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ceroと木下麦監督が映画「ホウセンカ」に込めたこだわりとは? 盛大な花火シーン彩るOPテーマの制作秘話語る

左から松永良平、木下麦、橋本翼、荒内佑、高城晶平。(撮影:寺沢美遊 )
18分前2025年09月19日 8:05

ceroが音楽を担当するアニメーション映画「ホウセンカ」の先行上映イベント「ホウセンカ ミッドナイト プレビュー」が、9月14日深夜に東京・Spotify O-EASTで開催された。

「ホウセンカ」は、2021年にテレビ放送されたアニメ「オッドタクシー」で監督・キャラクターデザインを務めた木下麦、脚本を担当した此元和津也のタッグと、国内外の映画祭で注目を集めた「映画大好きポンポさん」「夏へのトンネル、さよならの出口」で知られる制作スタジオ・CLAPによる新作アニメーション映画。声優キャストにはダブル主演を務める小林薫と戸塚純貴のほかに、満島ひかり、宮崎美子、ピエール瀧、安元洋貴、斉藤壮馬、村田秀亮(とろサーモン)、中山功太といった豪華な面々が名を連ねている。

ceroの楽曲に求めたのは“静けさと壮大さ”

ceroは本作の劇伴を手がけたほか、オープニングテーマとして9月5日配信の新曲「Moving Still Life」を書き下ろした。先行上映イベントは、ceroが所属するインディーレーベル・カクバリズムの夏恒例イベント「カクバリズムの夏祭り」とのコラボ企画として実施。「ホウセンカ」の上映だけでなく、木下監督やceroの高城晶平(Vo, G, Flute)、荒内佑(Key)、橋本翼(G, Cho)、リズム&ペンシルの松永良平によるトークセッションが行われたほか、高城や澤部渡、Chappo、okadadaによるDJパフォーマンスがイベントを彩った。この記事では映画の上映後に実施されたトークセッションの模様をレポートする。

トークセッションでは、木下監督がceroに音楽を依頼した経緯について「『ホウセンカ』は劇中にいろんな時代が出てきますが、フォーマットとしては一晩の出来事なんですね。そのため音楽は“夜”をテーマに、静けさと壮大さを表現したいと考えていました。ただ、その2つは相反するものなのでどうしようかと思っていた頃に、ceroさんの『e o』というアルバムを聴いて、特に『Nemesis』にグッときたんです。ceroさんなら僕が求めているものを表現してもらえるんじゃないかと思ってお声がけしました」と説明。進行を務める松永から「『ホウセンカ』ではBGM的なものではなく、明確な意図を持った音楽が使われてますよね?」と問われると、木下監督は「派手な話ではないので、静かに美しく上品に見せたいという思いがありました」と劇伴へのこだわりを語った。

圧巻の花火と美しくシンクロする「Moving Still Life」

ceroがバンドとして映画の音楽を手がけるのは今回が初。オープニングテーマ「Moving Still Life」は、夏の夜空に打ち上がる圧巻の花火が印象的な「ホウセンカ」の冒頭を美しく彩っている。木下監督はこのシーンについて、「冒頭で花火を打ち上げることは決まっていましたが、ceroさんの音楽が加わったことで浮遊感がありつつ、上品で美しく盛り上がりのある、すごくいいシーンになったと思います」とコメント。高城は「Moving Still Life」が生まれた経緯について「監督が『Nemesis』に反応してくださったところから始まっているので、“ゴスペルやクワイアのムードを持ちつつ、現代的なビートが入ってくるような曲”を念頭に制作を始めました」と語った。また、高城は3人での制作で意識したポイントについては「我々はceroというくくりで音楽をやってるけど、それぞれ異なる作家性を持った3人なので、ともすれば一貫性のないものになってしまうという懸念がありました。そのため最初にスタジオに入ったときに、楽器自体が持っている“さわり”やノイズの部分を要所要所で残していくことで統一感を出そうと決めました」と振り返った。

この日の上映会はレジャーシートの持ち込みが可能となっており、普段はクラブイベントが行われている深夜のO-EASTには、来場者が床座で映画を鑑賞するという不思議な光景が広がっていた。橋本はこのことに触れ「今日はライブハウスということでワイルドな低音が出ていてとてもよかったですね。例えば車が走ってるときのエンジンの持続音や、その音にライブハウスのどこかの部品が共鳴してる感じ。今日来た方は低音の部分がリアルな『ホウセンカ』を観られて得したと思います(笑)」とコメント。また劇中の印象的なシーンについて聞かれた荒内は、「僕は網戸のシーンが好きでした。常に網戸の向こうに何かがあったり、主人公のとあるシーンとのリンクも美しくて、この大きな画面で観れてよかったです」と答えた。

「ホウセンカ」はまっすぐで力強い作品に

最後は高城と木下監督が代表してひと言。高城は「昨日初めて『オッドタクシー』を観て、すごく面白かったんですよ(笑)。『ホウセンカ』はceroにとって初めての映画のお仕事になりましたが、今日改めて作品を観てこんなに素敵な映画に関われて本当にうれしいなと噛み締めています。本当にありがとうございます」、木下監督は「『オッドタクシー』とはまた違った角度にはなりますが、まっすぐで力強い作品になったと思います。それにceroさんのおかげで美しいものに仕上げることができました。ぜひ、ご友人やご家族にオススメしていただけるとうれしいです」と呼びかけた。「ホウセンカ」は、10月10日より東京・新宿バルト9ほかで上映される。

※高城晶平の「高」ははしご高が正式表記。

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