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日本語ラップ最前線・BATICAで3月にカマしたラッパーは

ksr:3
6分前2026年04月11日 3:06

今、最もホットなラッパーが集まる東京の現場と言えば、東京・恵比寿に2011年にオープンし、今年15周年を迎えるEBISU BATICA。ヒップホップフェス「POP YOURS 2026」でニューカマーとして登場したAOTO、Siero、Sad Kid Yaz、Kiannaらも出演してきた日本語ラップの最前線であり、毎月さまざまなパーティが開催されています。この連載では、そんなBATICAのブッキングを担当している店長の一瀬公佑さんに特に印象に残ったパーティやラッパーを毎月紹介していただきます。

取材・文 / 三浦良純

セルフプロデュースアーティストksr:3

3月22日にKoGlow(コジロウ)くんの企画「ECHO_vol.1」があって、この日はすごく楽しかったですね。KoGlowくん自身も器用にいろいろできて、ライブがうまいラッパーだし、ブッキングの幅の持たせ方が面白いイベントだったんですけど、その中で僕が一番食らっちゃったのがksr:3(キサリ)さん。昔からビートメイカー / ラッパーとして活動しているセルフプロデュースのアーティストで、EASTBRO STUDIOというスタジオでマイクパフォーマンス企画・Wednesday Serviceの主催もしている方です。

僕がksr:3さんを知ったのは最近リリースされたラッパーのLeloleloとの共作EP「so」で、ライブを観たのはこの日が初めてだったんですけど、めちゃめちゃカッコよかったですね。いろいろなジャンルを経ているタイプの方で、エレクトロミュージックのニュアンスがありつつ、ちゃんと押さえるところを押さえたラップをしている。メロディがすごく不思議な感じなんですけど、ポップに仕上げていて、バランス感覚がある人なんだと感じました。

予想外の動きで魅せたlymph

ksr:3さんのライブにはフィーチャリングゲストでlymph(リンパ)くんとsafmusicくんも遊びに来ていましたね。lymphくんは最近リリースした自分のアルバム「Yes no Yes」の曲も披露していて、これもめっちゃカッコよかった。

BATICAには2階後方にバースペースがあって。そこはだいたいのパーティでは使ってない場所なんですけど、lymphくんはマイクを持って、後ろに来たと思ったら、そのバーの机の上に乗って歌ってました。僕は立場的にダメだよって怒らなきゃいけないんですけど、すごくいい演出だったから言えなくて……っていう。そのくらいカッコよかったですね。

lymphくんはもともと名古屋を拠点に活動してて、おそらくここ1年くらいで上京してきたんですけど、以前から交流があって。けっこう天才肌というか、ヒップホップという枠よりも広い部分で注目されるアーティストだと思います。

ライブでしか味わえないICHIRO、igaのよさ

ICHIROくん、igaくんのライブも改めてよかったです。ICHIROくんは昔からBATICAでずっとやってて、最近「ラップスタア」もあって大きくなってますけど、ライブで生の声とスピーカーを通したサウンドを聴かないとわからないようなよさがあります。彼のライブはみんなやり切ったあとの朝方だったんですけど、最後の最後にみんなで暴れて終わる感じでした。

igaくんのライブは人間味があるというか、その日のマインドだったり、その日のパーティの内容だったりで全然違う感じがあるんですよね。生感があります。

igaくんの客演で、みんなが大好きな神戸のPu$h!さんも来ていて。Pu$h!さんは自分でも音楽をやりつつ、神戸で「RINKAITEN」とかいろんな企画を開催して、オルタナティブな音楽シーンを作ってる人です。東京のアーティストでも、BATICAには出たことないけど、神戸でPu$h!さんのイベントには出たことがあるってアーティストもいっぱいいるくらいの有名人ですね。やっぱりブッカー同士で話すと、なんか安心するというか。この日は音が止まったあとも、ずっとみんなで話していて楽しかったです。

