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集英社ゲームズってどんな会社?Perfumeのっちが「都市伝説解体センター」開発画面に隠された秘密も見ちゃいました

のっちさん
14分前2025年12月22日 11:01

ゲームが大好きなPerfumeののっちさんが、ゲームに関わるさまざまな人々に会いに行くこの連載。今回は、ミステリーアドベンチャーゲーム「都市伝説解体センター」の開発チーム・墓場文庫のメンバーたちと、パブリッシャーである集英社ゲームズの林真理プロデューサーに話を聞きに行きました。

前編となるこの記事では、林プロデューサーに案内してもらいながら、集英社ゲームズのオフィスを見学。どんなことをしている会社なのかを教えてもらいつつ、「都市伝説解体センター」キャラクターデザインのラフや、開発画面なども見せてもらいました。

取材 / 倉嶌孝彦・橋本尚平 文 / 橋本尚平 撮影 / はぎひさこ ヘアメイク(のっち) / 大須賀昌子 題字 / のっち

今日は “あざみスタイル”で気合十分

ドット絵による独特なビジュアル、連続ドラマのように展開する謎解き、リアルで生々しいSNS描写などが話題を呼んだ「都市伝説解体センター」。2025年の話題作の1つとなったこのタイトルですが、少人数のチームによって制作されたゲームなんです。そして集英社ゲームズは現在たくさんの小規模開発のゲームをプロデュースしている会社。以前から「この連載でインディーゲームのような少人数のゲーム開発チームに会ってみたい」と話していたのっちさん、ついに念願が叶いました。

エレベーターを降りると目の前には集英社ゲームズのロゴが。周りの壁は最初は真っ白だったそうですが、国内外からいろいろなクリエイターが訪れるたびにサインを書いていくそう。書くところがないくらい埋まる日も遠くはなさそうです。

エントランスに入るとすぐに「都市伝説解体センター」のコーナーが。グッズの数々とともに、「日本ゲーム大賞2025」年間作品部門優秀賞のトロフィーも飾られています。小規模な開発チームがこのアワードを受賞したのは、間違いなく快挙です。

ちなみに授賞式の日はPerfumeの東京ドーム公演と丸かぶりだったため、スタッフの皆さんは会場に行けず、配信でライブを観てくれていたんだそう。「えーっ! ありがたい!」と、のっちさんは感謝の気持ちを隠せません。

テーブルの上にはトロフィーのほかに、小説やマンガも置かれていました。「え、『都市伝説解体センター』ってマンガとか小説とか、こんなにいろんな形で出てるんですか? すごい! これってお話オリジナルなんですか?」と興味津々ののっちさん。

林プロデューサーによると、ゲームの物語をそのままノベライズしたものだけでなく、ゲームでは大学生だった主人公の福来あざみが高校生の設定になっているマンガなど、少しずつ設定が異なるメディアミックスが展開されているそう。さらにスピンオフ小説「都市伝説解体センター 断篇集」にはゲームにない新しいストーリーが描かれており、一時期は書店でも手に入らないほどの人気だったといいます。「そうなんだ、知らなかった……またあの物語に入れると思ったら、絶対読みたいですもんね」と、のっちさんもファン心をくすぐられて読んでみたくなっていた様子です。

「今日はメガネも持ってきたんですよ」と言ってのっちさんが取り出したのは、主人公・福来あざみが念視をするときにかけているのとそっくりなメガネ。普段メガネをかけていないので、この撮影のために買ってきたんだとか。「せっかくだから、ちょっとあざみちゃんっぽい服にしようと思って。髪の毛もそれっぽくやってもらいました」と、気合十分の“あざみスタイル”を披露してくれました。

集英社ゲームズって、ほかにはどんなゲームを作ってるの?

