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“十年選手”だからこそ出せる輝き──土岐麻子が改めて感じた、推しグル・MONSTA Xの魅力

「2026 MONSTA X WORLD TOUR [THE X : NEXUS] IN JAPAN」大阪公演終演後の土岐麻子とMONSTA X。(撮影:田中聖太郎写真事務所)
11分前2026年06月10日 9:03

シンガー土岐麻子が中心となり、毎回さまざまな角度からK-POPの魅力を掘り下げる本連載。今回は土岐が、8年来推してきたボーイズグループ・MONSTA Xの日本アリーナツアー「2026 MONSTA X WORLD TOUR [THE X : NEXUS] IN JAPAN」を観て感じたことをつづり、グループの魅力について深掘りしていく。

文 / 土岐麻子 編集 / 岸野恵加

MONSTA X初見スタッフの感想を聞いて感じたこと

5月14日、デビュー11周年を迎えたMONSTA X、通称モネク。2025年、彼らが約3年ぶりにメンバー全員そろって活動を再開した。4、5月に千葉と大阪で行われた「2026 MONSTA X WORLD TOUR [THE X : NEXUS] IN JAPAN」はワールドツアーでの来日としては約7年ぶりとなり、入隊中のI.Mを除いたショヌ、ミニョク、キヒョン、ヒョンウォン、ジュホンの5人体制で公演が行われた。

本連載の編集担当・岸野恵加さん(TWICE推し)は4月29日の千葉・LaLa arena TOKYO-BAY公演を、私とマネージャー・Kさん(Red Velvet推し)は5月4日の大阪・おおきにアリーナ舞洲公演をそれぞれ鑑賞。MONSTA Xのライブを初めて鑑賞した岸野さん、Kさんとのやりとりをもとに、公演を経て感じたことをつづっていきたい。

銀テが降ってきても見上げないモンベベの貫禄

今回、モネクを初めて観た編集の岸野さん。普段は推しであるTWICEのほか、取材でK-POPアーティストのコンサートに足繁く通う。公演の序盤、アリーナ席に銀テープが降る演出があるも、MONBEBE(モンベベ / MONSTA Xファンの呼称)は頭の上にひらひらと落ちてきたそれを拾おうともせず、衝撃を感じたという。確かに私も、ほかのアイドルの公演でテープ集めに気を持って行かれる客席の光景を観た覚えがある。さらに岸野さんは、「掛け声の大きさもブレず、モンベベは素晴らしい!」と感嘆していた。

私はこの情報を聞いたあと、大阪公演に足を運んだ。確かに銀テの雨が降っても、2階席からアリーナのモンベベの肌色(顔や手)が見えることはなく、おおむね黒いまま(髪)だった。そう、視線はステージへロック。モネクとともに年輪を重ねた、ファンたちの落ち着き。ステージへの集中力! モネクとモンベベは、音楽とパフォーマンスが好きな気持ちを、そして7年ぶりのこの瞬間を逃さないようにといった気持ちを分かち合っていたのだと思う。

着替えても着替えても、皮革の男たち!

今回ステージに立ったメンバー5人は、全員兵役から帰ってきてほどない。本連載のVol.7でもお世話になった、長らく彼らと一緒に日本盤を作ってきたディレクターの亀田裕子さんと話した際、彼女は「兵役帰りのせいか、文字通り"ひとまわり大きくなった"気がする」と驚いていた。除隊後も筋トレでプロポーションをキープしているのだろう。その体作りは彼らの重心低めのダンスパフォーマンスにピッタリ合う。

しかし……今回は一見、それをアピールするような衣装というわけではなかった。むしろ、着替えても着替えてもレザーやジャケット、ウールニット(!)などの衣装が中心で「暑そうな服だな」「え、これも暑そう」「また、暑そうな服に!!」と驚きの連続だった。以前、私のラジオにゲスト出演してくれた際(編集部注:2026年2月、土岐麻子がパーソナリティを務める「TOKI CHIC RADIO」にメンバー5人がゲスト出演した)、「僕たちの衣装は夏だろうといつもいつもレザー! 本当に、暑い! 朦朧とすることもある」と笑っておっしゃっていたので、本当に心配になった。

しかし重ための布地も、よく採寸されてフィットしたときにかえって筋肉の迫力を拾い、ダンスしたときにとてもステージ映えするのだなと思ったのも確か。ちなみに私のマネージャー・25歳女性のKさんは「厚着だろうとなんだろうと、とにかくセクシーだった」という感想だった。隣で鑑賞している間に5度ほど言っていたので、よほどそう思ったのだろう。

