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Reolがリスナーと “新しい1ページ”を刻んだ初横アリ公演「地獄の先で、お互いのステージでまた会いましょう」

Reol(撮影:横山マサト)
8分前2025年11月12日 3:03

Reolのワンマンライブ「Reol Oneman Live『美辞学』 in YOKOHAMA ARENA」が11月9日に神奈川・横浜アリーナで開催された。

誕生日に挑む、過去最大の大舞台

この日32回目の誕生日を迎えたReolにとって、過去最大規模のワンマンライブとなる本公演。この特別な1日を目と記憶に焼き付けようという熱心な観客たちによって、横浜アリーナの広壮な空間はびっしりと埋め尽された。センター席エリアには中央を貫く形で長い花道とセンターステージが設置され、メインステージから最も遠く離れた対岸のアリーナ席前方には小型のサブステージも。あらゆる座席に近距離でのパフォーマンスを届けようという意図を類推させる会場構造が、控えめな音量で流される厳かな交響曲とともに開演を待ちわびるオーディエンスの期待感を静かに煽った。

意表を突く新曲「美辞目録」で幕開け

定刻を迎えるとふいに客電が落とされ、雄大な森羅万象を想起させるアンビエントなサウンドエフェクトが場内に響きわたると、メインステージ背面を覆いつくす巨大なスクリーンに美麗な映像が映し出される。そして一瞬の静寂ののち、不穏なエレクトロビートとともにスクリーンが左右に割れ、異世界をつなぐゲートのようにゆっくりと開いて真っ白にそびえる大きな1本の木が姿を現した。そこから1つの人影が立ち現れ、つかつかと迷いのない足取りでステージフロントに設置されたお立ち台へと歩みを進める。それがReolその人であることを視認した聴衆は、歓声とともに一斉に立ちあがってこれを歓迎。するとReolは問答無用でエモーショナルなラップを繰り出し始め、芯の通った強靱なクリアボイスを時に穏やかに、時に激しく自由自在に操りながら、新曲「美辞目録」でライブの幕開けを不敵にかつ高らかに告げた。

その歌声によって一瞬で場を支配した彼女は、間髪いれずに「平面鏡」を畳みかけてオーディエンスを飛び跳ねさせ横浜アリーナを物理的に揺るがすと、「『Reol Oneman Live [無題] 改め [美辞学]』! 横浜-! Are You Readyー!」と伸びやかなハイトーンボイスで絶叫。怒号のような大歓声がこだまする中、次々にアッパーチューンを畳みかけていく。ステージにはReolとバンドメンバーのほか、総勢12名のダンサーチームが入れ替わり立ち替わり登場。曲によってさまざまな趣向のコスチュームとダンスパフォーマンスで彩りを添えたほか、Reol自身も頻繁に衣装替えを行い、真っ白なドレスやシルバーマント、ピンクのロリータファッション、深紅のボンデージ衣装などで集まったオーディエンスを視覚的にも楽しませた。

誕生日公演ならでは演出も

“Seaside Remix”と名付けられた「No title」は、波打つ水面を映し出したセンターステージでパフォーマンス。さながら水面を歩いているかのような幻想的な光景が繰り広げられ、選曲が歓喜のどよめきをもたらした椎名もた「アストロノーツ」のカバーでは、入場時に観客に配布されたシンクロライトによってアリーナ全体が星空のようにきらめいた。前半戦の終盤にはハイパワーなダンスポップ群がこれでもかと連投され、REOL時代の楽曲「ギミアブレスタッナウ」「LUVORATORRRRY!」のメドレーへと結実。ライブの折り返し地点では、誕生日公演ならではの、Reolの半生を追ったムービーが旧知の仲である宝鐘マリンとお菊によるナレーションで上映され、会場は温かなバースデームードに包まれた。

レトロなテクノポップ調の新曲「おとめの肖像」がライブ後半戦の口火を切ると、続いて披露された「感情御中」では、Reolがセンター席とアリーナ席を隔てる通路を歌いながらなんと2周。ギタリストとベーシストを引き連れ、ハーメルンの笛吹きのごとく場内を練り歩いて客席との至近距離でのコミュニケーションを楽しんだ。かと思えば開催地にちなみ、いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」を唐突にアカペラ歌唱して大合唱を巻き起こすひと幕も。以降はスリリングなトランスポップからピアノバラード、フォークロック系ナンバーなど多彩な楽曲が届けられ、ダンサーチームによるダンスセッションなども挟みながら目まぐるしく展開。「白夜」では、マイクを使わずに地声をアリーナ中に響かせるパフォーマンスも披露された。

