね。
のっち そうなんだ、不思議。私はPerfumeのメンバーと一緒にいると、声のトーンがどんどん高くなって広島弁が出ちゃいますけどね(笑)。内容まで観ないにしても、「誰がどのゲームをやってるな」みたいなことをチェックしたりもしないんですか?
蘭たん 「最近はこのゲームが流行ってるんだな」というのを全体的に見たりはするんですけど、それくらいですね。
のっち 蘭たんさんは「今それやるんだ!」みたいなことがよくあるんですよね。私は「Stray」っていうネコちゃんを操作するゲームが好きなんですけど、最近蘭たんさんがやられてて「もう発売から2年くらい経ってるのに今実況してくれるんだ……最高!」って思いました。
蘭たん なんなんでしょうね……本当に「気分」としか言えないかも。YouTubeにはゲームの流行りがめちゃくちゃあるんですけど、あえてそこからずらす、みたいなことをする人は確かに少数派かもしれませんね。
もっと視聴者目線の意見もいただいてみたくなってきました
のっち そういえば前に、ナポリの男たちで舞台をやられてたって聞いたんですけど。リアルイベント、またどうですか?
蘭たん いやー……ねえ?(笑) 1人だと何をしたらいいんだろう? 求められてるのはなんとなくわかってるんですけど、ぶっちゃけやらなくてもいいことでもあるんですよ。動画だけやっておけば問題ないわけだから。でも、楽しそうだなと思います。
のっち 楽しいと思いますよ?
蘭たん やっぱり、動画がけっこう大変なんですよね。いろいろやりたいんですけど、本当に時間がなくて。毎日毎日、撮って出し撮って出しなので、大きいことを準備する時間がなかなか取れないというのもあって。
のっち そっかー。
蘭たん その時間を減らしてまでやりたいことなのかな?というのはいつも悩みどころです。
のっち じゃあほかに、実況以外でやってみたいことはないですか?
蘭たん のっちさんはこの連載で、いろんなゲームを作る会社に行って開発画面を見せてもらったりしてるじゃないですか。僕もゲームを作るところは見てみたいなと思ってて。例えばキャラクターを1つ作るにしても、設定資料とかを見るとめっちゃ何回もいろんなデザインで描き直してたりするじゃないですか。
のっち うんうん、ありますね。
蘭たん どういう過程で最終的なデザインになったんだろう? なんでこっちはダメでこっちはよかったんだろう? みたいなことを知りたい。
のっち 「そのキャラ、最初はそんな形だったの!?」みたいな。
蘭たん そうそう。「ゲームをやる側」だけじゃなくて「作る側」のことも知りたいんです。本当にしんどい作業を重ねて作ってらっしゃるというのはわかってるんですけど、面白そうですよね。あと、のっちさんは月ノ美兎さんとも対談してましたよね。Vtuberも、どういうスタイルで配信しているのかすごく気になるんですよね。
のっち 私も興味津々です。
蘭たん 自分たちとは全然違うと思うから。配信だけじゃなくてライブをやったりもしてるし、すごいなと思ってます。
のっち 蘭たんさんもやりましょうよ、ライブ。
蘭たん ライブはやんないです(笑)。
のっち よく歌ってるじゃないですか(笑)。
蘭たん いやいやいや! それはあくまでギャグみたいなもので、ガチでやろうと思ったことはないです!
のっち 蘭たんさんが歌うと「ああっ! 今、蘭たんが高揚してる!」ってわかってうれしいです(笑)。
蘭たん ありがとうございます(笑)。ああ、そっか。うれしいんだ……。そういう視聴者目線の意見を、面と向かって話してもらうことってないから新鮮かもです。今「歌ってるところが高揚してて好き」と聞いて「あ、そうなんだ」って思いました。
のっち いや、そうですよ!
蘭たん そういうことは皆さんも動画のコメントで書いてくれるんですけど、実際に会って聞いたわけじゃないから、生の声ってけっこう違いますね。なんか「本当にそうなんだ。冗談で言ってるわけじゃなかったんだ」みたいな。
のっち 「ネタじゃなかったんだ」って(笑)。たぶん蘭たんさんが思ってるより、みんな蘭たんさんのことがめっちゃ好きだと思いますよ。
蘭たん 今のお話を聞いていたら、もっと視聴者からの、視聴者目線の意見もいただいてみたくなってきました。ありがたいことに皆さん、昔に言ったひと言をずっと覚えてたりするんですよね。「あのときもこんなこと言ってたよ」って、自分でも忘れてるようなことを。本当にすごいなと思います。
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書籍「のっちはゲームがしたい!の本」の特典動画では、30分を超えるトークで蘭たんさんがプライベートなどを明かしています。この記事を読んで気になった方は、ぜひお買い求めください。
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