ライブならではの歌の説得力

初見の2人が同時に心を奪われたのが、メインボーカル・キヒョンさんだった。「歌がうまくて笑顔がキラキラ、そしてかわいい」と声をそろえる。

岸野さんは、まだ彼のキャラを把握する前の序盤まではスラッとした頭身に見えていたのに、ライブが進んでいくうちにどんどん小さくかわいらしく……“ちいかわ”のように見えてきたことが不思議だったという。「あり得ないが、メンバーとの身長差がどんどん広がってるような錯覚が……」と。

キヒョンさんは決して“ちいかわ”とは呼べない身長だ。しかしその現象は、モンベベならもしかしたら共感できるであろう。驚くべきことに、岸野さんは1公演の間に、モンベベEyeを手に入れたのだ。

ちいかわはさておき……歌のよさというのは、モネクのライブにおいて大きな魅力となる。私は全員それぞれの歌に素晴らしいよさがあると思っているが、それがわかる動画をいくつか紹介したい。

まずはキヒョンさんソロ。歌の立ち上がりにスピード感がある、ロックフィーリングにあふれた歌唱!

こちらは全員でのステージ。2018年、KBS「ユ・ヒヨルのスケッチブック」でのパフォーマンス。ブルーノ・マーズ「Versace On The Floor」のカバー。

新旧16曲をメドレー的に駆け抜けた「Killing Voice」! 今の彼らのリラックスした雰囲気もよく出ている。

そのほか、キーが高すぎるaespaの「Next Level」もジュホンさんがとても楽しそうに歌っているので、ぜひ検索を……!

私が彼らを信頼する理由

モネクはメンバーみんなが楽曲制作に関わることが多いが、私の推しであるジュホンさんは早い時期から作業室を持って打ち込みで曲を作ってきた、音楽的中心人物の1人。以前よりヒップホップの楽曲をミックステープとしてリリースしているが、モネクでもそんな彼らしい強いビートの曲も作れば、メロディがきれいな広大なポップスも作る。ジュホンさんの幅の広さが、モネクの音楽的冒険を後押しした、と個人的には思っている。そこにヒョンウォンさんの作るメロディアスなR&Bポップス、クールではかない雰囲気のI.Mさんの楽曲も加わり、ホットさとクールさを併せ持つ大人の作品をリリースしてくれるようになった。この先ももっと鮮やかな進化を見せてくれそう。メンバーたちが作品のプロデュースに関わっているということが、私が彼らを信頼し続けている大きな理由だ。

メンバーの不在も魅力にするチーム力

「なるほど。I.Mさんがいたらもう少しツッコミがあったんでしょうか。わりとみんな自由に話していて、ジュホンさんがまとめている印象でした」と、岸野さん。今回、ジェントルなI.Mさんがいないことで男子校の部活みたいなノリになっていたが、それがまた希少だったと言えるだろう。I.Mさんはジュホンさんと2人でラッパーを務めるが、ジュホンさんがハイトーンで熱っぽいラップ、I.Mさんはロートーンでクールな感じのラップをやる。その寒暖・緩急がとてもよい。

I.Mさんの兵役については、メンバーが前述のラジオで「まあ、いつかは行かなきゃいけないものだから」「早く行って早く帰ってこいっ!と声をかけました」と、どんと構えた兄たちの頼もしさを感じさせる回答をくれた。今回の公演はI.Mさんのパートをほかのメンバーが担い、不足を感じさせない熱量で演じ切った。不在こそが強固なチームワークを引き立てた。本人がいないのをいいことに(?)、みんながちょっと彼の真似をしていじる場面も。愛されている末っ子、愛の深い兄たち!