killwizは会話に近いライブをしてくれる

3月21日にkillwiz(キルウィズ)さんのEP「GEN0ME」のリリースライブを軸とした「mid pioints」がありました。個人的にkillwizさんはすごく好きで、e5、嚩ᴴᴬᴷᵁとのユニットDr. Anonでponikaとして活動していた頃から知ってますけど、2年前にkillwizになってからはリリースも増えて、いい調子なんですよ。それで今回の EP「GEN0ME」はエレクトロとかデジコアっぽいニュアンスから少し変わって、jerkっぽいサウンドを取り入れていたり、ラップのアプローチも、より僕の好みに近いものになっていた。このEPは全曲のビートを同じプロデューサーが手がけているから、全部通しで聴けるようにつながっていて、全体のミュージックビデオも出したりしてますね。そういう試みも面白い。

収録曲の「YMGMFXXK」は実父へのディス曲らしいですね。そんな話題性もありつつ、それも彼女のアーティストとしての軸から外れてない感じで。killwizさんもライブがいいんですよ。ポジティブというのではないんですけど、すごく目の前のお客さんを考えてくれてるというか、会話に近いようなライブをしてくれるんです。MCの内容も共感できる部分があるし、すごく人間味がある人だと思ってますね。音楽がなかったら出会わなそうな人ではあるんですが、そういう壁を感じさせない懐の広さを感じる。単に僕が大ファンなだけかもしれないですけど(笑)、これからもっと大きくなったとき、どういうライブするのかすごく楽しみです。

謎の才能・octopus nakamura

この日はkillwizさん以外もみんなカッコいい人を集めたんですけど、一番楽しかったのがoctopus nakamura(オクトパスナカムラ)。去年の12月末に「crux」ってイベントでKiannaくんを呼んだときに、Kiannaくんに「彼もラッパーでライブやるんでぜひ」って紹介されたんですよね。

別にそれがあったから押してるわけではまったくないんですけど、やっぱりKiannaくんと絡んでるぐらいだし、ビートもラップもセンスがあって。今はまだリリースしていないんだけど、ライブではこれから配信する曲をたくさん歌っていて、盛り上げるのも上手でした。この名義でライブするのはこの日が初で、出番は2番手とかだったんで、まだお客さんもそんなに入ってなかったものの、盛り上がり方がハンパじゃなかった。そこにいた演者含めて、みんなつかんでたんですよね。その後もほかの出演者のライブを観たり、パーティを楽しんでいて、人柄的にもすごく好きですね。Kiannaくんに紹介してもらったけど、Kiannaくんとは分けて評価したいなと。

あと、この日で言うと、Filix王(フィリックスワン)くんは最近すごく好きですね。元芸人ということもあってリリックの面白さはやっぱりあるし、ずっと活動しているだけあってラップもうまい。Sad Kid Yazとかと同じ世代なので、そこに対するジェラシーとまではいかないですけど、カマさなきゃという思いもあるっぽくって、それは歌詞や動き方に反映されてる感じがありますね。

スキルフルな新世代younyamahashi

3月6日に「pack'in vol.2」というイベントがあって、これはDJとしても出演しているjulihamというコが企画したパーティなんですけど、ライブアクトはhyunis1000、ISLND、CV、Kyrie、ssdierと、わりとしっかり基盤がある人が出演していて。その中で紹介したいのがyounyamahashi。めちゃくちゃ若いのに非常にスキルが高くて「次の世代が出てきた」という感じがあります。

younyamahashiはhedoくんと仲がいいんですけど、特に何か界隈に属している感じではなさそうですね。もともとはSoundCloudで楽曲を発表していて、1月に5曲入りのEP「Nel Nap」をサブスクでリリースしました。ビートはジュークとかダンスミュージックに近くて、ライブはクールな感じですね。これからいろいろ試行錯誤していく段階だとは思いますけど、このままの感じで進んでいってもらえたらという感じで見ています。