みんなと新しい1ページを刻む1日

そして「RE RESCUE」でフロアを激しく踊り狂わせたのち、ふいに「なんというか、とっても広くて、すごくたくさんリスナーがいてくれて……グッと来てます」との感慨を口にするReol。10周年の節目を飾った昨年の日本武道館公演とはまったく意味合いの異なる「新しい1ページをみんなと刻む1日目にしたい」思いを込めたライブであることを改めて表明し、「こんなに広いところで自分の音楽が人に届いていくって、自分のことじゃないみたいで不思議な感覚」だと述懐する。「ダンサーズ12名、そしてバンドはReol含め5名、計17名という大所帯になりましたが、そちらも大所帯で本当にありがたいと思っております」と“大所帯”の客席に呼びかけて喝采を起こした。

さらに自身の音楽への向き合い方についても言及。音楽活動は「人探しをしているような感覚に近い」と言い、「マッチ売りの少女さながら、私の音楽を必要としてくれる人を私はずっと探していて。1人でも自分の音楽が人生に必要だと思ってくれる人がこの世にいてくれたらいいな、と思いながらやってきました」と明かす。「その人探しの旅が、まさかこんなに大きな舞台になって……だけど今日、横アリのステージに立ってすごく思うのが、そんなにいつもと変わらないなって。これがライブハウスであってもホールであっても、どんな場所でも私は今日みたいなライブをするし、みんなはどこにいても今日みたいに応えてくれる。いいリスナーに恵まれたなと思って、いつも本当に感謝しています」と頭を下げた。

そして「最後にみんなでお祭り騒ぎをしたいんですけど、よろしいでしょうか!」の掛け声を契機に、ライブはラストスパートに突入。「煽げや尊し」「劣等上等」「サイサキ」と立て続けにアッパーチューンが畳みかけられ、会場のボルテージは指数関数的にどこまでも上昇し続けた。そんな中、Reolはおもむろに「人生に、アンコールは……ない」と口上を述べ始める。コンサート興行において慣例化している“演出としてのアンコール”をこの日も実施しない旨を表明したのち、「私は、地獄を知っている人がこの世で一番強く、優しく、そして美しいと思う」と前置きしてからラストナンバーとなる新曲「うつくしじごく」へ。

Reol、ステージで短髪に

ハイテンポな四つ打ちビートのダークポップナンバーをテクニカルかつエモーショナルに歌い上げるReolは、鬼気迫るラップパートや消え入るようなウィスパーボイスのブリッジパートなども織り交ぜながら、緩急自在の歌唱表現で客席を圧倒。すると曲中でふいにブレイクが差し込まれ、音が止むと同時に先ほどまで妖艶なダンスを披露していた黒ずくめ衣装のダンサーチームがReolの足元で死屍累々と折り重なって動きを止める。その中央に立ち尽くすReolはおもむろに懐から1本のハサミを取り出し、無言かつ無表情で自分の髪の毛をザクザクと乱雑に切り落とし始めた。

急な展開に戸惑いながらもどうにか拍手を絞り出して彼女の覚悟に応えようと試みるオーディエンスへ向け、短髪姿に変貌を遂げたReolは何事もなかったかのように歌唱を再開。歌い終えた彼女は「地獄の先で、お互いのステージでまた会いましょう。Reolでした! 今日は本当にどうもありがとう!」と声を張り上げ、バンドの奏でるアウトロに乗せて颯爽と舞台奥へ消えていった。

セットリスト

「Reol Oneman Live『美辞学』 in YOKOHAMA ARENA」2025年11月9日 横浜アリーナ

01. -序章-
02. 美辞目録
03. 平面鏡
04. 十中八九
05. 煩悩遊戯
06. 切っ先
07. No title - Seaside Remix
08. アストロノーツ
09. 第六感
10. ウテナ
11. SCORPION
12. ギミアブレスタッナウ
13. LUVORATORRRRY!
14. おとめの肖像
15. 感情御中
16. ディア
17. 染
18. 真空オールドローズ
19. あ可よろし
20. Digression of Reol
21. 激白
22. 白夜
23. RE RESCUE
24. 煽げや尊し
25. 劣等上等
26. サイサキ
27. うつくしじごく
28. -終章-

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