エントランスにはほかにも、「ハイキュー!! 援!!」「僕のヒーローアカデミア YOUR BEST MEMORY」「テニスの王子様 あぁんって言うゲーム」「BLEACH 巻頭歌骨牌 SONGS OF THE SOUL」「DEATH NOTE人狼」といった集英社のIPのボードゲームや、「OPUS: Prism Peak」「unVEIL the world」といったデジタルゲームなど、これまで集英社ゲームズが手がけているさまざまなゲームタイトルのポスターが並びます。

林プロデューサーのお気に入りは「呪術廻戦 呪霊逃走 -渋谷事変-」。プレイヤーのうち1人が五条悟になり、ほかのプレイヤーが呪霊になって五条悟から逃げ回るというゲームです。7ターン逃げ切れば勝ちなんですが、五条悟が強すぎて祓われてしまうんだとか。のっちさんは「五条悟になれるだけじゃなくて、祓われるほうにもなれるって、発想が面白いです!」と興味を持っていました。

2026年リリース予定の「シュレディンガーズ・コール」も「都市伝説解体センター」と同じく少人数チームで制作されたアドベンチャーゲーム。また、中国のゲーム会社と集英社ゲームズが共同開発した「unVEIL the world」のように、台湾やマレーシアなどいろいろな国や地域のチームと共同で制作したゲームのポスターも飾られています。でも、ここに並んでいるのは一部なのだそう。会社が設立されてまだ3年目だと聞いたのっちさんは、「3年でこんなにいっぱい作ったんですか!?」と驚いていました。

のっちさんが気になったこのキャラクターは「ONI - 空と風の哀歌」の主人公。桃太郎に退治されてしまった鬼の子供が、仕返しをするために修業をするというゲームです。発売タイミングでマンガアプリ「少年ジャンプ+」にて、本当は鬼退治なんてしたくなかった桃太郎の視点で描かれたゲーム本編の前日譚マンガも公開されるという、集英社ゲームズならではの展開も行われました。このフィギュアはゲームが発売されたタイミングで、クリエイターにプレゼントするために特注したものだそう。

お仕事する場所なのにこんな雰囲気のところ、初めて来たかも

社内に3つある会議室は、遊び心がある「ほのお」「みず」「くさ」の属性が付いており、それぞれのテーマに沿った内装になっています。「みず」の会議室に入るってみると、のっちさんは「えっ! この風船みたいな照明めっちゃかわいい!」「いるだけで楽しいし、なんか落ち着く空間ですね」と、遊び心のあるデザインがお気に入りの様子。

社員用ロッカーにもユニークな仕掛けがありました。貼られているのは、社員全員のドット絵似顔絵マグネット。「シュレディンガーズ・コール」の開発チーム・Acrobatic Chirimenjakoのメンバー、achaboxさんが描いたというこの似顔絵は、ディティールを表現するのが難しいドット絵にもかかわらず、どれも特徴をよく捉えていてそっくりなんだとか。林さんのロッカーを見つけたのっちさんは、本人と見比べて「似てる!(笑) めっちゃかわいい!」と声を上げていました。

ワーキングスペースの入り口付近には、ソファが並んだちょっとしたステージのような場所も。ここでは社員全員で集まってミーティングやパーティをしたり、天井からスクリーンを下ろして大画面でゲームをしたり、仕事に疲れたらソファに寝転がってマンガを読んだりしているんだそうです。「楽しそう!……だけど、この場所めっちゃ目立ちますよね。寝るのはちょっとためらわれるかも」と笑うのっちさん。

個人の座席が決まっていないフリーアドレス制のワーキングスペースは、どこかカフェのようなリラックスしたムード。天井を見上げると、ゲームコントローラーのボタン(◯×□△)を模したユニークな照明が輝いています。流れているおしゃれなBGMに耳を傾けつつ、「お仕事する場所なのにこんな雰囲気のところ、初めて来たかも」と、のっちさんはその居心地のよさに感心していました。

キャラデザ初期案のラフを見せてもらいました

ここからは、「都市伝説解体センター」開発中に描かれたグラフィックのラフや、ムービーの絵コンテなどを見せてもらうことに。ゲーム内に登場するビジュアルは、まず墓場文庫のグラフィック担当「ハフハフ・おでーん」さんがイメージラフを描き、キャラクターデザイン担当の「きっきゃわー」さんが清書してイラストを仕上げ、それをもとに再び「ハフハフ・おでーん」さんがドット絵を描く……というリレー形式で作られています。

まだドット絵になっていない、きっきゃわーさんが描いたグラフィックを見たのっちさんは、「もうこの時点で世に出せるくらい、かわいいじゃないですか!」と絶賛しつつ、「でもドット絵にするためには2人で往復してやり取りしなきゃならないので、やっぱり大変なんですね……」とその手間に感心しきり。