その場でメールを送れるトークイベント

この間も紹介したんですけど、Legal nerd boyzのポッドキャストの収録イベント「『堪能あれ』LNB実家の布団 × ライブイベント」が3月13日にあって、やっぱりいいイベントでした。ファンもなんか丁寧な方々というか、すごくいい客層をつかんでるなと。3人のライブを経て収録トーク、という流れで、やっぱりポッドキャストをやってるだけあってトークは上手でした。ファンが喜ぶような話をするとかじゃなくて、普通に聴いてて面白かったと思います。

当日会場内にQRコードが貼ってあって、ライブ中にその場でメールを送れたんですよね。それでトーク中、そのメールに答えるという試みをしていて。BATICAの使い方として面白いし、こういうイベントが増えてくれたら僕的にすごくうれしいですね。

4月は15周年興行企画5DAYS

4月はBATICAの15周年を記念した周年興行が11、18、22、25、29日の5日間にわたって開催されるので全部来てほしいです。

DAY1「BRIDGETHEGAP」

11日はこの連載で1月に紹介したパーティ「BRIDGETHEGAP」で、なんと言ってもKANDYTOWNとしても活動していたNeetzが出ます。KANDYTOWNのほかのメンバーと比べて、ソロであんまりライブをやってないと思うので注目ですね。このほかの出演者もHIZAGUTYA、MK woop、Kee Rooz、NeSと、日本語ラップが好きだったら観ておきたい人が集まってると思います。

DAY2「KAN7WEST FES」

18日はDJクルー・kan7westが、Ryugo Ishida、SpiderWeb、SENA, Aroma-T & Awki Sonic、GamBall、MADEINBEN10、CanSellとめっちゃいいメンツを集めてくれた「KAN7WEST FES」です。彼らが観たいようなメンツは僕もいいと思うし、ズレることがなくて、気持ちよく決まりましたね。

DAY3「focus × Brighten」

22日はオーガナイザーの翡翠くんのイベント「Brighten」とBATICAのイベント「Focus」の合同企画です。「Brighten」はアーティスト3組くらいとオープニングアクトという並びでやっているので、それに沿ったラインナップを考えたんですけど、実力派クルーのCBSを軸として、valknee、Neibiss、okadadaといういろんな世代が来てもらえるようなメンツになりました。オープニングアクトは若手のhedoくん。シークレットアクトもいるので楽しみにしていてください。

DAY4「MATSURI」

25日は前任の店長の企画で、OMSBさんと18scottさんが来るので、もうこれだけでいいパーティなんですけど、このほかもFlat Line Classics、Contrail Club、BYORAとかBATICAを支えてきた方ばかりのラインナップで。ラウンジDJもそうですね。原島"ど真ん中"宙芳 & DJ Real LifeのDJ Real Lifeは僕の元上司で、現SUMMITの山本真生。前任の店長のムチャぶりで出ることになったらしいです。たぶん一番お酒も出る日になるんじゃないかな。

DAY5「crux」

29日の「crux」は、僕だけでブッキングしたイベントで。「crux」はさっき話に出たDJ Real Lifeこと山本がBATICAの13周年のときに始めたイベントなんですけど、その後、彼が辞めて1カ月後くらいに、僕も日本語ラップのイベントをやりたいというときにイベント名をもらったんですよ。今回出てもらう中で、Only U、Siero、kegønはもう大人気の3人で、Lillie、Yamiboi To$、will away、EL Mosh、YOODAI、18easyはこれから押していきたい人たちですね。YOODAIは1年前くらいからBATICAのスタッフみんな好きなんですよ。

店舗情報

EBISU BATICA

クラブとライブハウスの両方のよさを引き出し、違った感性と人を紡ぐ新しいコミュニティ作りの場として、多種多様なシーンに対応するイベントスペース。1Fは40名前後、2Fは80名前後のキャパシティで、ドラムセット、アンプ、プロジェクターなども備えている。DJやライブイベント、展示からウエディングパーティに加え、飲み会、結婚式二次会、試聴会、プレス向け発表会、展示会、各種撮影など、さまざまな形態での利用が可能となっている。

EBISU BATICA | Tokyo

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