十年選手にしか出せない輝き

その輝きこそ、前述の安定したチームワークにあると考える。10年一緒にいたことにより、共有する目標があり、それぞれの役割を理解し、協力・連携しながら相乗効果を生み出している。実際にラジオでお迎えしたときにもそれを強く感じたので、こぼれ話を少し……。

ショヌさんは物静かながらも、最後まで集中力を切らさずにずっと話を聞いてくれたのが印象的。私の拙い韓国語のニュアンスも細かく受け取ってくれて、ときおり(本当にさりげなく、押し付けがましくなく)メンバーをアシストする場面もあり、このリーダーにしてこのチームワークあり!と感じた。

キヒョンさんは気遣いと礼儀にあふれた、太陽のような人。写真撮影が終わったあと、キヒョンさんはわざわざ私のほうに来てひと言話しかけてくれたのだ。今回の終演後挨拶でも、私を見るなり「あ! リアルモンベベ!」と覚えていてくれた。このような振る舞いは、真似してもなかなかできないことだろう。

ジュホンさんは、打ち合わせが始まるとき私に「本当にモンベベですか?」と疑いを投げかけ、私のスマホに貼られたステッカーを見ても「うーん、昨日貼ったのでは?(笑)」「じゃあ僕らのどこが好きなんですか?」と……。推しから疑われる気持ち、わかりますか? しかしきちんと説明すると、ニンマリしてくれた。一瞬困ったけれど、その質問をしてくれたことで笑いも起きたし、最初に私の立場表明をすることができた。緊張して抜け落ちていたが、立場表明は円滑なインタビューにおいて本当に大事なことなのだ。

日本語が一番達者なメンバーとして、強い責任感を持って積極的に答えてくれたミニョクさん。あらかじめ渡していた台本にたくさん書き込んでくれていました。所作や表情にも飾るところがなく、「いいインタビューにする」という目標がハッキリしていることを感じた。グループに必要な、建設的で実行的な人。

台本といえば、ヒョンウォンさんのかわいいエピソードがある。収録後、スタッフが回収するときに気付いたのだが、台本の最初のページにかわいい2本のお花の絵が描かれていた。それは、向かいに座っていたジュホンさんのデニムジャケットに刺繍されていたお花と完全一致! 彼は収録中、ジュホンさんを見つめていたのだ……。ちなみに知っている音楽家(私も含むが)の中にはスタジオでこのような落書きをしながら集中するタイプの人がけっこういて、なんだか親近感を覚えた。

バラバラの性格である皆が、お互いを補ったり引き立てたり、それぞれの役割をまっとうして現場の雰囲気を居心地よくしてくれたのだ。

未来を感じさせる老舗アイドル

一般的には、ファンが離れることもあるグループの軍白期。しかし彼らは撮り溜めたバラエティコンテンツがきっかけとなり、逆にファンクラブの人数が増えたという。バラエティ力が強い彼らは、今回のライブのMCも毎度変えていたようだ。要するに自由なトーク。たとえば今回の大阪では、全然できていない“タモリさん拍手”をモンベベにさせたり、ジュホンさんの高速ラップを「みんなで一緒にやってみよう!」と無理な提案をしたり(モンベベ、当然ムニャムニャしてできない)。千葉公演では、通訳さんに即興でラップを訳させようと無茶振りをしたり(「無理でーす」と断る通訳さん)、大阪公演ではダンサーやスタッフの紹介に心がこもっていたり。自由なやりとりに垣間見える、そうしたスタッフとのいい関係性も、彼らの素晴らしいところだろう。

たとえば日本でいえばV6などのように、つねに追求心のある音楽&風通しのいい面白いトークで、長くグループ活動を続けてくれる未来像が見えた気がした。十年選手のモネクとモンベベ。新規もスッとなじめて楽しめる、いい音楽と笑いにあふれた現場。ひさしぶりの日本公演ではあったものの、過去ではなくかえって未来を感じさせる公演だった。

土岐麻子

1976年東京生まれのシンガー。1997年にCymbalsのリードボーカルとしてデビュー。2004年の解散後よりソロ活動をスタート。 本人がCMに出演したユニクロ CM ソング「How Beautiful」(2009 年)や、資生堂「エリクシール シュペリエル」の CMソング「Gift ~あなたはマドンナ~」(2011年)などで話題を集める。 そのほか、V6、JUJU、高畑充希など他アーティストへの作詞提供など、作家活動も精力的に行う。7月15日に東京・ブルーノート東京で「TOKI ASAKO Midsummer Live “Blue Moon in a Glass” at BLUE NOTE TOKYO」、7月24日に兵庫・KOBE QUILTにて『TOKI ASAKO Midsummer Live “Blue Moon in a Glass” at KOBE QUILT』、8月10日に神奈川・Billboard Live YOKOHAMAにて『土岐麻子×TENDRE with 高木大丈夫』を開催。K-POPでの最推しは、MONSTA XのジュホンとBLACKPINKのジェニー、そしてStray Kidsのハン。

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