「このゲームのドット絵って、影の感じがめっちゃおしゃれなんですよね」と話すのっちさん。光と影を表現するために、たくさんの色を使って微妙なニュアンスを出しているのかと思いきや、実は画面内に同時に出てくる色の数をあえて4色に絞っているんだとか。

そして、場面によって「明るいシーン用の4色」と「暗いシーン用の4色」という2種類のカラーパレットを使い分けているんだそうです(赤だけは別扱い)。例えば、この夜の公園のシーンは暗いシーンの4色+赤で描かれています。

「これはなんですか?」とのっちさんが指差したのは、本の表紙のようなタッチで描かれた一枚絵。実はこれ、ゲーム本編や宣伝で使う予定はなく、開発初期にきっきゃわーさんが個人的に描いた“落書き”なのだとか。よく見るとジャスミンさんの髪色がピンクだったり、手袋が指抜きではなかったりと、現在のデザインとは細部が異なっており、試行錯誤の過程が垣間見えます。

そしてこの流れで、キャラクターデザインの初期案も見せてもらうことに。下記の写真の一番上に写っているあざみの白黒線画は、かなり初期の段階のものです。「髪の毛に飾りが付いてたり、お洋服もけっこうぶりぶりだったんですね」とのっちさんが指摘する通り、当初は装飾が多かった衣装が、ブラッシュアップを重ねるにつれて現在のシンプルなデザインへと洗練されていったことがわかります。

ちなみに、のっちさんが「都市伝説解体センター」の劇中に登場する絵で一番好きなものは、夜の上野公園でSNS調査をしているシーンだそう。暗闇の中でスマホの光に照らされるあざみとジャスミンの姿が印象的で、「めっちゃ好きでした(笑)」とプレイ時を思い出していました。

開発画面でしか見られない“隠れあざみ”に大笑い

最後に、このあとインタビューを行う「ほのお」の部屋で、Unityというゲームエンジンを使った実際のゲーム開発画面を見せてもらうことに。「このUnityっていうロゴマーク見たことあります! ゲームを作るソフトのマークだったんだー!」と興奮気味ののっちさんに、プログラマーのMOCHIKINさんが解説してくれました。

オープニングのアニメーションは、動画編集アプリに似た「タイムライン」というUnityの機能を使って制作。映像と音楽が完全に同期するように細かく設定されています。

探索パートの画面はUnityで見ると、調べられる場所や、会話できる人物の周りに黄色い枠が表示されていました。そしてプレイヤーであるあざみの前には白い丸が描かれています。MOCHIKINさんによると「この丸は『当たり判定』と言って、丸が黄色い部分に触れるとイベントが発生するんですよ」とのこと。つまりこの当たり判定の大きさによって、プレイヤーがどこまで接近すれば調査することができるのか、人と会話できるのかが決まります。

画面内で不思議な動きをしているものを見つけたのっちさん。「あざみちゃんが歩くと、後ろからついてくる点はなんですか?」と尋ねると、これはゲーム画面を映しているカメラの“軸”であることがわかりました。あざみが横に移動したあとで、少しだけ遅れてカメラが追従することで、自然で滑らかな映像表現を生み出しているのです。

裏側の仕組みを教えてもらったのっちさんは、「遊んでるときには気にもしなかったけど、こういう設定の1つひとつがスムーズなゲームの体験につながっているんですね」と納得の表情。

ここでしか見られない開発画面をいろいろ見せてもらいましたが、極めつけは“隠れあざみ”の存在。タイトル画面をUnityで見せてもらうと、画面の端に見切れる形でポツンとあざみの姿が。のっちさんは「えっ! いる! なんで?」と思わず大笑い。

ゲーム内であざみを操作するのは横スクロールの探索シーンだけですが、実はタイトル画面やムービーなどすべての場面にあざみはいて、プレイヤーから見えないように画面外で動いているんだそうです。SNS調査のシーンでもすみっこでちょこちょこ動いているあざみを見て、のっちさんは「見えないけど実はいるよ!って言ってるみたいでかわいい(笑)」と盛り上がっていました。

初期段階のキャラクターイラストや、普段は見られないゲームエンジンの裏側まで、貴重なものをたっぷり見せてもらったのっちさん。このあとは墓場文庫のメンバーたちと林プロデューサーに、「都市伝説解体センター」についてじっくりインタビューを行います。後日公開の後編をお楽しみに。

<後編に続く>

©Hakababunko / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES.

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